インバウンドニュース
UNWTO 2020年の国際観光客到達数20-30%の減少、国際観光収入2019年の1/3喪失と予測
2020.03.31
世界観光機関(UNWTO)は26日、新型コロナウイルスが国際観光に及ぼす影響について最新の評価予測を発表した。現在世界中で実施されている渡航制限を考慮に入れ、2019年の数値と比較すると2020年の国際観光客到達数は20%から30%の減少すると予測した。UNWTOは、これらの数字が前例のない社会的および経済的危機に直面している中での試算であり、不確定要素に注意して解釈をする必要があることも強調している。
過去を振り返ってみると、国際観光客到達数は、2003年のSARS発生の際に0.4%減少、2009年の世界的な経済危機の際には4%減少した。今回の20〜30%と予想される下落は、3000億〜4500億ドルの国際観光収入(輸出)の減少に相当し、これは2019年に得た1.5兆ドルのほぼ3分の1に相当する。これは5〜7年分の市場の成長が新型コロナウイルスの感染拡大により失われることを意味する。
UNWTOのポロリカシュヴィリ事務局長は、「観光は経済活動のうち、最も大きな打撃をうけたセクターの一つだ。我々は、この緊急事態へ対処するために団結し、特に雇用や経済活動の復興を支援していく」と述べた。また、新型コロナウイルス感染拡大が観光に及ぼす影響を完全に評価するには時期尚早であること、観光事業の約80%は中小企業であり、このセクターが女性や若者、地方での雇用などを提供することにおいて先導的役割を果たしてきたが、この危機で何百万もの雇用が失われるリスクがあることが明らかであることを付け加えた。
UNWTOは、観光産業の持つ回復力と危機終息後の雇用創出能力を強調するとともに、国際協力の重要性とこのセクターが復興活動の中心となることを強調している。この危機が始まって以来、UNWTOは世界保健機関(WHO)を始めとする広範な国連システムと緊密に連携し、対応の強化のため、世界観光危機委員会を設立して対応にあたっている。
(やまとごころ編集部)
編集部おすすめ関連記事:
4/9更新【入国規制まとめ 】世界旅行ツーリズム協議会、7500万人が失職と予測
【コロナの先のインバウンド業界⑤】コロナショックに対峙するための3つのR—JNTO(日本政府観光局)小堀 守氏
コロナに揺れるインバウンド業界。先の見えない観光の未来を、旅人視点で見据えてみる
UNWTO コロナウイルス感染拡大を受け2020年世界の観光客数を下方修正、アジアは9~12%減と予測。終息後の観光業への支援を強調
関連インバウンドニュース
2024.12.20
2023年の国際会議統計JNTOが発表。日本開催は前年比2.5倍、外国人参加者数は4倍に、対面式が回復
2024.12.03
「ワンピース」が熊本の訪日外国人増に大きく貢献、最大は宇土市で2019年度比7倍に ーナビタイムジャパン
2024.11.28
ワールド・トラベル・アワーズ2024ファイナル、5年連続で世界一のデスティネーションに選出されたのは?
2024.11.26
企業の人手不足を調査、正社員が足りない企業は半数超。飲食店、宿泊施設の不足率は緩和傾向に
2024.11.18
2024年のベスト・ツーリズム・ビレッジ発表、55地域認定。日本は鹿児島と山形の2地域が選出-UN Tourism
2024.11.01
中国10都市で安全安心に関する意識と要望を調査。訪日客の災害時の不安や対応方法が明らかに
2024.10.21
2024年「世界の持続可能な観光地トップ100」発表。7年連続の釜石含む5地域入選、3地域がシルバーアワード受賞
2024.10.15
2023年の旅行・観光業界、CO2排出量減。持続可能な業界への成長を報告 ―世界旅行ツーリズム協議会