データインバウンド

中国の旅行市場に明るい見通し、重慶や成都で回復牽引。ビーチリゾートで富裕層旅行者が増加

2022.05.06

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上海でロックダウン(都市封鎖)を続ける中国。北京でも、4月30日から始まる労働節(メーデー)の連休を前に、一部の集合住宅を対象にロックダウンが行われ、国内旅行の予約状況は前年同期に比べて出足が遅い。しかし、中国の観光・航空市場を分析した、スペインの旅行調査会社ForwardKeys(フォワードキーズ)のレポートからは、長期的には明るい見通しが伝えられた。
(図出典:ForwardKeys)

 

回復力のある空港は、北京や上海よりも「新1線都市」「2線都市

最新の航空券発券状況を示すForwardKeysのデータによれば、2021年以降の回復率は上海、北京などの1線都市*の空港よりも、それに次ぐ都市で上回っている。

下の表にあるように、コロナ禍前の2019年と比べた2021年の回復率は、北京、上海、広州の1線都市での平均が59%だったのに対し、1線都市以外の平均は78%で、重慶(88%)、成都(82%)、杭州(79%)では平均を上回る数値が示された。

国内線の回復度、1線都市とそれ以外の都市の比較

国際線がより多く集中したのも、厦門、成都、杭州といった新1線都市や2線都市で、成都では最近、政府が外国人旅行者の隔離期間の短縮を決定した。

マーケティング&ソリューション会社Dragon Trail Internationalの最新調査によると、国外旅行への最大の足かせとなっているのは依然として隔離措置である。回答者の46%は行き帰りのいずれの地でも隔離の必要がなくなった時点で旅行を検討すると言う。

 

存在感を示す「成都」「海南」へ向かう富裕層旅行者数が増加

海南はビーチリゾートが人気の旅行先として知られるが、成都から海南に向かう富裕層の躍進が目覚ましい。

2022年第1四半期の海南へのフライト予約状況を見ると、2021年に比べてエコノミークラスでの予約が3%落ち込んだのに対し、プレミアムクラスでは2%増加している。

プレミアムクラス利用者が増加

ForwardKeysのマーケットアナリスト、ナン・ダイ氏によると、「プレミアムクラスの予約数のトップ2は北京と深圳だが、成都が74%の大幅な伸びを示して3位に躍り出た」。

労働節の休暇に向けた事前予約状況は芳しくないものの、ダイ氏は、「ローカル観光市場に回復力があること」と「直前予約が普通になってきていること」の2点が見えてきたと言う。最近では、予約のほとんどが出発の4日前を切ってから行われるとのことだ。

2021年、かつては地方の空港と見なされていた複数の空港に、デザイナーファッションブランドの旗艦店がオープンした。「2線都市の空港は国内旅行、国外旅行のいずれにおいても重要性を増している」とダイ氏は言う。

 

海外の旅行先に対する「安全」イメージが高まる

中国では、海外旅行先に対し、「安全」と見なす向きも改善している。Dragon Trail Internationalが行った、15の国についての「安全性」に対する意識調査では、「安全ではない」という見方が減少し、「安全」または「わからない」という回答が増加した。

安全な国との見方が最も高まったのは「日本」だった。最も「安全ではない」とみなされたのはアメリカだが、6カ月前の前回調査では「安全ではない」との回答が87%に上ったのに対し、今回は69%まで改善している。

Dragon Trailのパルリス-クック氏は、「過去6カ月間で、すべての国に対する安全性の評価が向上した。規制を撤廃し、海外に門戸を開いていく他国を前に、中国人旅行者の受け止め方にもよい影響を与えているのは心強い」と述べている。

*中国の都市のランク付けは、第一財経の「都市の商業的魅力ランキング」によるもので、生活レベルや商業施設の充実度、将来の可能性などの複数の項目から算出される。国内337都市を1線、新1線、2線、3線、4線、5線都市としてランク付けしており、2021年のランキングの1線都市は上海、北京、深圳、広州だ。

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