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インバウンド再開に向け、世界の海外旅行動向JNTOが調査。訪日未経験8割超の市場も多数

2022.05.12

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日本政府観光局(JNTO)では、海外との往来再開が待たれる中、ビジットジャパン重点22市場を対象に、訪日旅行意向に関するアンケート調査*を実施した。外国人観光客が日本を再び訪れる日の到来が現実味を帯びてきた今、世界の旅行者は観光地に何を求めているのか。そして日本の立ち位置はどこにあるのか。分析結果を前編・後編の2回に分けてお伝えする。

前編となる今回は、市場規模や地方誘客の可能性等を探る。なお、調査結果は「東アジア市場」「東南アジア市場」「欧米豪・インド・中東市場」の3つに大別**して解説する。
(図・表出典:日本政府観光局 22市場基礎調査〈2022年4月〉)

 

東南アジア・欧州・インド・中東市場の多くで訪日未経験者は8割以上

まず、「東アジア市場」「東南アジア市場」「欧米豪・インド・中東市場」における、海外旅行実施者数と訪日旅行経験率を見てみる。

「東アジア市場」では、海外旅行実施者数、訪日旅行経験者数のいずれも中国が最も多い。しかし、比率で言えば、訪日経験があるのは海外旅行実施者の40%強で、半数以上は訪日の経験がない。一方、韓国、台湾、香港では、海外旅行実施者の大多数に訪日経験がある。その割合は、韓国では80%、香港では90%、台湾に至っては98%が訪日経験があった。

 

一方、「東南アジア市場」では、シンガポール以外のすべて市場で、海外旅行実施者のうち訪日経験があるのは2~3割にとどまった。2019年の訪日客数では6位だったタイでも、訪日経験者は3割強となっている。つまり、海外旅行を実施しているものの、訪日経験はないという人が7割弱を占めている。

 

「欧米豪・インド・中東市場」においては、アメリカで6割、オーストラリアで4割以上の海外旅行実施者に訪日経験がある。しかし、この2カ国以外のほぼすべての市場では、8割以上は日本を訪れたことがない。特にインド、ドイツ、ロシア、中東地域では、訪日未経験者が9割以上にのぼる。

 

欧米豪・インド・中東市場では、無認知層への認知度向上がカギに

次に、訪日までの検討状況と行動を、以下の4段階のプロセスに分けて分析した結果を見てみる。
 「無認知」 日本という国名は知っていても、観光資源を認知しておらず、 旅行先として捉えていない
 「認知」  日本といえば○○のように、 旅行先として観光資源を認知している
 「興味関心」日本の観光資源への認知だけでなく、 それらに興味・関心を抱いている
 「比較検討」他国と比較を進めながら日本の航空 便・宿などの情報を得て、 旅行先を検討している

「東アジア・東南アジア」では、多くの市場で日本の観光地やアクティビティについて知っているだけでなく興味も感じていることがわかる。また、先ほど「訪日旅行経験率」は25%と低い数値のフィリピンでも、「認知」「興味関心」「比較検討」の合計が約9割と高い数字を示している。往来再開後はこの層を予約購入につなげていくことが必要だ。

一方、「欧米豪・インド・中東市場」では、東アジア・東南アジア市場と比べて「無認知」の割合が高くなる。特に英国、ドイツ、中等地域での「無認知」は半数以上。「認知」の割合を高めていく必要がある。一方、メキシコ、米国、豪州、スペイン等では「興味関心」「比較検討」の率が高い。関心を維持しつつ、「比較検討」以降の割合をさらに高めることが求められる。

 

地方エリアへの訪問希望は東アジア・東南アジアで高く、欧米豪などは低め

各市場において、東京、大阪、京都以外の地方エリアへの訪問意向をたずねたところ、リピーターの多い「東アジア・東南アジア市場」では地方を訪問したいという意向が7割以上にのぼる。それに比べると、「欧米豪・インド・中東市場」での地方エリアへの訪問希望率は低く、旅行先としての日本の認知率が高い米国や豪州でも訪問希望率5-6割と低い結果になった。

 

世界から見た、旅先としての日本のポジションは?

最後に、旅行者が海外旅行先を選ぶ際のポイントとなる旅行期間や予算に焦点をあて、海外旅行先としての日本の立ち位置を把握しておく。

「東アジア・東南アジア市場」では、東アジアを中心に日本への訪問率は高い。日本での旅行消費単価は20~30万円程度、4~7泊程度の滞在が大半だ。消費単価、滞在日数ともに欧米豪市場の旅行と比べると低い。

一方、「欧米豪・インド・中東市場」にとって、日本は必ずしも旅先として上位にランクしているわけではなく、旅行需要は欧州と米国や豪州間での行き来のほうが大きい。消費単価は40~60万程度、滞在は7~10泊程度。欧米豪での泊数はこれよりもさらに長くなる。

以上が調査結果の前半だ。後編では、世界の旅行者が海外旅行に求めるものと、世界の旅先と比較したときの訪日旅行の強みや弱みについての分析結果をお伝えする。

 

*本調査は、世界22市場で2021年3月~6月にかけて行われた。対象となったのは、2017年~2019年に飛行機を利用したレジャー目的の海外旅行経験者(欧米豪・インド・中東市場では中長距離海外旅行経験者)。

**「東アジア市場」「東南アジア市場」「欧米豪・インド・中東市場」の3市場に含まれる国や地域は下記の通り。
・東アジア市場…韓国、中国、台湾、香港
・東南アジア市場…タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム
・欧米豪・インド・中東市場…米国、カナダ、メキシコ、豪州、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ロシア、インド、中東地域(UAE、サウジアラビアを中心としたGCC(湾岸協力会議)加盟6カ国と、トルコ、イスラエルを含む)

 

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