インバウンドコラム
【コロナ:世界の動きまとめ】台湾22日より入境規制緩和へ、日本も対象。観光白書から消えた“訪日客4000万人”。『Go To キャンペーン』の内容明らかに
これまでに新型コロナウイル感染者数445人、死者7人に封じ込むことができている台湾が、ついに入境規制緩和へ動き出した。国内観光を喚起させるために日本政府が実施する『GO TO キャンペーン』、そして世界各国の策も合わせて紹介する。
台湾:低リスクの国からの入境者の隔離期間短縮へ
台湾の中央感染症指揮センター(CECC)は17日、新型コロナウィルス感染拡大防止のために3月半ばから実施している入境規制を、6月22日より緩和することを発表した。
台湾は、現在、海外から台湾に入境するすべての人は、自宅や滞在場所などでの14日間の隔離が義務付けられているが、ビジネス目的でニュージーランド、オーストラリア、ベトナム、タイなど感染リスクが低リスク国からの入境者は隔離開始から5日目に、日本、シンガポールなど中-低リスク国からの入境者は7日目に、費用の自己負担で新型コロナの検査を申し込むことができるようになる。
陰性が確認されれば「自主健康管理」となり、外出が認められるようになる。自主健康管理は、外出時のマスク着用、公共の場への出入りの自粛などを入境21日目まで続ける必要がある。
また、渡航前には訪台の申請をする必要があり、その際には企業などから招待を証明する書類、台湾でのスケジュール、出発日前3日以内に受けたPCR検査の陰性証明の提示が求められる。
感染リスクが低度、中低度とされている国‧地域は以下の通り(ただし、これらの国からの訪台者でも滞在期間が3カ月以上となる者は対象外となり、引き続き14日間の隔離が必要)。リストは2週間に1回アップデートされる。
[低リスク国]:ニュージーランド、オーストラリア、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネイ、ベトナム、香港、タイ、モンゴル、ブータン
[中-低リスク国]:日本、韓国、マレーシア、シンガポール
日本:観光白書が示す、新型コロナへの対応と観光による再びの地方創生
日本政府は16日、2020年版の観光白書「令和2年度観光施策要旨」を閣議決定した。観光白書では、最近の観光の動向や観光がもたらす経済効果を幅広い観点から分析するとともに、観光立国の実現に向けた政府の方針が講じられている。
施策を報告白書は第I部〜第IV部の4部構成となっている。
第I部:「令和元年の観光動向」
第II部:「新型コロナウイルス感染症への対応と観光による再びの地方創生に向けて」
第Ⅲ部:「令和元年度に講じた施策」
第Ⅳ部:「令和2年度に講じようとしている施策」
これまで政府が掲げてきた「2020年に訪日客4000万人」という目標の表記が今回の白書では消えたものの、観光庁はその先にある「6000万人」の目標は変わっていないとしている。
第II部では、今回の危機が日本の観光に与えた影響について触れた上で「状況が落ち着き次第、国内観光需要を喚起させることが、観光による再びの地方創生に向けた第一歩」との指針が明記されている。第IV部では、観光分野における新型コロナウイルス感染症対策について記されており、インバウンドについては国・地域ごとの感染状況を踏まえた上で、誘客可能となった国・地域から回復を図っていくとしている。
『Go To キャンペーン』の内容が明らかに
観光庁は16日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で打撃を受けた観光業の回復を目指す『Go To キャンペーン』事業の概要と事業を進める運営業務の公募内容を発表した。『Go Toキャンペーン』事業は、旅行・宿泊商品の割引と、旅行先の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関などで幅広く使用できる地域共通クーポンの発行により、新型コロナの感染拡大により失われた観光客の流れを地域に取り戻し、観光地全体の消費を促すことで、観光業の復興を目指すもので2020年度第1次補正予算で1兆6794億円が計上された。
この内、国内旅行を対象に支援する『Go To Travel』事業では、国内旅行を対象に、旅行費用の半額(上限は1人1泊2万円、日帰りは1万円)を国が負担する。支援される金額のうち、7割が旅行代金から差し引かれ、残りの3割は旅行先で使える「地域共通クーポン」として付与される。
⬛︎支援額の例
対象となる事業者には、(住宅宿泊仲介および民泊仲介業者を含む)旅行業者とオンライン旅行会社のほか、宿泊事業者による直販も含まれ、個人で手配する交通は割引の対象外となる。また、旅行代理店や予約サイトを通じて申し込まれた修学旅行や職場旅行も対象となる。観光庁は「夏休みの早い段階での開始を目指す」としている。
⬛︎旅行者による利用イメージ
例)1泊2食付き1人2万円の温泉旅館に宿泊する場合
それではここからは、世界各国が行う、国内観光振興のための取り組みを紹介しよう。
オーストラリア:政府観光局が国内向けに情報を発信
オーストラリア政府観光局は、国内旅行をナビゲートするオンラインサイト『CATCH UP ON LIVE FROM AUS』をスタートさせている。ダイビングや裏庭でのBBQまで、地元の人々による週末に訪れてみたくなるオーストラリアの情報を配信。これまで知らなかったオーストラリアの魅力を伝えるものとなっている。またライブマップを開発した。これは、オーストラリア国民に向けたもので、国内旅行者に対して最新の旅行情報や州境の状態に関する情報などを提供している。同国では徐々に州間の移動制限が緩和されており、まずは国内の旅行需要を回復させるための施策を進めている。
オーストラリア:西オーストラリア州政府観光局マーケティング・キャンペーン
西オーストラリア州政府観光局は、地元住民に州内の観光を促すマーケティング・キャンペーンを開始した。このキャンペーンは、西オーストラリア州政府による1440万豪ドル(約10億円)の観光復興プログラムに続くもので、州内の旅行制限の大半が解除された5月29日より開始された。マッガーワン西オーストラリア州首相は「地元を旅行するのに、これほどよい機会はない」と述べている。
ウェールズ:独自のオンラインプラットフォームを開発
Visit Wales(ウェールズ政府観光局)は、旅行会社が大手OTA(オンライン旅行会社)に料金を支払わずに済むよう、宿泊施設の検索および予約ができる独自のオンラインプラットフォームを開発する。新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けた観光業の活性化に向け、地域の観光業者から手数料を取らないシステムを構築するという。Visit Walesのウェブサイトはすでに宿泊施設の紹介をしているため、検索機能と予約機能を追加する形となる。
ルクセンブルグ:16歳以上の国民に宿泊券
ルクセンブルクのザビエル・ベッテル首相は、観光業の再開促進を目的とした臨時措置を行うと発表した。同国は16歳以上の全国民に対し、国内で仕える1泊分の宿泊券(50ユーロ相当のバウチャー)を無料で提供する。7月上旬に70万枚を配布するため、350万ユーロ(約4億2000万円)を投じることになる。
ベルギー:国内旅行推進のために無料電車チケットを配布
ベルギー政府は国内旅行を推奨するため、全国民に無料の電車チケットを配布する。チケットは7月から年末まで利用が可能で、1人に対して10枚のチケットが提供される。このほかにも経済回復に向けて、サービス業における消費税の減税や福祉手当の増額、レストランや文化施設で使える300ユーロ(約3600円)相当の商品券の支給といった措置が講じられる。
(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)
やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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※最新版も更新されました
7/7 更新【新型コロナ:各国入国規制まとめ 】
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