インバウンドコラム

【コロナ:世界の動きまとめ】『Go To トラベル』東京発着は対象外。台湾の短期ビジネス検疫緩和、日本は引き続き対象に

2020.07.16

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新型コロナウイルスで打撃を受けている観光業の需要喚起のため、今月22日から開始予定の『Go To トラベル』キャンペーンについて、政府は東京発着の旅行は対象外にすることを明らかにした。感染流入を懸念する地方の声に配慮し、全国一斉に実施するのではなく、感染者数が再び増加している東京都発着の旅行を対象から外すことを、同日開催の新型コロナウイルス感染症対策分科会で専門家から意見を聴いた上で決定した。

東京都の小池百合子知事は「国としてよく考えた上でのことだと思う」としたものの、「国として国民である都民に対しての説明が求められるのでは」とも語った。東京都民からは「東京で感染が再び増える状況なので仕方がない」という意見がある一方、経済の14%を占める東京からの旅行者が除外されることがキャンペーンに与える影響も懸念される。

『Go To トラベル』キャンペーンでは、22日以降に始まる国内旅行を対象に代金の半額が補助される。補助額は1人あたり1泊2万円を上限に、補助の7割は代金の割引、3割は旅行先で使える地域共通クーポンで配られることになっている。

当初8月上旬からのキャンペーン開始を想定して事務委託先の募集なども行われていたが、観光業界などからの要望を受け、夏の観光シーズンに合わせてスタート時期を22日に早めた。しかし、東京都などで感染者数が増加していく中、各地の首長からは東京からの旅行者が訪れることへの不安や、事業の全国一律の開始などに疑問を示す声が上がっていた。一方、「地方からは“ぜひ進めてほしい”という切実な声もある」と西村経済再生担当相が述べるなど、キャンペーンに対しての意見も立場により様々に分かれる状況となっている。

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【コロナ:世界の動きまとめ】『Go To トラベル』不安と共にスタート。中国では4カ月ぶりに国内旅行制限を解除

 

台湾: 低・中低リスク国、地域のリストを更新

台湾の中央感染症指揮センター(CECC)は15日、感染リスクの低い国からのビジネス訪台者の短期滞在を認める国の新しいリストにおいても、日本を引き続き感染リスク「中低度」とし、日本からの受け入れを継続することを明らかにした。日本国内での新型コロナウイルスの感染者数が再び増加していることから、日本は除外される可能性があるとした8日の発表から、方針が改まったこととなる。

台湾は6月22日以降、感染リスクが低度、もしくは中低度とされている国・地域を対象に3カ月未満の短期ビジネス目的の訪問を許可している。入境後の隔離開始後、低度の国‧地域の者は5日目に、中低度は7日目に自費で実施するPCR検査で陰性が確認されれば外出が認められている。

新たなリストは以下の通り。
[低リスク国]:ニュージーランド、マカオ、パラオ、フィジー、ブルネイ、ベトナム、タイ、モンゴル、ブータン、ラオス、カンボジア、ミャンマー
[中低リスク国]:日本、韓国、マレーシア、シンガポール、スリランカ、香港、オーストラリア
※ただし、これらの国からの訪台者でも滞在期間が3カ月以上となる者は対象外となり、入境後14日間の隔離が必要

 

飛行機で台湾一周のエアツアーも登場

桃園空港は域内の航空会社と連携し、海外に行けない旅行者たちのために台湾を飛行機で一周するエアツアーを提供することを発表した。空港に行き、飛行機に乗ることで海外旅行気分が味わえるほか、機内では食事や免税品の購入もできる。飛行は1時間以上で、チケットの価格は2,000〜3,000台湾ドル(約7,300〜10,000円)。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた航空業界の売上を回復させるために、夏休みの域内需要を取り込む考えだ。

台湾政府は、スポーツ関連の商品やサービスに使える500台湾ドル(約1,820円)のバウチャーを抽選で400万枚配布する。7月20日〜26日の期間中に同プログラムの公式サイトに登録した人が抽選に参加できる。このバウチャーは試合観戦やスポーツセンターの入場料などにも適用され、8月1日〜12月31日までの間に複数回利用することができるという。

 

香港:第3波到来で徹底した水際対策を継続

香港では現在、海外から入域する人々に14日間の隔離措置を行なっている。最新のプロセスとしては、空港に到着後荷物を受け取り、新型コロナウイルスの唾液による検査を受けるためのシャトルバスに乗車。その後亜洲国際博覧館(Asia World-Expo)で検査を受けて、陽性であれば即入院し、陰性であれば政府指定の隔離所か自宅で14日間の隔離を行うという流れになっている。隔離中は専用のアプリをインストールする必要があるほか、リストバンドの着用も義務付けられ、自宅であっても1歩も外に出ることは許されないという。新たに香港に赴任する人や引っ越す人は、事前に2週間有効なプリペードSIMカードを購入し、隔離プランを販売しているホテルを事前予約することが推奨されている。

 

マカオ、広東省との検疫免除は8月に延期

こうした徹底した水際対策を行なっている一方で、香港では新型コロナウイルスの第3波が押し寄せている。香港域内での感染は6月中旬よりゼロが続いていたものの、7月7日には新規感染者が14人に上った。このため、香港と中国・広東省、マカオとの3地で相互に検査結果を承認し、検疫を免除する「健康コード」計画が8月に延期となった。ただし、広東省とマカオでは感染状況が落ち着いているため、当初の予定通りに実施される見通しとなっている。

 

中国:国鉄は徐々に回復、6月は乗客数1億6600万人で前月比47万人増

中国国鉄グループは、今年前半に全国で鉄道を利用した乗客数は延べ8億1800万人となり、新型コロナウイルスの影響で前年比53.9%減少したことを発表した。しかし3月より徐々に回復し始め、6月の旅客数は1億6600万人となり、前月比9.4%増となる47万人が増加した。

中国東方航空は、週末限定で中国国内線が乗り放題となる約5万円のチケットを販売したが、購入者からは利用できないとの不満の声が上がっている。このチケットは今年の年末まで利用できるが、航空便が満席状態で利用できない状況が続いており、コールセンターに連絡しても繋がらないなどのトラブルに見舞われているようだ。チケット販売時には、初日で10万セットが売れるなど話題となっていた。

 

韓国:入国者に新型コロナ「陰性確認書」の提出義務付けを開始

韓国では、新型コロナウイルスの防疫強化対象国から7月13日以降に入国する全ての外国人に対し、陰性確認書の提出を義務付けることを発表した。陰性確認書は出発日の48時間前までに発行されたものでなくてはならず、同確認書を提出しても入国後2週間の自主隔離が義務付けられる。韓国では国外からの流入感染者が増加しているため、これを遮断するための措置として行われる。

韓国では、コロナ禍の「ホテルバカンス」ブームが到来し、ホテルのスイートルームの予約が急増しているという。人と接触することが少ない朝食付きのスイートルームや、一戸建て型のスイートルームなどに人気が集中している。これを受け、ホテル業界も顧客のニーズに合わせた商品の開発に乗り出し、スイートルームの数を増やしたり、豪華な宿泊体験を提供したりするなどの戦略を進めているという。

(やまとごころ編集部:外島美紀子、深谷昌代)

 

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