データインバウンド
2026年1月訪日宿泊15%減の1283万人泊、中国62%減も地方は堅調
2026.04.01
やまとごころ編集部観光庁の宿泊旅行統計調査(2026年1月・第二次速報)によると、1月の外国人延べ宿泊者数は1283万人泊となり、前年同月比15.3%の大幅な減少となった。もっとも、宿泊者全体に占める外国人の構成比は28.2%に達しており、インバウンド需要が宿泊市場の大きな柱である状況に変わりはない 。
今回は、中国市場の大幅減が全体に大きく影響している点が特徴的だが、一方で、地方部では高い伸びも見られており、インバウンド需要は「総量減少」と「訪問先の多様化」が同時に進行する形になっている。
2026年1月のインバウンド宿泊、前年同月比15%減に
日本人を含む宿泊者全体は4546万人泊(同7.0%減)で、12月に続き減少幅が拡大した。このうち日本人延べ宿泊者数は3263万人泊(同3.3%減)と前月(12月:同4.9%減)からは下げ止まりの動きを見せたものの、外国人延べ宿泊者数は1283万人泊(同15.3%減)で、前月(12月:同2.3%減)を上回る大幅減となった。
なお、最新の2026年2月(第1次速報)では、全体で前年同月比3.5%減の4625万人泊、外国人延べ宿泊者数は1298万人泊(同5.6%減)と、春節時期もあり多少は持ち直していることがわかる。


「三大都市圏」が苦戦、シェアは6割を切る
地域別に見ると、三大都市圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県)の外国人延べ宿泊者数は767万人泊で、前年同月比18.2%減となった。構成比も前年同月の61.9%から59.8%へと低下した。
ここまで伸びを示していた地方部も1月は減少に転じ、516万人泊で前年同月比10.6%減だった。ただし、構成比は40.2%で、2025年1月(38.1%)からは拡大しており、相対的な地方分散の勢いは衰えていない。

主要都市で前年割れが顕著、関西圏は2割超減も沖縄はプラス成長
外国人延べ宿泊者数の上位都道府県を見ると、東京都410万7140人泊(前年同月比13.0%減)、大阪府163万3880人泊(同24.5%減)、京都府86万6260人泊(同25.6%減)といった主要観光地で前年割れが顕著となった。特に関西圏の落ち込みが大きい。
また、北海道(同18.6%減)や愛知(同31.9%減)など、広域周遊のハブとなる地域でも減少が見られる。
トップ10の中で唯一、明確なプラス成長を維持したのが、54万7140人泊(前年同月比12.6%増)の沖縄県だった。沖縄は、リゾート需要の回復、冬季の気候優位性といった構造により、都市型観光地とは異なる回復軌道を描いている。


地方部で顕著な高成長、分散の兆し
一方、伸び率上位を見ると、地方部で非常に高い成長が確認される。1位は高知県で、前年同月比82.0%増の1万4940人、ついで、福島県(6万7690人、同61.2%増)、栃木県(4万5770人、同51.3%増)、島根県(7340人、同45.3%増)、茨城県(2万2780人、同42.3%増)が続く。
これらの地域は絶対数こそまだ小さいものの、二次・三次観光地としての需要拡張や、体験型コンテンツの強化、アクセス改善といった施策が一定の成果を出し始めていると考えられる。

国籍・地域別:対中需要ショックが全体を押し下げ
国・地域別の外国人延べ宿泊者数を見ると、1位は韓国で204万7670人泊(前年同月比6.4%増)、2位は台湾で204万1930人泊(同3.8%増)、3位の中国は128万70人泊(同62.9%減)と大きな落ち込みを見せた。続いて4位がアメリカ98万590人泊(同5.4%増)、5位がオーストラリア89万6220人泊(同10.4%増)だった。上位5カ国・地域で全体の63.4%を占める構成となった。
2026年1月の最大の特徴は、中国市場の急減である。外国人延べ宿泊者数は128万70人泊と前年同月比62.9%減となり、前月(36.4%減)からさらに落ち込みが拡大した。
背景には、日本渡航に対する注意喚起の継続に加え、2026年は旧正月が2月にずれたことがあるとみられる。実際、訪日客数も同60.7%減と大きく減少している。
中国は都市部(東京・大阪・京都)への集中度が高い市場であるため、今回の需要減はこれら主要都市の宿泊需要を押し下げた可能性が高い。
また、香港も前年同月比21.6%減となった。背景には、中国同様に旧正月が2月に後ろ倒しとなった季節要因に加え、前年同月と比べて日本路線の航空座席供給が減少した影響があるとみられる。こうした複合的要因により、従来インバウンドのボリュームを支えてきた短期・都市集中型需要の減速が続いている。
一方で、16位のイタリア(同36.2%増)や23位のロシア(同89.6%増)など、伸び率の高い欧州市場や、堅調なアメリカ(同5.4%増)、オーストラリア(同10.4%増)が地方部の需要を支える構図が鮮明となった。
▶︎国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数(2026年1月[第2次速報])
なお、2026年1月分調査より、国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数の調査では、北欧地域、中東地域、メキシコが調査対象国に追加されている。また、調査の抽出基準が「従業者数」から「客室数」に変更されており、前年比の数値にはこの見直しの影響が含まれている可能性があることに留意されたい。
【編集部コメント】
中国市場減速と地方伸長が示す構造変化
今回の注目は、中国市場の急減が全体を押し下げる一方、地方部での伸びが進んでいる点である。都市集中型需要への依存が揺らぐ中、体験型・分散型へのシフトが鮮明になりつつある。この変化をどう捉えるか。自社の顧客構成や販路が特定市場に偏っていないか、また地方連携やコンテンツ強化による新たな需要獲得の余地がないか、改めて見直す視点が求められる局面である。
(出典:観光庁、宿泊旅行統計調査2026年1月・第2次速報)
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