インバウンドコラム

パンデミック後の観光地のあるべき姿を追求する「ハワイ」から学べることは?

2022.12.02

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日本入国についての規制が緩和され、本格的にインバウンド旅行が再開され始めています。

スイスなど欧州からの訪日旅行の手配をする私の元にも旅行への問い合わせが増え始め、実際に提供する旅のプランを考え始めています。旅行再開を前に、これからの観光業がどうあるべきか、ヒントを探りにハワイへ行ってきました。

言うまでもなく、日本人には大人気のハワイですが、ヨーロッパの人々にとってもハワイは特別なリゾート地のようです。距離的にも文化的にも遠いことから、常夏の島ハワイには特別な憧れがあるように感じます。スイスからの旅行者の中には、日本を濃密に精力的に旅したあと、リゾートでただただのんびりと過ごす時間を作りたいという要望も多いのですが、その時にハワイをお勧めすると、皆さん華やいだ特別な反応を示します。

 

ハワイで再整備が進む、バケーションレンタルを巡る法規制

そんな世界的観光地ハワイには、2019年には1年間に1000万人を超える人々が訪れ、観光客の増加に伴い観光公害の問題が大きくなっていました。やまとごころの8月のハワイ州観光局日本支局長のインタビュー記事で詳しく紹介したように、コロナ渦はハワイにとって、これからの観光のあり方をじっくり考える時間となったと言います。

ハワイ州では、法律による規制を伴う観光の再整備が進んでいます。アメリカのエンタメニュースサイトUproxxの「ハワイの次世代ツーリズムは世界の観光地のモデルになり得る」という記事によると、オアフ島でAirbnb等の賃貸期間の下限を、現在の30日から90日へと変更する法律が2022年4月に議会で可決しました。

投票の後ホノルル市のリック市長は「我々の地域を人々が育ち家族が暮らす場所として取り戻し、ミニホテルにしてしまうことなくあるべき姿に戻す」と述べています。しかし、これを受け6月に、非営利団体HILSTRA(Hawaii Legal Short-Term Rental Alliance)が同条例の差し止め要求を提出しました。そして、このほど米国連邦地裁判事が、この条例を施行しないよう市に命じる仮処分決定を下しました。ハワイの短期賃貸を巡る戦いは続いています。

 

環境に悪影響を及ぼす日焼け止め販売規制で、対策を進めるハワイ

2021年1月1日には、ハワイ州は、オキシベンゾン(Oxybenzone)とオクチノキサート(Octyl methoxycinnamate)を含む日焼け止めの販売を禁止する法律が施行されました。多くの日焼け止めに含まれるこれらの成分が、珊瑚礁を含むハワイの海洋環境と生態系に悪影響を与えるからです。

ハワイの街に出て、最初に日焼け止めを買いました。環境に悪影響を与える日焼け止めは売っていないとわかっていたので、安心して購入できましましたが、「Oxybenzone free」という記載のあるものを選びました。

▲ハワイで購入したオキシベンゾンフリーの日焼け止め

▲ハワイではマイボトルも充実

 

ハワイの感染症対策から考える、日本のコロナ対策の在り方

最後に、コロナ対策と規制についてお伝えします。ハワイへの入国には2回のワクチン接種証明が必要でした。VeriFLYと言うスマホアプリにワクチン接種証明書を事前登録していたので、日本出国もハワイでのアメリカ入国も、特に証明書を見せることなくスムーズに進みました。日本の航空会社の機内では、マスクの着用を求められ、マスクを外している乗客が客室乗務員に注意を受けているのを見かけました。画面には機内の空気がいかに清潔であるかと言う動画が流れていました。

ハワイでは、夏のスイスと同様に、街でマスクをしている人は少数派でした。空港にもホテルのロビーにも、消毒液が設置されていましたが、利用している人もあまり見かけませんでした。レストランでは、スタッフはマスクをしているところが多かった印象です。

スイスから帰国した時も、ハワイからの帰国時も、日本に戻ってからのマスクを着用しなければならないプレッシャーがひどく重苦しく感じました。これから日本へやってくる旅行者が、辟易しなければいいなと願うばかりです。

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