データインバウンド
2022年IMD世界競争力ランキング、デンマーク初の1位 持続可能性など高評価。日本は過去最低の34位
2022.07.11
やまとごころ編集部スイス・ローザンヌに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所 (IMD) が2022年の「世界競争力ランキング」を発表。デンマークが34年間続くこのランキング史上初めて1位を獲得した。
このランキングは、「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているか」を基準に順位付けしたもので、2022年は世界の主要63カ国・地域の経済競争力を、「経済状況(パフォーマンス)」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの指標、300を超える項目から測定している。
首位のデンマーク、持続可能性とインフレ抑制が高く評価
2022年のランキングで、初めてトップに上り詰めたデンマークは、この5年間で6位、8位、2位、3位、1位と徐々に順位を上げてきた。
デンマークが1位となった理由について、ランキングを作成するIMD世界競争力センター(WCC)のディレクターであるアルトゥーロ・ブリス教授は「持続可能性の面で非常に積極的に行動している。ヨーロッパ市場の中で小国であることが有利になっており、小国の中で活動することで、温室効果ガス排出量削減に対する挑戦的な目標を掲げることができている」と解説した。
デンマーク政府は、10年間で温室効果ガス排出量を70%削減するという野心的な目標を掲げている。
一方、同国の経済パフォーマンスの高さについて、WCCのリサーチスペシャリスト、マルコ・ピティス氏によると、「同国への投資フローの増加、他の先進国と比較して物価上昇が抑えられていること、公的債務と政府赤字の減少により財政の強化ができたことが要因」という。また、平均寿命や国民皆保険制度の指標など、健康関連の指標が改善されたことも、大きな影響を与えた。
パンデミックからの回復を目指す欧州ではいま、インフレが大きな不安材料となっているが、今回のレポートでも、インフレの圧力が、温室効果ガスや社会経済的格差に関する懸念よりも、各国経済の競争力に大きな影響を与えていると指摘している。そんななか、デンマークのサステナビリティの推進やインフレ抑制が高く評価されたかたちになった。
1位のデンマークに続くのは2位スイス(前年1位)、3位シンガポール(同5位)。また、4位スウェーデン(同2位)、8位フィンランド(同11位)、9位ノルウェー(同6位)と北欧4カ国がトップ10に入った。
34位の日本、ビジネスや政府の効率性で評価低く
アジア勢では、シンガポールの3位(前年5位)が最高位で、5位香港(同7位)、7位台湾(同8位)と、前年同様3カ国・地域がトップ10圏内に入った。それぞれ感染拡大の抑制や経済パフォーマンスなどで評価が高かった。
11位以下では、17位中国(同16位)、27位韓国(同23位)、32位マレーシア(同25位)、33位タイ(同28位)で、日本は前年から3ランクダウンの34位でアジアでは10番目、2020年と同じで過去最低の順位となった。
日本の各指標における順位は以下の通りで、特にビジネスの効率性(項目では生産性・効率性57位、経営慣行63位)や、政府の効率性(項目では財政が62位)で評価が低い。
「経済状況」20位(前年12位)
「政府の効率性」39位(前年41位)
「ビジネスの効率性」51位(前年48位)
「インフラ」22位(前年22位)
なお、今回のランキングで最も改善されたのは18ランクアップした46位のクロアチアで、パンデミックの最も深刻な段階からの力強い経済回復と、観光部門の回復が要因として挙げられた。
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