インバウンド特集レポート

フルーツ狩りツアーが訪日客で大盛況! 日本のフルーツを好きな国は?

2018.05.07

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日本のフルーツが外国人観光客に人気だという。国内各地のフルーツ狩りツアーは盛況で、成田空港では今年から国産フルーツの販売も始まっている。では、どの国の人たちが日本のフルーツを好んでいるのか。近年のインバウンド需要をいかに輸出の促進につなげ、国内農業の活性化に導くのか。取り組みは静かに始まっている。

 

4月上旬、千葉県成田市の果樹園「熱田農園」に約40名のシンガポール客が観光バスで訪れた。ほのかな甘い香りに包まれたビニールハウスの入口をくぐると、収穫したばかりの真っ赤なイチゴの山を目にしたツアー客は「ワォー」と思わず声を上げた。

彼らは順位やタイムを競わず、環境に配慮しながら走るエコ・スローマラソン印旛の参加者たち。同ツアーを主催するNPO法人エコマラソンインターナショナルの西一理事長は「毎年シンガポールからの参加者をこの農園に案内しているが大好評だ」と話す。

 

成田空港に近いイチゴ狩り農園のアジア客

同園では毎年12月から4月にかけてイチゴ狩りを受け付けているが、2005年春からタイのツアー客が訪れるようになり、その後シンガポールやフィリピンなど東南アジアの国々の人たちに口コミで広がったという。予約はツアーガイドから電話で直接入るが、成田空港から車で15分の近さもあり、入国後直行するグループも多いという。

30分食べ放題で1人当たりの料金は1,200円~1,700円(大人 ※時期によって違う)。わずか半時で楽しめる満足度の高いアトラクションとして多くの東南アジアからのツアーに組み入れられるようになった。

同園を訪れたタイ語ガイドの本間ウィラノーンさんは「タイ人が日本のイチゴを好きな理由は、甘くておいしいこと。タイでは中国産が多いけど、残留農薬が心配。日本産は値段が高いので、せっかく日本に来たら食べたいと思う」という。

同園の熱田光雄代表も「東南アジアのイチゴは高原栽培で粒も小さいが、日本のイチゴは甘くて大きい。色も真っ赤でピカピカしている。長い時間飛行機に乗っていたお客さんは広々とした果樹園で好き放題イチゴを味わえる開放感があるのだろう」と語る。

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シンガポールから訪れたツアー客のひとりは「日本のイチゴはクオリティが高く、シンガポールでも人気」と話す

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左:同じ日、タイからのツアー客も同農園を訪れた。タイではイチゴ狩りのときのインスタ決めポーズがこれ

右:タイのご夫婦も笑顔でイチゴを手にしてくれた

 

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左:バンコクから来た男の子たちもシロップを付けてイチゴを口いっぱい頬張る

右:イチゴ狩りをしやすいよう高い位置に栽培されている

 

1年を通じて実施されるフルーツ狩りツアー

外国人観光客を対象にしたフルーツ狩りはイチゴだけではない。旅行大手KNT-CTグローバルトラベルでは、さまざまな旬のフルーツ狩りが楽しめるツアーを販売している。

たとえば、5月中旬から始まるのはさくらんぼ狩りだ。

All-you-can-eat cherry, peaches & grapes, Mt. Fuji 5th Station & Ropeway to Tenjoyama Park

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https://www.yokosojapan-tour.com/en/tours/05520-2081

同社のフルーツ狩りツアーの特徴は、富士山五合目や桜の名所、ワイナリーを訪ねたり、雪遊びや焼肉食べ放題など、季節に応じた+αのバリエーションがあること。東京発の場合、山梨県や群馬県の果樹園を訪ねるツアーが多いという。

参考)同社が多く送客している山梨県笛吹市の御坂農園: http://misakanoen.co.jp/

同社では英語と中国語のガイド付きのツアーを催行している。ツアー企画担当者によると「ツアー客の国籍のトップは香港で、以下台湾、シンガポール、アメリカ(2017年実績)と続き、大半はマレーシアやフィリピン、タイ、インドネシアを含めた東南アジアの国々」だという。

同ツアーが外国客に支持されるのは、1年を通じてフルーツ狩りが実施されているからだ。以下は、同社のフルーツ狩りツアーの年間ラインナップだが、人気なのは12~4月イチゴ、5~7月さくらんぼ、7~8月桃、8~11月ぶどうだという。

クラブツーリズムが催行する外国客向けフルーツ狩りツアーの年間ラインナップ

KNT-CTグローバルトラベルが催行する外国客向けフルーツ狩りツアーの年間ラインナップ

同社では2009年から外国人観光客向けバスツアーを実施しているが、当初からフルーツ狩りツアーは人気商品だった。最近の傾向では、大粒で甘く、皮ごと食べられるシャインマスカットという品種のぶどうが海外でも知られるようになり、ぶどう狩りも人気が集まっているそうだ。

次回は、東南アジアで日本のフルーツが人気の理由を探っていく。

(Part2へ続く)

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