インバウンドコラム

【コロナ:世界の動きまとめ】域内での移動を再開させているEU、7月1日からは域外からの渡航規制も緩和へ。ヨーロッパへの旅行はいつ再開できるのか

2020.06.24

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新型コロナウイルスが猛威を振るった欧州では、感染拡大防止のため3月中旬より国境を閉じて対策にあたってきたが、6月15日からその措置を撤廃。現在では欧州連合(EU)域内での移動が基本的に再開されている。また、欧州委員会は7月1日より域外からの渡航規制解除を提案している。ただし、この提案には拘束力はなく、出入国管理は加盟国の判断となる。欧州の渡航規制の状況をお伝えする。

 

ドイツ:

615日からEU諸国、イギリス、シェンゲン協定国に限定して国境を開放、621日からはスペインからの旅行者に対しても国境を再開しているが、その他の多くの国・地域に対しては依然として国境を閉ざしている。

ドイツでは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために国民に対して求めていた外出制限を4月後半から段階的に緩和を進めている。しかし、西部ノルトライン・ウェストファーレン州の食肉処理場で1550人以上の集団感染が発生したため、23日、同州のギュータースロー郡を都市封鎖(ロックダウン)したことを発表した。まず630日まで実施するという。

 

フランス:

6月15日より、ヨーロッパ地域からの旅行者に対する規制を解除。渡航証明書の所持や検疫なしで入国ができるようになった。ただし、イギリスとスペインから空路訪れる旅行者に対しては、14日間の自己隔離を義務付けている。

フランスでは、公共交通機関利用する際には11歳以上のすべての乗客に対し、マスク着用が義務付けられている。違反した際は135ユーロの罰金が科せられる。

22日、約3カ月の自宅待機を経て学校が再開され、小学生と中学生が、学校へ再び通い始めた。また、映画館やスポーツスタジアムも同日より再開されている。

現地時間23日、フランスの高級食材店「フォション(FAUCHON)」が再建型破産手続を裁判所に申請したことをAFP通信が報じた。食料品のセレクトショップとして1886年に創業されたフォションは、フレーバーティーなどで日本でもブームとなったことがある。

 

スペイン:

スペインは6月21日、3月中旬に出した非常事態宣言を約100日ぶりに解除させ、ポルトガルを除くEU域内からの観光客の受け入れを再開させた。入国者に対して、検疫や14日間の行動制限などの措置も行っていない。7月1日からは、EU域外からも観光客を受け入れる方針で、打撃を受けた観光業の回復を急ぐ。現時点で、日本からの入国がどの時点で認められるかは決まっていない。

スペインの人気リゾート地カナリア諸島では、国連世界観光機関(UNWTO)と連携した「ヘルス・パスポート」が導入される可能性があることをロンリープラネットなどが報じている。

「ヘルス・パスポート」は、カナリア諸島の企業Hi+ Cardとスペインのデータ企業Tourism Data Driven Solutions(TDDS)が開発したスマートフォン用アプリで、各国政府機関や医療機関が認証した健康データを記録することができ、入国時に感染していないことを示す証明書として利用することができるというもの。

 

イタリア:

イタリアは5月より段階的に国境を再開しており、6月3日よりヨーロッパ諸国との国境を再開した。ただし、サルデーニャ、プーリア、バジリカータなど、一部の地域では入国前に事前登録が必要になる。

イタリアでは20日、サッカーの1部リーグ・セリエAの試合が約3カ月ぶりに、無観客で再開された。欧州の4大リーグでは最も遅い再開だ。

 

ギリシャ:

ギリシャは6月15日から6月30日までの間、EU諸国からの入国を限定的に許可している。イタリア、スペイン、スウェーデンを含む一部ヨーロッパ諸国からの旅行者は到着時に新型コロナウイルスの検査を受け、アテネに一泊滞在する必要がある。7月1日からは全ての国際線が許可され、海路での入国も再開されるが、入国者にはランダムに新型コロナウイルスの検査が行われる。

またギリシャ政府は当初、日中韓を含むEU域外約30カ国からの観光客受け入れも同日から再開させるとしていたが方針を変更し、入国制限措置を630日まで延長した。域外から渡航制限措置は71日から段階的に解除していくことを提案する欧州委員会の方針に合わせたという。

 

キプロス:

キプロスは、オーストリア、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、スイスなど、一部ヨーロッパ諸国からの旅行を許可し始めた。イスラエル、ポーランド、ルーマニアからの旅行者は出発後72時間以内に行われた新型コロナウイルス検査の陰性証明書を提出する必要がある。なお、アメリカとイギリスからの渡航は許可されていない。

キプロスを旅行中に新型コロナウイルスの陽性反応が出た場合は、その宿泊費から飲食費、医療費、感染が確認された旅行者に同行する家族の費用も、キプロス政府が負担するとしている。

 

チェコ:

チェコはヨーロッパ諸国に色分けシステムを導入した。「緑色」あるいは低リスクと見なされたフランス、イタリア、ドイツ、スペインなどは6月15日から制限なしに入国を許可されている。ベルギーとイギリスのように 「オレンジ色」 と判定された国、およびポルトガルとスウェーデンのように 「赤色」 と判定された国は、国境で新型コロナウイルスの陰性証明書を提出しなければならない。

 

デンマーク:

デンマークは6月15日、ドイツ、ノルウェー、アイスランドからの観光客に対し国境を再開した。ただし、6泊以上の宿泊予約が条件となる。

 

イギリス:

イギリスは6月8日より、入国者全員に2週間の隔離措置を講じている。ただし、アイルランド、チャネル諸島、マン島からの旅行者は免除される。

イギリスへ渡航する場合、到着する48時間以内前にオンラインで、旅券番号、搭乗予定飛行機の便名などの渡航情報や14日間の滞在場所とその連絡先などの情報を事前登録する必要がある。また、入国時にこれらの情報を入国審査官に提示する必要があり、登録画面を印刷するか、スマートフォンの画面を表示できるようにしておくこと。情報が提供できない場合は100ポンド(約1万3000円)の罰金が課せられる。空港からの移動は、やむを得ない場合に限り公共交通機関の利用が認められるが、乗車時にはマスクの着用は必須となっている。事前登録はこちら

イギリスでは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため3月下旬より厳しい外出制限が行われてきたが、死者数は4万2000人を超えており欧州でもっとも被害の大きい国となっている。6月より外出禁止措置の緩和が段階的に進められており、現在はショップでの買い物や、動物園など屋外アトラクションを訪れることが認められている。24日にジョンソン首相は、来月4日よりさらに緩和の段階を進め、パブや飲食店なども再開できるようになることを発表。美容院、映画館、美術館も感染対策を講じれば営業再開ができるようになるが、屋内のジムやナイトクラブは今回の緩和の対象にはなっていない。

また、これまで人同士の間隔を2メートルあけることを求めていたが、それでは置けるテーブル数が限られ経営が難しいとの飲食業からの強い要望を受け、1メートルでも構わないとした。

ジョンソン首相は、マスク着用などの対策も求めたが、イギリスでは元来マスクを着用することに抵抗がある人も多く、WHOにより感染防止にはマスクが効果があるとの発表後も、マスクをしていない人の姿も多く見かける。

 

シェンゲン関連協定国とは、シェンゲン協定国26カ国(オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス)とキプロス、クロアチア、ブルガリア、ルーマニアを含めた計30カ国。この30カ国が欧州委員会発表の対象

 

 

やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
詳細はダウンロードしてご覧ください。

各国・地域の入国規制まとめ

※最新版も更新されました
7/7 更新【新型コロナ:各国入国規制まとめ 】

 

 

 

 

 

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