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自然災害からの戻り厳しく、4000万人達成に黄色信号。RWCはメディア対応強化で地方の魅力を発信 —JNTO 第2回メディアブリーフィング  

2019.05.08

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日本政府観光局(JNTO)はこのほど、今年2回目となるプレスブリーフィングを開催し、2018年及び2019年第一四半期の訪日旅客数動向や、今年9月に開催されるラグビーワールドカップ(RWC)2019に向けての取り組みなどを発表した。

中国以外の東アジア市場の関空経由入国が苦戦

相次ぐ災害の影響で、2018年の訪日客数は対前年比8%増の3119万人と伸び率が鈍化。災害の影響はおおむね脱したように感じられるが、東アジア市場では、韓国からの入国者数が前年より減少しており、台湾、香港も戻りが良くない。中国経由での入国が全体をけん引している状況だ。

韓国に関しては、出国者数の成長率は鈍化の傾向にはあるものの、減少には至っておらず、旅行先が日本から中国やベトナムへと流出していることも一因として考えられる。

東南アジア市場と欧米豪市場の伸び率は順調だが、訪日の7割以上を占める東アジア市場が与える影響は大きく、今後も全方位に力を入れる方針は変わらない。

2020年4000万人達成はハードル高い

2020年に訪日客数4000万人を達成するためには、2年間で、成長率13.3%ずつという高い伸び率が求められる。

さらに、過去にオリンピックが開催されたギリシャ、中国、イギリスのケースを見ても、大会開催年は訪問客の伸び率が鈍化するか、減少しており、この間は普段来るような観光客が旅行を控えることが考えられる。

昨年は災害の影響こそあったものの、成長率は8%、4000万人達成の実現に必要な成長率13.3%というハードルは決して簡単ではないことを強調した。

ラグビーワールドカップこそ地方への訪日客誘致につながるチャンス

今年9月にはRWC、2020年には東京オリンピックの開催を控えている。オリンピックは17日間(パラリンピックとあわせて30日間)、東京をメインに開催されるのに対し、ラグビーワールドカップは札幌から九州まで全国12都市で開催され、開催期間も44日間と長い。ラグビーファンの多い欧米豪からの訪日客により、試合のない日を活用した地方への訪問や消費が期待できる。

大会を通じて見込まれる訪日客数は数十万人規模とインパクトは決して多くはないが、大会後に引きずられる形で地方を訪れる人の増加は期待できる。

その一手段としてJNTOでは、取材目的で訪れるメディア対応の強化を呼び掛けている。具体的には、取材先に関する多言語での情報提供や、観光地の撮影許可が円滑に行えるような準備、外国語の受入れ体制強化などをあげた。また、取材に訪れた記者に対し、記事化を求めるのではなく、しっかりと対応することで自発的な記事化を期待するレベルが良いということにも触れ、地域の特徴や魅力を織り込んだメディア歓迎イベントなども効果があることを強調した。

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(やまとごころ編集部)

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