データインバウンド
2023年1月世界の航空需要、中国の海外旅行再開が国内・国際線の回復を牽引
2023.03.15
やまとごころ編集部IATA(国際航空運送協会)が発表した2023年1月の世界の航空需要によると、新しい年に入っても航空機による旅行は順調に回復を続けているという。
1月の総RPK*は前年同月比67.0%増となり、パンデミック前の2019年同月比では84.2%(15.8%減)まで回復している。国際線RPKは、パンデミック前の77.0%(23.0%減)まで戻り、アジア太平洋地域を筆頭に全ての市場で力強い成長を示した。また、国内線RPKは中国の規制緩和により、パンデミック前の97.4%(2.6%減)と、ほぼ2019年の水準に戻った。
(*RPK:有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)
中国の海外旅行解禁で、アジア太平洋の国際線の回復進む
1月8日に中国が海外旅行を解禁したことで、旧正月に家族や友人に会おうと、中国発着の国際線のチケット販売が増加した。この傾向は2月も続くと見られる。
こうした影響もあり、2023年1月のアジア太平洋地域の国際線RPKは、2019年同月の6割近くまで回復している。なお、厳しい渡航制限が残っていた1年前の2022年1月と比べると約4.7倍になっている。世界的に見ると、アジア太平洋はまだ他の地域に遅れを取ってはいるものの、直近の動きにより見通しは明るいと言える。
なお、欧州、中南米、中東、アフリカ地域はこれまでの勢いを引き続き維持しており、特に欧州ー北米、欧州ー中米の路線は2019年のレベルを2020年以降初めて上回った。
国内線、中国で一気に回復、米は2019年の水準を超える
1月の国内線RPKでは、2019年同月比で2.6%減となり、12月より12ポイント近く改善している。地域別に見ると、2019年同月比11%減まで回復してきたアジア太平洋の成績が大きい。欧州は2019年比で15.4%増、また、アフリカ、北中南米もパンデミック前の水準を超えている。
1月の国別国内線RPKを見ると、ここでも中国の回復ぶりが目を引く。2019年同月比で13.7%減と、12月からは40ポイント以上改善している。2019年には総RPKの9.8%を占め、国内線RPKの27.1%を占めた中国という市場の大きさを考えると、その回復が全体に大きなインパクトを与えているのも同然だろう。
アメリカは引き続き好調で、2019年の水準を3.1%超えており、ブラジルやインドも2019年の水準まであとわずか。他の市場も多少の増減はあれど、パンデミック前に戻るのはもう目前と言えるだろ。
2023年の旅行需要、中国の渡航制限解除により力強い回復続く見込み
なお、1月の結果を受け、IATA事務局長のウィリー・ウォルシュは次のように述べた。
「2023年の航空旅行需要は、非常に健全なスタートを切った。中国の渡航制限が解除されたことは、この1年を通じてパンデミックからの業界の力強い回復が続くことを予兆している」
「北半球は伝統的に冬季は低調なのだが、今冬の旅行需要は引き続き多く、この夏はさらに忙しくなることが予想される。ただ、多くの人々が新しく回復した旅行の自由を楽しみ始めているこの時期に、オランダ政府がアムステルダム・スキポール空港の運用を一方的かつ不当に縮小し、彼らの移動を制限する計画を立てているのは、特に残念なことだ」
ここで言及されたスキポール空港運用の不当な縮小とは、オランダ政府が騒音や環境問題などを考慮して、スキポール空港の年間発着回数を現在の50万回から46万回に減らし、2024年までに44万回にまで削減することを決定したことだ。これまで、KLMオランダ航空は、次世代航空機の導入やSAF(持続可能な航空燃料)の活用により、発着枠を減らさずともCO2排出削減や騒音対策が可能と主張しており、航空各社と協力して、オランダ政府に異議申し立てを行っている。IATAなどもこれを支持している。
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