データインバウンド
2023年1-3月期の国際観光客数 2019年比8割、アジア地域は夏の旅行で回復加速か-UNWTO
2023.05.22
やまとごころ編集部UNWTO(国連世界観光機関)から、世界の観光動向を伝える「世界観光指標」の最新データが発表された。年初の見通しでは、2023年の世界における国際観光客到着数は、コロナ前の80~95%になるとのことだったが、実際に1月~3月の国際観光客到着数はコロナ前の80%を達成、2023年は予測通りのスタートとなった。第1四半期(1~3月期)のデータを詳しく見ていこう。
2023年1~3月期の海外旅行者数は昨年の2倍
2023年第1四半期に世界を行き来した旅行者数は2億3500万人。前年同期の2倍を超え、コロナ前の80%にまで回復した。地域別では、これまで回復スピードが最も速かった中東が、コロナ前の2019年を超える数値(15%増)を達成。パンデミック以降の全四半期を通じて、コロナ前の水準を超えたのは、今期の中東が初めてである。ほかの地域では、ヨーロッパがコロナ前水準の90%、アフリカが88%、北中南米が85%まで回復。アジア・太平洋地域では54%と遅れているが、中国の国境も開放され、今後は回復にも勢いがつくだろう。
より細分化した地域で見ると、南・地中海ヨーロッパと北アフリカがコロナ前を超えるレベルまで回復。また、コロナ前とほぼ同水準まで回復している地域が、中米(98%)、カリブ海(94%)、西ヨーロッパ(92%)、北ヨーロッパ(91%)だ。
▶国際観光客到着数:2019年と比較した2023年1~3月期の回復率(%)
左より、中東、欧州、アフリカ、北中南米、世界、アジア・太平洋
(出典:UNWTO)
2022年国際観光収入の回復率、欧州は87%、アジア太平洋は28%にとどまる
海外旅行の回復により、2022年の国際観光収入は2021年から50%増え、1兆ドルにまで達した。地域別では、最も収入が多かったのはヨーロッパ。2019年比の87%にあたる5500億ドルに上った。アフリカは75%、中東が70%、北中米が68%まで回復した。一方、長らく国境閉鎖が続いたアジア太平洋地域では、回復率が28%と出遅れている。
アウトバウンド市場を見ると、2022年の国際観光支出が2019年の水準か、それを超えた国には、フランス(+0%)、ドイツ(+2%)、オーストリア(+6%)、サウジアラビア(+6%)、ポルトガル(+8%)がある。アメリカ、イタリア、オランダ、スウェーデン、ベルギーもコロナ前の水準をクリアするまであと一歩だった。
▶国際観光収入:2019年と比較した2022年の回復率(%)
左より、欧州、アフリカ、中東、北中南米、世界、アジア・太平洋
(出典:UNWTO)
5月~8月の夏のシーズンも堅調に回復
UNWTO観光専門家委員会による今後の見通しはどうだろう。北半球でこれから夏のピークシーズンを迎える5月~8月について、約7割が2022年と比べてよくなる、または、さらによくなるという回答を示し、ポジティブな期待感が強い。中国やほかの主要なアジア市場との行き来が再開したことで、2023年を通じて、国際観光の回復は続くと見られている。
その一方、回復への懸念材料が、航空運賃や宿泊費に影響を与える高インフレ、燃料費高といった経済状況だ。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻、その他の地政学的な緊張感の高まりもあり、旅行者はコストパフォーマンスをより求め、近隣への旅行を選ぶようになるという見方もある。
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