データインバウンド
2024年1~7月の世界の旅行者7億9000万人、2019年比96%。観光収支の成長強く-UN Tourism
2024.09.26
やまとごころ編集部UN Tourism(世界観光機関)から、2024年7月までの観光動向を伝える最新レポートが発表された。2024年1~7月までの国際観光客到着数は、7億9000万人。前年より11%増え、コロナ前水準の96%に達した。国際観光収支の伸びも力強い。
2024年1~7月の国際観光客到着数は、コロナ前の96%
世界の観光客数は、2024年のスタートからの勢いを持続。経済的、地政学的リスクが続く中、この7カ月間は、年内での完全回復を見込む世界観光機関の予測通りの結果を示している。
航空便の増加とビザ取得の簡素化の後押しもあり、国際観光は、世界の全地域において回復している。地域別で最も力強いのが中東で、2024年1~7月の国際観光客到着数は、コロナ前の2019年を26%上回った。アフリカも2019年比で7%の増加。欧州は同期比99%、北中南米は97%。アジア・太平洋は82%まで回復し、6月は85%、7月では86%と回復率は伸びている。
都市別では、世界120都市中半数以上の67都市で、2024年上半期の到着数が2019年を上回った。
国際観光収支の回復、さらに力強く
2024年上半期の国際観光収入では、データが入手できる63カ国中47カ国でコロナ前の値に回復した。多くが2ケタの伸びを見せ、中でもサウジアラビアでは、第1四半期に2019年同期比207%増という驚くべき結果を示した。
2024年1~7月における国際観光支出では、2019年比で、アメリカ(32%増)、ドイツ(38%増)で、アウトバウンド旅行の需要が好調であった。第1四半期だけのデータになるが、インドでは2019年同期比86%増と急成長している。
また、2023年の修正データでは、国際観光による輸出収入(観光収入と旅客輸送)は1兆8000億米ドル(約260兆円)で、実質的にコロナ前と同じレベル(実質値で2019年比1%減)となった。観光業の直接GDPも2023年にコロナ前水準を回復し、推定3兆4000億米ドル(約491兆円)兆に達した。これは世界GDPの3%に相当する。
旅行へインフレ影響あるも、2024年後半も明るい見通し
最後に、世界観光機関による2024年第4四半期(9~12月)の見通しが示された。観光専門家委員会による「信頼指数」では、100点がこれまでと同程度を示す指標で、200点中120点がつけられた。130点がつけられた第3四半期(5~8月)の予測値より下がったが、前向きな期待が見られる。回答の内訳は、47%がよりよくなる、41%は同じ、11%が悪化する。観光産業の業績は、好調だった2023年以降、少しずつ正常化していることを示している。観光産業が現在直面している主な課題として、観光専門家たちから指摘されたのは、移動費、宿泊費の高騰といった旅行・観光におけるインフレ、世界的な経済状況、人員不足、異常気象であった。
▼2024年1〜3月の実績はこちら
2024年1〜3月の世界の旅行者2億8500万人、逆風強くも完全回復へ 2019年比97%。中東大きく成長-UN Tourism
最新のデータインバウンド
【訪日外国人数】2024年11月訪日客数318万7000人、累計数3337万人で年間過去最高を更新 (2024.12.19)
2024年アジア太平洋地域の消費トレンド、クレカ支出の3割超が旅行費用に。ミレニアル世代の支出旺盛 (2024.12.17)
世界のトップ100都市デスティネーション・インデックス2024発表、1位はパリ。3位にランクインした東京の評価ポイントは? (2024.12.12)
2024年1-9月の国際観光客数11億人突破、観光収入も大幅増。欧州などで2ケタ成長ーUN Tourism (2024.12.09)
観光立国タイの新たな一歩、同性婚法制化が年3000億円の観光収入増と予測。雇用増への影響は? (2024.12.05)
【宿泊統計】2024年9月外国人延べ宿泊者数2019年比49.8%増の1238万人泊。金沢への注目高まる石川県が伸長 (2024.12.02)
障がいを持つ人の訪日旅行に対する期待と現実の差が明らかに、正確な情報発信も課題に ーアクセシブルツーリズム調査 (2024.11.29)
航空機利用の旅行者が求める空港体験の効率化、生体認証も5割が経験ー2024年 IATA旅行者調査 (2024.11.25)
【訪日外国人数】2024年10月訪日客数331万2000人 単月最高を記録、累計は過去最速で3000万人を突破 (2024.11.21)