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旅行者のニーズ世界8カ国で調査。2020年比で高まる旅行需要、衛生管理と柔軟なキャンセルポリシーがカギに

2021.06.10

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ワクチン接種が進んでいる欧州からは、ワクチンパスポートで海外旅行が可能になるというニュースが飛び込んできている。夏のホリデーシーズンを控えて、旅行需要の高まりが予想されるなか、ワクチン接種率が非常に気になるところだが、世界的なオンライン旅行会社のエクスペディア・グループが行った調査では、アンケート回答者の31%がワクチン接種をする前には旅行をしないと答えていることがわかった。

今回の調査は、新型コロナウイルス (COVID-19) 収束後の旅行への意識について、2021年2月にアンケートを実施。日本、オーストラリア、 フランス、ドイツ、イギリス、メキシコ、カナダ、アメリカの18歳以上の旅行者1万6000名から回答を得たものをもとに「旅行者が求めるものとは? 2021年版」と題したレポートを発表した。

(※図・表出典は、expedia groupが発表した調査「What travelers want in 2021」より)

 

旅行検索数、昨年は減少も今年に入って増加傾向

新型コロナウイルスの感染拡大により2020年は旅行計画を大幅に変更した人も多かった。調査によると、メキシコ、カナダでは半数近くが中止または延期をした。逆にフランス、日本では7割以上が計画を実施したことがわかる。また、2020年には減少した旅行検索数も、今年初めには、国内および海外旅行の検索が増加し始め、旅行需要は依然として高いことは明らかだ。

2020年の旅行予定をコロナ感染症拡大で中止または延期した人は?

 

「旅行と引き換えに1カ月間、何をあきらめられますか?」という質問に対しては、旅行者のうち41%が「スポーツ観戦」、39%が「オンラインショッピング」、37%が「ソーシャルメディア」、32%が「テレビ番組」、27%が「好きな食べ物やアルコール」、25%が「音楽鑑賞」をあきらめられると回答。また、75%の人が「旅行ができるなら、新しいスマートフォンを入手するより嬉しい」と回答している。

旅行に行けるなら1カ月間あきらめられるもの

 

マイクロツーリズムは引き続き人気

「今後1年半の旅行先として考えているのは ?」という質問に対しては、45%の旅行者が「ビーチリゾート」と回答。また、36%の人が「大都市」、33%が 「小さな町や村」、25%が「田舎」、23%が「山」と答えた。

今後1年半で行きたいところは?

目的地のタイプを問わず、旅行先は「車で行けて、自宅からさほど離れていない場所」であることを最も重要と考えていることがわかった。これは2020年と変わらない傾向であり、いわゆるマイクロツーリズムが好まれる傾向は当面続くと見られる。また、「長期滞在」 や「アウトドアのアクティビティが体験できるツアー」を楽しみたいという旅行者も多く、「一生に一度は行きたい場所へ旅行をしたい」という欲求が高いことも明らかになっている。

なお、移動手段として、自家用車、ついでレンタカーを好む傾向は国内、国外どちらの旅行でも同じだったが、コロナ禍でいったんは薄れた飛行機やクルーズへの信頼度が収束後は回復することも回答からわかった。

望ましい移動手段は? (左より、車、電車やバス、飛行機、クルーズ)

※青=パンデミック前、水色=パンデミック中、緑=パンデミック後

 

最重要視される万全な衛生管理と柔軟なキャンセルポリシー

今回の調査結果から、旅行者は予約時に「清潔で衛生的な環境であるかどうか」を最も考慮していることが明らかになった。「清掃・安全衛生対策を重視する」と回答した旅行者は、半数近くにあたる42%にのぼる。

また、以下のグラフにあるように、新型コロナウイルス感染拡大以降は、「予約の変更・キャンセルへの柔軟な対応」を重視する旅行者が大幅に増加。約3分の2にあたる 60%の旅行者が「たとえ割引料金であっても返金不可の客室を予約するつもりはない」と回答している。この結果は同様の割合 (66%) の旅行者が「割引料金なら返金不可の客室を予約するつもりだ」と回答した2020年と比較すると、ほぼ逆転したことになる。

調査結果のレポートに掲載されている事例によると、コロナ禍で予約がほとんど入らなくなった宿が、それまでの2カ月前からキャンセル料がかかる条件を2週間前に変更し、それを施設紹介のトップに記載したところ、閲覧者が一気に数千回に増え、予約も数週間で30件入るようになったという。

宿泊施設を予約する際、キャンセル時に宿泊料が戻らなくても割引料金を選びますか?

2021年はいつもより長めの宿泊を求める傾向があり、それを決める宿泊先の要素としては、「宿泊割引」「無料朝食」「部屋のアップグーレド」「フリードリンクやミール券」「その地域独特のイベントへの参加」が大きな要素となると回答している。

さらに88%が宿泊施設を選ぶ際には、快適な設備についての写真が豊富に掲載されていることが重要と考えており、最低9枚の写真は見たいとしていることがわかった。

旅行を最大限に楽しむために

今回の調査では、宿泊先が、旅行者の求めるものを提供しているかどうかが予約の意思決定に影響を及ぼすことも明らかになっている。

77%の旅行者が「宿泊先を予約する際はテクノロジー設備が整った施設を選ぶ」と回答しており、3人に1人の旅行者が「高速インターネットを提供している施設にはより高い料金を払ってもよい」 と考えている。ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどのストリーミングサービスを重視する傾向も強く、特にZ世代 (38%)、ミレニアル世代 (42%)、子ども連れの場合(41%)はそれが顕著だ。

また、子ども連れやペット同伴の旅行者は、それにふさわしい設備の改善を望む声が多い一方で、それが充実していれば、60〜70%が「リピーターになる」と回答した。コロナ禍でペットを飼い始める人が増えたため、ペットと一緒に泊まれる、食事ができるなど、ペットフレンドリーの施設は、今後に期待できるのではないだろうか。

1年以上続く自粛生活で、ストレスがたまっている旅行者は、これまでよりも時間をかけて理想の旅行先を探している傾向があり、彼らにとっては「信頼感」が重要な要素であることも明らかになっている。明確で丁寧なコミュニケーションを心がけている宿泊施設はキャンセル率が低いと共に、お客の満足度が高く、口コミも高評価だ。

そして、回答者のうち40% は「コロナ禍により、口コミはこれまで以上に重要になった」と考えており、91%が「施設のオーナーや管理者はネガティブな口コミに対して返信するべきだ」と回答している点は留意すべき点といえるだろう。

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