インバウンドコラム
国慶節といえば、中国で最も有名な祝日である「春節(旧正月)」に並ぶ、秋の大型連休です。コロナ以前は毎年この時期に国内外を旅行する人が急増し、日本にも多くの中国人観光客が訪れていました。
2022年は10月1日(土)〜7日(金)の7日間が国慶節連休となります。コロナ禍で迎える3度目の国慶節を、中国の人はどのように過ごすのでしょうか。ここでは、国慶節の基礎知識と今年の傾向についてご紹介します。
▲上海の夜景
国慶節休暇は7日間の大型連休
国慶節とは、中国の建国記念日です。中国では、1949年10月1日に毛沢東主席が中華人民共和国の成立宣言を行って以来、毎年10月1日を建国記念日として定め、「国慶節」と呼んでいます。中国では「十一(シィーイー)」や「ゴールデンウィーク」とも呼ばれています。毎年、10月1日を含む連続した7日間が大型連休となるため、コロナ前は日本にも多くの中国人観光客が訪れていました。ただ、ここ2年は中国政府のゼロコロナ政策により、自由な海外旅行が厳しく制限されており、国内旅行が主流となっています。
2021年は5億人が国内旅行 近場や農村民泊が人気に
日本の観光庁にあたる中国文化観光省によると、2021年の国慶節では延べ5億1500万人が国内旅行に出かけました。前年同期と比べると1.5%減少で、新型コロナウイルス感染症発生前の同期の7割程度まで回復しました。国内の観光収入額でみてみると、前年同期比4.7%減の3890億6100万元と、新型コロナウイルス感染症発生前の6割程度の回復となりました。2021年の国慶節前後は、ちょうどデルタ株の感染拡大中で、省をまたぐ旅行を控えたり、近場での旅行で済ませる人が増えました。中国大手旅行予約サイト「同程旅行」のビッグデータによると、近場旅行の利用数が前年同期比で56%増、農村の民泊施設の利用数が41%増加しました。
ゼロコロナ政策を目指す中国、連休中も厳しい措置がとられる
北京疾病予防管理センターは9月7日、WeChatアカウントを通じて「7日以内に新型コロナウイルスの国内症例が発生した県への旅行は避け、地元で祝祭日を過ごして」と市民に呼びかけています。大連市では1日の新規感染者が8月29日時点で40人だったのが、31日には100人前後まで増えたことを受け、ロックダウンを当初の予定の9月4日から9月11日へ延長しました。
このようにゼロコロナ政策を目指す中国では、連休中も厳しい人流抑制措置がとられています。省をまたいで帰省する人に対しては到着後すぐのPCR検査も求められるため、せっかくの連休であっても近場の旅行で済ませる傾向が強くなっています。
2022年中秋節の旅行傾向は? 都市部での夜観光や屋外キャンプが人気に
中国の大手旅行予約サイト、シートリップ(携程)によると、8月30日の時点で、9月10日~12日の中秋節連休の近場旅行の予約が前月比で267%増となっており、特に長江デルタや珠江デルタの都市部に人気が集まっていました。実際に北京、広州、上海などの都市部では有名なランドマークで月見する夜の旅「チケット+ナイトステイ」や、寧夏、江西などでは屋外キャンピングをする「チケット+キャンプ」といった旅行商品が好評でした。
中秋節休暇は、国内旅行者数が延べ7340万人とコロナ前の同期比で72.6%にまで回復、国内観光収入は286億8000万元で同60.6%まで回復しました。上述の通り、この時期、都市部のナイトツアーや風光明媚な地区では中秋の名月鑑賞を取り入れたナイトステイが人気でしたが、いずれにしても近場の観光がメインで、親戚や友人を訪ねたり、アウトドアアクティビティを楽しんだり、郊外や農村への観光では個性豊かな農園や民宿、美術館や博物館にも多くが足を運びました。
また、地元滞在を促すため、中国国内の複数の町では祝日消費券が配布されており、地元での消費促進に一役買っています。国慶節でも引き続き、こうした旅行商品や消費促進策がトレンドとなりそうです。
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