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能登半島地震による被災地域の企業活動、停滞の懸念。観光業への影響も ー帝国データバンク

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2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」により影響を受ける企業活動について、帝国データバンクが調査を行い結果を発表した。2023年11月時点での能登地方の企業データを基に分析したもので、被災地域の状況を把握し、復興への一助となることを目的としている。

今回の地震で関連地域ではまだライフラインの復旧見込みが立っておらず、停電や通信障害や道路網の寸断などから、生産・消費活動双方が多大な影響を被ると見られている。復旧・復興が長期化するとなれば、能登地方に工場や営業拠点がある企業と取引のある、全国の企業にも影響が出る可能性もある。

能登地方の企業数を業種別でみると最多は「建設業」の1453社(構成比35.7%)、次は「サービス業」の768社(18.8%)で、これには医療や宿泊業も含まれる。3番目は「製造業」で632社(15.5%)だった。

石川県・富山県の、13市町村がある能登地方に本社を置く企業は計4075社で、本社数が最も多いのは七尾市の705社(構成比17.3%)。次いで氷見市の596社(14.6%)、かほく市の498社(12.2%)。今回の地震被害が甚大な輪島市は315社(7.7%)、珠州市は210社(5.2%)だった。

能登地方に本社を置く企業の売上高の合計は1兆3018億円で、売上高が最も多いのは、かほく市の2496億円(構成比19.2%)。産業別では「製造業」の4346億円(33.4%)が最も高く、次いで、医療や宿泊業などが含まれる「サービス業」が2022億円(15.5%)、「建設業」が1785億円(13.7%)で3番目となった。また、総売上高が1000億円を超える業種は7業種のうち4業種で「小売業」も含まれている。

従業員数(正社員)の合計は4万9728人、業種別の最多は「サービス業」で1万6603人となった。サービス業種の中で企業数が多いのは医療業や宿泊業で、過去には東日本大震災や熊本地震、北海道胆振東部地震など、一時的に需要が大幅に減少する傾向が見られた。このような前例から、今回も能登半島を中心にした観光業に影響が広がりそうだ。また「製造業」の範疇にある輪島塗や七尾仏壇など、伝統工芸品の生産活動への影響が懸念される。

能登半島の工場などの生産ラインは大手企業が進出して築き上げた事例も多く、今後じわじわと関連地域での部品供給などが滞ることも予想される。今後、全国規模で影響の状況確認が求められる。

 

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