インバウンドコラム
今年の春節の直前、中国最大のオンライン旅行会社Ctripが「2019年春節トレンド予測レポート」を公表しました。それによると、2019年春節期間中に国内や海外へ旅行をする中国人は4億人となり、昨年の3.8億人より2,000万人上回ったそうです。
「2019年春節旅行商品予約傾向(ランク別)」を示した図1によると、三つ星・エコノミーな旅行商品(三钻・经济)を予約したのは、わずか1割。残り9割が四つ星・プレミアム旅行(四钻・舒适)、あるいは五つ星・最高級な旅行商品(五钻・豪华)を選択していることが分かります。この表が示すように中国では最近、現地ガイド付きツアーや、要望に応じてカスタマイズされたプライベイトツアー、また、よりローカルな場所での体験アクティビティ旅行などのプレミアム感のあるツアーの人気が高まってきているのです。
今年の春節期間中に海外へ渡航した中国人の数は、700万人超になる見込みだそうです。この年末年始に海外へ渡航した日本人の総数が約70万人であることを考えると、どれだけ多くの中国人が出国しているかを分かっていただけるかと思います。
下記の2019年春節の渡航先国別ランキングを見てみると、人気1位はタイ。日本は2位となっています。
春節日本旅行の3大テーマ:「スノー」「温泉」「花見」
それでは、中国人はこの春節期間中に、何をしに日本へ来たのでしょうか。今、中国人に人気があるのはどんな訪日旅行商品なのかを、一緒に見てみましょう。
Ctripでは現在3,000種類の訪日旅行商品を販売。1月初旬時点での今年の予約状況をみると、すでに日本への旅行を予約している人は2万人を超えています。中でも「スノー(スキー・スノーボード)」「温泉」「花見」関連の旅行商品に人気があります。
2019年春節の訪日旅行商品のトレンドで最も注目すべきは、何といっても「スノー」関連商品の人気が急上昇したことでしょう。これは、2022年冬季オリンピックの北京開催に向けて、中国政府がウィンタースポーツ促進政策を実施していることもありますが、「スキーをして温泉に入る」という旅行のスタイルが、中国人にとって“冬の日本の最高の楽しみ方”として、今まで以上に明確に認知されたことの表れでもあります。
桜をはじめとした「花見」商品も人気があります。春節休暇を少し後ろにずらして、2月下旬以降に来日し、東京観光とセットで、箱根、伊豆、富士山エリアをその時期に咲く梅や菜の花などを愛でながら周遊する花見ツアーや、関西を周遊する花見ツアーも売れ行きが好調です。意外に思われるかもしれませんが、花見のプロモーションは、春節のプロモーションと一緒に準備すると効率的です。
そのほか、定番の関西周遊、関東周遊ツアーの売れ行きも堅調です。また、冬休みと絡めて、「親子旅行」でプロモーションを図るツアーも多くありました。
日本でスキーといえば北海道?!
スノー商品の人気ぶりを紹介しましたが、具体的にどんなエリアの商品が売れているのか詳細を見ていきましょう。
まず、スノー商品特集ページにおいては、中国国内へのツアーや欧米へのツアーより、日本へのスノー商品が一番上に配置されていることからも、注目度の高さが見て取れます。日本のスキー場は、温泉体験もできるという魅力が最大のポイントとなり、差別化されているのは前述の通りです。
ただ、数多くの日本でのスノー商品の中、ほとんどの行き先が北海道となっており、その他には、長野県の湯沢や白馬、岩手県の安比などのスキーリゾートの商品も少し販売されているだけです。人気の高い北海道へのスノー商品でも、目的地はニセコ、トマム星野、ルスツ、洞爺湖、登別に集中しています。
中国でのスキー・スノボーの人気の高まりを考えると、日本の他のエリアはプロモーションを実施することで誘致の可能性がまだまだあります。ぜひ一日も早く実施なさってください。
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