データインバウンド
2023年世界幸福度ランキング 1位は6年連続フィンランド、日本は47位。信頼の重要性増す
2023.03.30
11回目となる国連の世界幸福度レポート(World Happiness Report)とランキング2023年版が、国連が定めた「国際ハピネスデー」である3月20日に発表された。世界137の国・地域を対象にしたこの調査で、1位となったのは6年連続でフィンランドだった。
なお、このランキングは米調査会社ギャラップが全世界に対して行う世論調査をもとにしたもので、各国の約1000人に生活についての満足度を0から10までの11段階で自己評価してもらい「生活評価」を測定。各国単年の結果がそのまま反映されるのではなく、過去3年間の平均値による。今回は2020年から2022年の結果をまとめて2023年版として発表された。すなわち、全期間にわたってコロナ禍にあったことになる。さらにロシアのウクライナ侵攻、エネルギー価格や生活費の高騰などもあったが、大半がパンデミック前とほとんど変わらない数値を維持し、多くの国で寛容度が上がったと報告されている。
フィンランドが6年連続で1位、日本は47位
以下はトップ60とボトム5のグラフだ。世界幸福度は以下の7つの指標をもとにしており、グラフの各色は以下を表している。
青=国民一人当たりのGDP
緑=社会支援(「困った時に助けてくれるものや信頼できる人がいるか」という問いへの回答)
黄緑=健康寿命
黄=人生選択の自由(「人生で何をするか選択の自由があるか」への回答)
赤(深紅)=寛容さ(「過去1カ月にいくら慈善団体に寄付したか」への回答のGDPに対する度合い)
ピンク=汚職や腐敗の認知(「あなたの国やビジネスに汚職・腐敗が蔓延しているか」への回答)
紫=人生評価/主観満足度。世界最低の国の平均値と3年間の調査で出た各国の残余値を合計したもので、点数が大きいほどランキングが高くなっている。
▼世界幸福度ランキング2020-2022
出典:World Happiness Report
(なお、グラフのなかで*がついている国は、2022年の調査情報がないため、2020年と2021年の調査に基づいている。)
2023年のランキングでは1位フィンランド、2位デンマーク、3位アイスランドと続き、2022年のトップ3と変わらなかった。フィンランドはスコア7.804で2位に0.2ポイント以上の差をつけ、6年連続の首位だった。4位にはイスラエルが前年の9位から浮上した。順位の変動は多少あれど、トップ10の顔ぶれは前年と同様で、北欧からは5カ国が入った。
また、11位のオーストリア、12位のオーストラリアをはじめトップ11~20は1カ国を除いて同じ顔ぶれ。例外はリトアニアで、2017年の52位から今回の20位と、過去6年間で着実に上昇している。
日本は2022年版の54位から7ランクアップの47位でスコアは6.129、前年同様、国民一人あたりのGDPと社会支援のスコアが高いが、他者への寛容さがグラフに表れないほど少ない。
アジアではほかに、シンガポール(2022年順位27→2023年順位25)、台湾(26→27)、マレーシア(70→55)、韓国(59→57)、タイ(61→60)、モンゴル(68→61)、中国(72→64)がランキングの上半分に入った。最下位は前年同様アフガニスタンで、トップ10と比べるとスコアが5ポイント以上低かった。
パンデミックで高まる善意の心
日本で、慈善活動などを含む寛容さが不足していることは前述したが、世界全体では善意の心が高まっている。昨年のレポートでも、パンデミックで見られた最も顕著な変化として、世界的に慈善活動が急増したことが挙げられたが、その傾向はその後も続いており、プロソーシャルな行動はパンデミック前の2019年と比較して25%増加している。
一方、2022年よりロシアのウクライナ侵攻が始まったが、今回の全体の順位はロシアが70位で、ウクライナは92位だった。ウクライナでは寛容さが急増し、ロシアでは減少した。ウクライナの苦難や被害の大きさにもかかわらず、2022年9月の生活評価は2014年のクリミア併合直後よりも高く、ウクライナの指導者に対する共通の目的意識、博愛、信頼がはるかに強くなっていることに支えられている。
危機の時代における信頼の重要性
新型コロナウイルス感染症の影響に関する研究の多くでは、パンデミック対応を成功させるための支えとして、国民の信頼の重要性を挙げている。2020年版の『世界幸福度レポート』では、社会的・制度的信頼度が高いところで暮らす人は、信頼や信用が低い環境で生活している人よりも幸福度が高いことが明らかになった。高い信頼の恩恵は、病気、失業、低所得、差別、治安の悪さなど、逆境にある人々にとって特に大きかった。
また、同レポートの2013年版は、2007~2008年の金融危機がもたらした幸福への影響は、相互信頼のレベルが高い国々ほど小さいことがわかった。これらの知見は、津波、地震、事故、嵐、洪水など、さまざまな危機に直面したとき、一般的に、高いレベルの信頼を持つコミュニティの方がはるかに回復力が高いことを示す幅広い研究と一致している。
社会に信頼と協力があれば、素早い対応を取ることができ、それ自体が市民の幸福を向上させる。それだけでなく、人々は他人の善行を見る機会を得たり、自らも奉仕することで思いがけず幸福を感じることができるとレポートは伝えている。
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