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2023年日本酒輸出量、中国と米国の消費減退で前年割れの410億円。韓国、台湾で需要増、高額日本酒への注目高まる

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円安を追い風に、2023年のインバウンド消費は過去最高の5兆円、訪日客数は約2500万人とコロナ前の約8割まで回復した。また、観光庁が発表した最新の訪日外国人消費動向調査(2023年7〜9月)によると、「訪日前に期待すること」に対して「日本のお酒を飲む」と答えたのは約33%。訪日客の酒類購入率は約22%となっており、日本酒など酒類に対する訪日客からの期待が高い。

そんな中、全国約1700の酒造が所属する業界最大の団体である日本酒造組合中央会がこのほど、2023年(1月~12月)の日本酒の輸出実績を公表した。それによると、2023年の日本酒の輸出総額は前年比87%の410.8億円、数量は前年比81%の2.9万キロリットルだった(2023年財務省通関統計のデータに基づく)。

日本酒の輸出額・数量は前年を下回ったものの、1リットルあたりの2023年日本酒輸出金額は過去最高を記録した。10年前の平均輸出金額が1リットル650円だったのが、2023年は1407円と2倍以上になっている。

日本酒輸出総額は2022年まで、過去最高額を13年連続で更新し続けていたが、総輸出額、総数量の約半数を占める中国、アメリカの影響が出た形となった。ただ、数量に比べると金額の減少率が小さく、付加価値の高い日本酒が輸出される傾向にある。

国、地域別の輸出金額で1位の中国は124.7億円(前年比88.0%)だった。中国では、日本酒は高級酒として富裕層を中心に人気を集め、好みの日本酒をレストランに持ち込み楽しむスタイルも見られるが、景気減退、日本産水産物輸入の一次停止などの措置による高級日本食レストランの不振の影響が出た。2位のアメリカは90.0億円(前年比83.2%)、2022年入荷在庫の調整、消費マインドの減退などが原因と見られる。

3位の香港(前年比84.7%)も減少しているが、4位の韓国(前年比115.1%)、5位の台湾(前年比120.5%)は、順調に数量、金額ともに伸長した。また、イタリア、ブラジル、スペインも増加している。

日本酒認知度の低い国・地域も多く、一層の新市場開拓に期待がかかる。

 

日本酒輸出量拡大に向けた中長期見据えた今後の展望については、アメリカのテキサスやフロリダ州などまだ日本酒の認知が低い地域での認知度向上や、約7割を占める中国、アメリカ、香港以外の国・地域への販路拡大、多角化などが大切だという。

日本食レストランが急増している東南アジア、中南米のブラジル、メキシコなどの動向にも注目だ。ASEAN加盟国による地域的な包括的経済連携協定(RCEP)での関税の段階的撤廃、カナダや台湾との有機表示同等性承認がされ、JAS認証有機日本酒が輸出可能になったことなどが、追い風になりそうだ。

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