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観光業における気候変動対策グラスゴー宣言始動 CO2排出量 2050年までに実質ゼロに、ニセコ町も署名

2021.11.08

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観光業における気候変動対策のグラスゴー宣言の署名式が4日に行われ、正式始動した。

この宣言は、昨年から延期になっていたイギリスのグラスゴーで開催されている第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で正式に立ち上げられたものの1つ。観光産業のステークホルダーの気候変動に対する意欲を高め、2030年までにCO2排出量を半減、2050年までに可能な限り早期に実質ゼロを達成、2100年までに世界の気温上昇を産業革命以前のレベルから1.5度以内に抑えるという目標を掲げているもので、この宣言を支援するための強力な行動を確保することを目的として、正式に発表される。

UNWTOの調査によると、観光業のCO2排出量は2005年から2016年にかけて少なくとも60%増加しており、脱炭素化を加速しない限り、2030年にはセクターのCO2排出量が2016年と比較し25%以上増加する可能性がある。2050年までに実質ゼロにするためには、観光産業の回復によって持続可能な消費と生産の導入を加速させ、経済的価値だけでなく、生態系やコミュニティの再生をも考慮し、将来の成功を再定義した場合にのみ可能となるとしている。気候変動対策を通じて観光産業を変革することは、観光産業の競争力、持続可能性、回復力を高めるために欠かせない。

観光業における気候変動対策のグラスゴー宣言では、大きく以下の3点を目的としている。

1.今後10年間の気候変動対策において、より広範な枠組みと今すぐ行動すべき緊急性に基づいた明確で一貫性のあるセクター全体のメッセージとアプローチを定義すること
2.観光産業の変革を加速し、可能な限り早期に二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するための道筋と具体的な行動の概要を示すこと。
3.観光産業の署名者に、気候変動の緊急事態に対する観光産業の対応を拡大することへの公的支援を示すことを奨励すること。

UNWTOなどが環境対策で実績のある各国の自治体や観光事業者に広く署名を呼び掛けており、署名者は、グラスゴー宣言の柱である2030年までにCO2排出量を半減させ、2050年までに可能な限り早期に実質ゼロにするという目標を支持し、加盟後1年以内に具体的な行動計画を提出、それを実行していくことになる。宣言の5つの道筋となる、計測、脱炭素化、再生、協力、資金調達に沿って実施し、進捗状況を年に1度報告する。

事業者や国、観光業のステークホルダーに観光地など、既に300以上が署名しているという。ニセコ町は2日に署名したことを公表した。

4日には、政策立案者や業界の代表者が、戦略的なアプローチについて議論し、その後、UNWTO事務総長と事務局長が出席した上で、パナマの観光大臣やミクロネシア連邦政府代表、WTTC副会長などにより調印式が行われた。

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