インタビュー

株式会社ジェーティービー 取締役相談役 舩山龍二氏

2008.08.10

印刷用ページを表示する


インバウンドを知らずに旅業を語るな

株式会社ジェーティービーの取締役相談役だけでなく、JGA(日本観光通訳協会)やTIJ(日本ツーリズム産業団体連合会)などの会長として業界を牽引されている舩山龍二氏にインタビューをいたしました。

【日時】2008年9月10日(水)15:00~16:30
【場所】JTB本社

【経歴】
舩山龍二(ふなやまりゅうじ)
株式会社ジェイティービー 取締役相談役

生年月日 昭和15年2月6日

【略歴】
昭和15年 山形市生れ
昭和37年 東京教育大学理学部卒業後、(財)日本交通公社(当時)入社。
支店長、国内旅行部長、経営企画部部長等を歴任後、平成3年取締役九州営業本部長、平成5年常務取締役人事部長に就任。
平成8年 代表取締役社長に就任、同14年6月代表取締役会長就任
平成20年6月 取締役相談役へ就任

【社外役職】
日本観光通訳協会 会長(2003年2月~)
日本ツーリズム産業団体連合会 会長(2004年6月~)

【政府関連】
国土交通省・交通政策審議会の委員として観光分科会、航空分科会のメンバーでもある

【賞罰】
2007年 国土交通大臣賞

以下、インタビューの内容です。

 

Q1.舩山氏は、現在JTB取締役相談役、JGA(日本観光通訳協会)会長、TIJ(日本ツーリズム産業団体連合会)会長を務められておりますが、それぞれのポジションでどのようなことに取り組まれていらっしゃるのでしょうか?

まずJTBの取締役相談役ですが、私は代表取締役社長と会長を経験してきたので、それらの経験をもとに会社の方向性が間違わないよう、裏で支えるような役割を担っています。ですので、特に表に出て意見を述べるようなことはあまりありませんが、私はこの会社で一番の古株で、古い時代から得てきた経験を伝えていくことが私の役割として非常に重要だと思っています。JTBはあと4年で設立から100年経ちますが、私は現役の中で一番その歴史を知っています。例えば、弊社の看板商品でもあるLOOK JTBですが、それを立ち上げた頃の苦労話もよく知っています。当時JAL PACKに対抗し、あらゆる素材を使って商品をつくり上げることが旅行会社の役目だと考え、JTBの商品を作るために奮闘しました。しかし、当時JTBはまだまだ小さな企業であったため、商品化するだけの力がほとんどなかったのですが、日本通運と組むことでLOOK JTBを作ることができました。もちろん最初の頃は、売上にも大きな差がありました。今ではJTBの看板商品となっていますが、ゼロから作り上げた苦労を私は良く知っていますので、そのような古くからの経験と、経営者としての経験から、旅行会社としてあるべき姿や、会社を良くするための話、経営者としての考え方などを伝えています。

JGAの会長については、やはり通訳ガイドの方々が抱えている様々な問題を解決していくと共に、職業としての価値観を教え、就業の機会も増やし、個人の仕事である通訳ガイドの仕事を総括的にサポートしています。

TIJは様々な旅行関連団体の集まりであり、ツーリズム産業はどの程度、世の中に貢献しているのかというデータ分析や、インバウンドではVJC(ビジット・ジャパン・キャンペーン)のサポートをしたり、あるいは人材開発のための教育として大学で講演を行い、若い人材に対する呼びかけ等を行っています。

また、これ以外の機関や団体にも属し、様々な仕事を担っています。

 

Q2.舩山氏が旅行業界に入られたきっかけとは何だったのでしょうか? また、過去のキャリアの中で持ち続けた価値観やテーマは何でしょうか?

もともとは教員を目指していたのですが、たまたま受けたJTBの採用試験に合格したのがきっかけとなりました。また、大学で地理を学んでいたり、旅行にもよく出かけていたこともあり、興味を持つようになりました。

入社後は販売課長や支店長などを経験しましたが、その中で自社の商品を売る「営業」の仕事は重要だと感じました。販売する商品を磨きあげることによって、それをお客様に喜んでもらうということです。

また、私は「会社を良くするための3つのポイント」というものを掲げています。

まず一つ目は、「良いサービス、良い商品を提供していくこと」です。良いものを提供していくことでお客様に喜ばれ、さらに社会的に優良な会社であると認知されることです。

そして二つ目は、良いサービス、良い商品を提供していくために、「社員が創造と挑戦を繰り返していくこと」です。自ら積極的に行動していくことで自己実現し、達成感を生み出していきます。

そして三つ目は、「会社として利益を出すこと」です。やはり会社を経営していく以上、利益を生み出さなければいけないということ、利益が出た場合には、きちんと株主や社員へ還元するということも大切です。

支店長時代の時も、会社のトップに立った時も常にこれらのことを頭の中に置いて行動をしてきました。

また、経営者としての心構えとしては「決して逃げてはいけない」ということです。どんな状況に陥ったとしても、トップとして背中を向けてはいけないと思っています。さらに、「決断力」も必要です。例えば、98年のワールドカップの時、観戦チケットが足らないという事件がありました。その時チケットが取れなかったことを謝罪し、お客様の旅費もすべて負担するという決断をしましたが、それにより会社の信頼を得ることができました。時に大きな決断を迫られることもあるため、その際の決断力も非常に重要です。

(Part 2へ続く)

最新のインタビュー