インバウンドコラム

2017年度、2018年度(上半期)で案件数、予算額ともに最も多かった入札種別は?! 入札情報から読み解くインバウンド業界

2019.01.18

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やまとごころが提供する「インバウンド入札情報サービス」では、専属のリサーチャーが全国1,000件以上もの発注元機関の入札情報を、日々リサーチしています。公示内容を確認した上で、「インバウンド関連」と判断した入札情報を隈なくピックアップ。その中から厳選した情報をお届けすることで、国や全国の自治体、公共団体などが実施するインバウンド施策のトレンドや強化対象市場などをわかりやすくお伝えしています。

このコラムでは、こうした入札情報からみえてくるインバウンドビジネスの最新トレンドや傾向をお届けしています。

「インバウンド入札情報サービス」では、国別、都道府県別、案件数業務種別、予算額業務種別など、必要に応じて入札情報を選別してみることができますが、第3回目となる今回は、2017年4月〜2018年9月までの1年半のデータをもとに、入札案件の種別と広域エリアごとの特徴をみていきたいと思います。

 

案件数、予算額ともに「情報発信」が1位!中でも「広報PR」がトップ

まず、案件種類別の割合をみていきましょう。案件数ベースでは、2017年度、2018年度ともに情報発信がトップで全体の3割を超える件数が出ており、次いで出展招聘と調査・コンサルが約2割となっています。また、予算額ベースでは、2017年度から2018年度では、情報発信が42%から33%に減り、調査・コンサルが13%から23%に増えています。ただ、2018年度は上半期のみの割合で比較しているため、年間を通して昨年と同じ推移で落ち着くのだとしたら、下半期は情報発信系の案件もしくは予算が多くなるという可能性も考えられます。

案件種類別-案件数割合_表案件種類別-予算額割合_円グラフ

 

続いて、案件種類の中で最も多かった、情報発信系の案件を具体的に掘り下げてみましょう。案件数ベースでは広報PRに関連するものが、前年度、今年度ともに最も割合が高くなっています。また、映像制作の案件が前年度の9%に対し、今年度は16%へと増えています。2018年度は上半期のみですので、今後さらに割合を伸ばす可能性があります。予算額ベースでは、両年度において広報PRが最も多く、次いで映像制作の順となっています。また複合プロモーション関連が前年度の3%に対し、今年度は15%に増えています。ここでいう複合プロモーションとは、例えば、「調査、ネット配信、説明会開催、メディア・インフルエンサー誘致」、 「ツール作成・展開、情報発信、招聘、商談会開催」、「オンライン調査、ワークショップ開催、情報発信、モニター旅行実施、招聘」などといった、案件種類(情報発信、出展招聘、調査コンサル、商品造成、教育研修、インフラ施設整備など) が複数にわたって要求されている案件を情報発信「複合プロモーション」として定義しています。

 

情報発信の業務種類別-案件数割合_円グラフ情報発信の業務種類別-予算額割合_円グラフ

 

「情報発信」は関東の比率が最も高く、「商品造成」は地方が高い傾向に

次に、前年度と今年度の合算データにおける、案件種類別の広域エリアの割合を見ていきましょう。それぞれのトップ3は、「情報発信」が関東、近畿、国、「出展招聘」は国、北海道、関東、「調査・コンサル」は国、関東、近畿、「商品造成」は東北、九州、関東、「教育研修」は関東、国、東北、「インフラ・施設整備」は関東、九州、近畿、「イベント企画・開催」は関東、近畿、東北の順となっています。この結果を見ると、情報発信や出展招聘、調査・コンサル案件に比べると、商品造成は地方エリアでの割合が高くなっていることがわかります。なお、商品造成の4位は北海道、5位は中国です。商品造成には具体的に、現地発着の着地型観光ツアーといった、旅行・観光商品の造成があります。

 

 

 

案件種類別-広域エリア割合<案件数>②案件種類別-広域エリア割合<案件数>02_円グラフ

案件種類別-広域エリア割合<案件数>03_円グラフ

 

地方の商品造成、背景にあるキーワードは「コト消費」

観光庁が今年7月に発表した「宿泊旅行統計調査」によると、2017年の地方部(三大都市圏以外)における訪日外国人延べ宿泊者数は前年比18.7%増となり、2015年から3年連続で地方部の伸びが三大都市圏の伸びを上回っています。さらに、調査開始以来、初めて地方部のシェアが4割を超えました。訪日リピーターによる地方旅行への需要の高まりに加え、訪日客のニーズが「モノ消費」から「コト消費」へと移行する中、地域独自の観光商品づくり、つまり商品造成がより必要とされているのではないかと分析できます。

 

まとめ

全国1,000件以上の自治体や公共団体などの入札情報を読み込むことで、インバウンドビジネス業界の潮流やニーズをいち早く捉えることができます。インバウンドビジネス業界のトレンドを把握することは、刻一刻と変化する業界で成功するために欠かせない要素となります。さらに、全国各地のインバウンド案件を知ることで、地域の施策を考案する際のアイデアにつなげることもできます。

 

[集計概要]
期間:2017年4月〜2018年9月

対象:官公庁、地方自治体、観光協会、コンベンションビューローなど全国1,000カ所以上の関連機関が公示したインバウンド入札情報をから集計。ただし、国別入札案件情報は日本政府観光局、官公庁、地方運輸局のデータは含まれていません。
※インバウンド入札情報とは、海外への情報発信、展示会出展、メディア招聘、コンサル調査、多言語整備、インフラ環境、教育研修など、外国⼈の訪日促進につながる領域での施策と定義しています。
※同一案件で、複数市場が対象とする場合は複数カウントして集計しています。

 

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