インバウンド特集レポート

急ピッチで進むFree Wi-Fi環境 なぜに外国人旅行者には満足度があがらない?③

2014.08.26

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いかにFree Wi-Fiの設置を知ってもらうかも重要

着々と設置が進んでいるにも関わらず、Wi-Fiに関する不満が高いのは、外国人に認知されていないケースもある。

秋葉原で今年3月に開催した「秋フェス」でNTT東日本がブース出店した。その際に秋葉原でのFree Wi-Fiのサービスを紹介したのだが、このサービスを事前に知っていたのは、民放テレビ局の調査によると外国人100人のうちわずか1人という驚きの結果だった。

せっかくFree Wi-Fiがあっても外国人は知らないのだ!
多言語webサイトで紹介しているが、浸透度は低い。
満足度の低い理由に、知られていないことも課題であると考えるべきだ。
その課題解決に向けてナビタイムジャパンと連携した取り組がある。

ナビタイムジャパンが提供している訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ「NAVITIME for Japan Travel」では、日本全国の無料Wi-Fiスポットを「オフライン」で検索できる機能がある。

出発前に海外でアプリをダウンロードでき、接続マニュアルも装備された親切な設計だ。
乗換案内やWi-Fiスポットが探せる機能は、本質的な利便性があり人気を呼んだ。
ネットワークに接続しなくても衛星からの位置情報(GPS)を取得し、そこから一番近くのWi-Fiスポットを表示し、目的地までの距離、方向を示すARモードを備える。

ナビタイムジャパンの担当者は、東京や近隣を自由に周遊してもらうのが目的。そのためには、乗換案内とWi-Fiスポットを探せる機能は、外国人旅行者には役に立つという。

海外向けのプロモーションはしていないが、口コミで広がっている。機能のリリースをしてから半年で10倍になった。海外のメディアでも紹介され、台湾などで多くのブロガーが使い方を記事にしている。キャプチャーを貼った好意的な内容だ。

利用者は、台湾、タイ、香港の順番だ。今年の6月30日に累計で10万ダウンロードを突破した。

利用者からのフィードバックでは、乗換検索が便利で、旅行中に何度も救われたというコメントもあった。無料Wi-FiのAPにたどり着かないと、検索機能を使えない。複雑な東京の交通機関の検索とWi-Fiスポット検索が見事にマッチングしたよい事例だろう。

現在は、NTT東日本、JR西日本、大阪観光局、バッファローから、無料Wi-Fiスポットデータを提供されており、今後、提携を増やしていきたいと意欲をみせる。各自治体の持っている無料Wi-Fiスポットも紹介していきたいそうだ。

利用に際しての手続きの煩雑さが課題

Wi-Fi利用時の煩雑さをクリアする取り組みをしている事業者がいる。NTTBPだ。同社はNTTグループのWi-Fi専業会社である。

国内の通信キャリアが、急速なスマホ増加に伴う大容量のデータ通信を賄う先として注目してきたものがWi-Fiだった。
反面、Wi-Fiを設置するエリアオーナーの考え方によって、登録方法や利用形態は異なっているのが現状である。

Wi-Fi利用時の新規登録方法ひとつをとってみても、その内容はさまざまである。例えば、成田空港到着時に空港のFree Wi-Fiに登録して、JRに乗った途端に今度はJRのFree Wi-Fiに登録。さらに都心で商業施設に入るとまた別の登録となる。この煩雑さも不満の原因となる可能性が高い。特にFree Wi-Fiの利用シーンが多くみられる外国人には使い勝手の不便さを感じさせると、NTTBPの山口圭介Wi-Fiプラットフォーム推進室長は指摘。

そこで、同社によって昨年の11月にスタートした「Japan Connected-free Wi-Fi」アプリによるサービス。訪日外国人旅行客が利用できるFree Wi-Fiを探し、エリアごとに分かれている登録手続きをそのアプリにより統合し、認証を可能とする。

Free Wi-Fiの活用促進を目的にできたアプリだ。

観光庁もこの仕組みに協力して、台湾でのビジットジャパンキャンペーンの際にフェイスブックにこのアプリを掲載。ダウンロード数が一気に伸びたという。

同社は、このアプリ利用を多くのエリアオーナーに呼び掛けている。Free Wi-Fiの利便性向上に向けたアライアンスを組むことが、2020年に向けたサービス向上につながると山口氏。

設置数を増やすだけではなく、プロモーションとアライアンスというふたつのアプローチを大切にすべきだろう。

さて最後に、観光地ではないところでは、Wi-Fiを拾いにくいのが現状で、その場合おすすめなのが、SIMカードの利用。ビジネス客はやはりニーズが高い。これは旅行者の費用負担になるが、ストレスなくいつでもつながり、理にかなっている。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は6月25日、訪日外国人旅行者・ビジネスマン向けプリペイドSIM「OCN mobile ONE Prepaid SIM for VISITOR」の提供を開始した。

設置数以外に、外国人旅行者でスマホのヘビーユーザーへは、SIMカードをおすすめする等、多様な選択肢を提示するのもおもてなし。

やみくもにWi-Fi設置に走るだけではなく、いかに最適化させるかも見極めていきたい。

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