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2021年11月世界の航空需要 国際線は欧州やアメリカ大陸で大きく改善、国内線は中国で激減

2022.01.24

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IATA(国際航空運送協会)によると、2021年11月の世界の航空需要は引き続き回復しているものの、これまでよりは鈍化していることがわかった。

業界全体のRPK(有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)については2019年11月と比べて47.0%減で、10月の49.9%減よりわずかながら改善が見られた。国際線は世界各地で引き続き伸びているものの、国内線は中国国内での新たな移動規制の影響を受け、悪化している。
(なお、2020年はパンデミックの影響で世界の航空利用客は激減したため、記事中の伸び率比較は特記がない限り、すべて2019年同月比であることに留意されたい)

 

国際線は上昇傾向 欧州圏内ではパンデミック前の7割まで戻る

オミクロン株が登場する前の11月の国際線RPKは、世界平均で60.5%減と10月よりも4.3ポイント改善。特に欧州は最も回復しており、2019年同月の43.7%減となった。欧州圏内線の需要が2019年の7割近くまで戻ってきているためだ。

ついで好調なのは北米で、11月8日にアメリカが欧州からのワクチン接種済みの旅行者に門戸を開いた効果が出ている。中南米も2019年同月比44.8%減と改善しており、ロードファクター(有償座席利用率)に至ってはパンデミック前の8割強となっている。北中米間の旅行需要の強い伸びがこの地域の回復に大きく貢献している。

アフリカと中東の回復は鈍いものの、11月もともに2019年同月比50%台の減少と、前月よりは改善している。オミクロン株の登場で11月下旬の南アフリカ発の予約は激減しているため、12月の数字には影響が出るものと見られる。

アジア太平洋地域も改善傾向にあるとはいえ最も国際線の回復が遅れており、11月のRPKはパンデミック前の1割にすぎない。

 

中国 北京などで感染再拡大、国内線利用が激減

2カ月連続で回復傾向にあった国内線の11月のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると24.9%減で、10月の21.3%減より悪化した。これは中国が大きく成績を落としたためで、10月の25.7%減から、11月は50.2%減と減少幅が倍増した。北京をはじめとする数都市で、小規模の感染再拡大による厳しい移動制限が再度課せられたためだ。

また、ここにリストアップした国のなかでは唯一11カ月連続でパンデミック前を上回る数字を記録しているロシアだが、先月に続いて伸び率は縮小している。冬の季節に入った上、感染症も収束していないところから国内線の旅行需要が減少しているためとみられる。

上記2つの国以外では、どこも10月より改善している。特にアメリカの国内線は感謝祭休暇の移動もあって、パンデミック前の94%まで戻ってきた。最もオミクロン株の登場や人員不足、天候不良などの影響もあり12月の数字はそれほど期待できないかもしれない。

日本は10月と比べると12.7ポイント改善、パンデミック前の6割強まで戻り、引き続き回復傾向にある。日本航空も全日空も全国的に感染者が減少したため夏以降は改善が続いているとのこと。年末年始は高い需要が見込まれると予想し、この期間の運航率はパンデミック前とほぼ同じ水準まで回復しているという。

IATA事務局長、各国政府の渡航・入国規制に苦言

IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長は、この結果を受けて次のように話した。
「11月も航空需要の回復は続いた。ところが残念なことに、月末のオミクロン株の出現に過剰反応した国では国境閉鎖、過剰な検査や隔離などこれまで試行錯誤を重ねた手法に頼ってしまった。これにより12月と1月初旬の国際線のチケット販売は2019年と比べると大幅に減少している。第1四半期は予想より悪い数字になりそうだ。我々は過去22カ月の経験で、渡航規制の導入と国境を越えたウイルスの伝播の防止との間にはほぼまったく相関関係がないということを学んだはずだ。これらの措置は、人々の生活と生計に大きな負担をかける。新年を迎えるにあたり、政府がもっとこうしたことに注意を払うよう期待したい」

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