データインバウンド
2025年11月訪日宿泊3.7%減の1453万人泊、アジアの鈍化で7月以来の前年割れ。地方部は好調
2026.02.02
やまとごころ編集部2025年11月の訪日外国人延べ宿泊者数は、1453万人泊(前年同月比3.7%減)となり、10月のプラス成長から再びマイナスに転じた。外国人宿泊者の構成比は25.9%と依然高水準を保っているが、都市部を中心にやや鈍化の兆しが見られる。
インバウンド宿泊数の減少で全体も落ち込む
宿泊者数全体では、前年同月比3.7%減の5599万人泊だった。このうち日本人延べ宿泊者数は4146万人泊で、前年同月比3.6%減と11か月連続のマイナス。外国人延べ宿泊者数は1453万人泊で、こちらも同3.7%減少。7月に続く年内2度目のマイナスとなった。これまで日本人の低迷をインバウンド需要が補っていたが、11月はその支えも失われた形となった。
また、最新の12月(第1次速報)では全体のマイナス幅が4.5%減とさらに拡大している。特にこれまで成長を牽引してきた外国人延べ宿泊者数が5.9%減(1490万人泊)と、11月の3.7%減からさらに落ち込みを強めた。年末の書き入れ時においても、主要都市の宿泊費高騰や東アジア勢の鈍化がインバウンド需要の足かせとなっている様子がうかがえる。


三大都市圏4.8%減と苦戦、地方部は1.3%減に留まりシェア拡大
地域別に見ると、東京都・大阪府・愛知県などの三大都市圏では、外国人延べ宿泊者数が合計990万人泊と、前年同月比4.8%の減少。一方、地方部は463万人泊(1.3%減)と比較的底堅い推移を示した。
都市部での宿泊費上昇や混雑感などが訪日旅行者の分散行動を促している可能性もあり、地方誘客の成果が徐々に現れ始めているとも解釈できる。

東京・大阪が前年割れ、インバウンド需要の「地方分散」が加速か
都道府県別の外国人延べ宿泊者数では、1位の東京都が484万人泊(前年同月比6.1%減)、2位の大阪府が201万人泊(15.2%減)と、都市部の主力エリアで大きな減少が見られた。京都府も164万人泊で微減(0.1%減)にとどまり、インバウンド需要の減速が主要都市に広がっている。背景には、中国発の訪日旅行キャンセルの影響や、団体旅行の停滞、宿泊費高騰への反動減などが影響している可能性がある。


伸び率では東日本が上位を独占
主要都市が苦戦する一方で、地方部の伸び率(外国人延べ宿泊者数)は好調だ。伸び率トップ10の顔ぶれを見ると、1位の新潟県(68.9%増)を筆頭に、4位の宮城県(37.3%増)、5位の福島県(35.0%増)、7位の山形県(29.2%増)など、上位の多くを東日本エリアの地方部が占める結果となった。これら東日本の各県では、紅葉シーズンに合わせた地方誘客施策や、FIT層による新たなデスティネーション開拓が功を奏していると考えられる。
また、2位の三重県(45.2%増)や、9位の兵庫県(23.0%増)、10位の愛知県(18.6%増)といったエリアも高い伸びを維持しており、ゴールデンルート周辺の地方大都市やその近郊へも訪日客の足が確実に伸びているようだ。

中国の減少が顕著、東アジア全体で伸び悩み
国・地域別の外国人宿泊者数を見ると、中国が最多の181万8810人泊(前年同月比6.6%減)を維持。以降、米国(162万8330人泊、同10.4%増)、台湾(155万9910人泊、同1.1%増)、韓国(137万8770万人泊、同3.4%減)、オーストラリア(59万9510人泊、同0.0%増)となった。この上位5カ国・地域で全体の54.5%を占める。
▶︎国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数(2025年11月[第2次速報])
なお、トップの中国が、前年同月比でマイナス成長となった背景には、日中間の政治的緊張の高まりを受けた訪日旅行の自粛・キャンセルが広がったことがある。11月には中国政府が自国民に日本への渡航に注意喚起を行ったとされ、旅行会社や航空会社には実質的な抑制の動きも報じられている。これにより訪日航空券のキャンセルが相次ぎ、団体旅行を中心に宿泊需要が大きく落ち込んだと見られる。
韓国、香港、シンガポール、タイなど、東アジア・東南アジアの一部市場でも減少が見られた。
対照的に、欧米豪および一部の新興市場は堅調な動きを維持している。米国を筆頭に、英国(21.8%増)、ドイツ(25.4%増)などが好調を維持し、ロシア(117.1%増)は特に顕著な伸びを示した。
地域別構成比はアジアが53.5%(うち東アジアが41.6%)、欧州が11.0%、北米が15.2%となり、一部減少傾向にあるとはいえアジア地域が引き続き宿泊需要の中核を担っているのがわかる。
【編集部コメント】
都市部減速、地方健闘─訪日宿泊の分散傾向をどう捉えるか
11月の訪日外国人宿泊者数は3.7%減と、7月以来の前年割れとなった。特に東京・大阪など都市部の落ち込みが顕著で、背景には東アジア市場の鈍化や宿泊費高騰の影響があるとみられる。一方、新潟や三重、宮城など地方部では前年を大きく上回る伸びを示しており、訪日旅行者の分散傾向が徐々に実を結び始めたともいえる。こうした動きは、地方誘客の可能性を改めて示すものであり、DMOや自治体にとっては、FIT層を念頭においた情報発信や二次交通整備、宿泊環境の強化が重要な戦略となる。いま、誰が・なぜ地方を選び始めたのかを見極めることも、次の施策の起点となるはずだ。
(出典:観光庁、宿泊旅行統計調査2025年11月・第2次速報)
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