インバウンドコラム

【世界の動き】日本、中国とのビジネス往来再開へ。新型コロナ、欧州35カ国やアメリカで再拡大 IOC五輪中止決断に影響か

2020.10.21

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欧州やアメリカで新型コロナウイルスの感染拡大が再び危機的状況となっている。1日に確認される新規感染者数が、第1波の際の約3倍となっている欧州、1日当たりの新規感染者数も7月のピーク時に近づきつづあるアメリカ。経済などに与えるダメージから都市封鎖は極力避けたいものの、再度の都市封鎖への動きも見せ始めている。一方、日本と中国ではビジネス往来再開に向け、今月内にも合意がなされる見通しだ。

 

中国とのビジネス往来、短期、長期の合意は4カ国目

新型コロナウイルスの水際対策に関し、日中両政府は月内にもビジネス関係者らの往来再開で合意することが、明らかになった。ビジネス目的の短期滞在長期滞在のいずれも一定の条件のもとに認められる見通し。新型コロナの影響で落ち込んだ経済回復の加速につなげたい狙いがあり、合意すれば数日以内にビジネス往来再開の手続きを始める。

2019年にビジネス目的で訪日した外国人約176万人のうち、中国からの入国者数は37万人で各国別で最多となっている。20日の記者会見で加藤勝信官房長官は「中国との往来再開を通じて経済交流が回復軌道に乗ることは大変重要だ」とコメントした。

ビジネス目的の短期滞在は、入国後の行動計画を事前に提出することや、出発の72時間以内に実施した新型コロナウイルス検査の陰性証明の提出、入国後は公共交通機関を利用しないこと、行動計画に書かれた職場、宿泊施設以外は訪問しないことなどを条件に日本への入国後2週間の待機が免除される。既にシンガポール、韓国と往来を開始し、ベトナムとも合意している。

駐在員ら長期滞在者は、出発の72時間以内に実施した検査の陰性証明の提出と2週間の自宅などでの待機が必要となるシステムで、短期滞在の3カ国を含むタイ、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、ブルネイ10カ国・地域と相互の入国を認めることで一致している。短期と長期双方でビジネス往来の合意はシンガポール、ベトナム、韓国に続き4カ国目となる。

現在、日本は159の国と地域を入国拒否対象としており、中国本土からの入国は4月から原則拒否している。日本人が中国から帰国した場合も宿泊施設などで2週間の待機を求めている。

 

欧州、感染者数第1波の3倍

欧州35カ国(ロシア、東欧、イギリスを含む)で、新型コロナウイルスの感染者数の拡大が第1波の3倍を超える過去最悪のペースで急増している。 3〜4月に第1波の感染が拡がった欧州では、国を跨いだ移動の制限や、ロックダウン(都市封鎖)などを実施することで鎮静化したが、夏のバカンスシーズン前に移動制限を緩和し旅行も再開させたことで、再び感染が拡がったと見られている。現在、春のピーク時を上回るペースで感染が拡大しており、オランダで6.8倍、ベルギーでは5.9倍、イギリスで3.5倍と、感染者数が急増している。

WHOは、ヨーロッパで新型コロナウイルスの新規感染者数が再び急増していることを受け、「今こそ追加の規制措置を講じるときだ」と発表した。各国政府は外出制限を厳しくするなど規制を強化している。

欧州で新型コロナウイルスの感染が再び急拡大していることにより、来年の東京でのオリンピックに向け準備を進める選手達も十分なトレーニングができないこととなる。冬に向けより感染の勢いが増すとの説もある中、オリンピック・パラリンピック開催の決定権を持つスイス・ローザンヌに本部を置く国際オリンピック委員会(IOC)の決断にも影響が出るのではないかとの意見もネットを賑わせている。

 

チェコやオランダでは部分的なロックダウンを開始

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、チェコでは直近の14日間の人口10万人あたりの新規感染者の累積数は900人を超えている。14日から3週間の部分的なロックダウン措置が講じられており、レストラン、学校、バーなどが閉鎖され、公共の場での飲食が禁止となっている。また、オランダでも14日夜から4週間にわたる部分的なロックダウンが敷かれている。

 

ベルギー、19日から全飲食店を4週間休業

ベルギー連邦政府は新型コロナウイルス第2波の拡大を防ぐため、19日より4週間、全国の飲食店の営業停止に踏み切った。ベルギーでは深夜の外出禁止や午後8時以降の酒類販売禁止などの措置も既に実施している。ベルギーの人口は1千万人余りだが、人口10万人当たりの新規感染者の累積数は800人を超し、チェコに次ぎ欧州で2番目となっており、1日の新規感染者も1万人を越す状況となっている。

 

フランス、再び非常事態宣言を発令

フランス政府は14日、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、約3カ月ぶりとなる非常事態宣言を発令した。これにより、17日からパリなどでは午後9時から翌朝6時までの外出は原則禁止となった。同国では今月10日に一日の新規感染者数が2万7000人近くに上るなど、今年の春を大きく上回る水準となっている。夜間の外出禁止措置は、少なくとも4週間にわたって行われるとし、違反した場合は135ユーロ(約1万7000円)の罰金を科せられる。

 

ドイツ、1日の感染者数が過去最多を記録

ドイツは15日、直近24時間の新規感染者数が6638人に上り、第1波のピーク時を超えて過去最多を記録した。メルケル独首相は14日、直近7日間で10万人あたりの新規感染者数が35人を上回った地域に対しマスク着用を義務付け、集会の人数を屋外25人まで、屋内15人までに制限することを発表した。また同政府は、10万人あたりの新規感染者数が50人を上回った地域では、私的な会合の参加者数を最大で2世帯、10人に制限し、飲食店は11時閉店とするとの方針を示している。

 

ロンドンなどで警戒レベル引き上げ

イギリス政府は首都ロンドンで16日深夜より厳格なロックダウン措置が講じられている。ハンコック保健相は、グレーターロンドンおよびロンドンに隣接するエセックス州や、ヨーク州などイングランドの8地区の警戒レベルを「中程度」から「高い」に引き上げると発表した。これにより、自宅やレストランなど、屋内での別世帯との交流や集まりが禁止され、屋内スポーツ競技も単一世帯内に制限される。通勤通学などの外出は引き続き許容されるが、可能な限り移動頻度を削減することが求められる。別世帯同士が同じ車に同乗することも禁じられている。

また感染者数が急増し、危機感が増しているイングランドの地域に対し、政府は17日より警戒レベルを「最高(Very High)」に引き上げた。対象となったのはリバプール都市圏、ランカシャー州、グレーターマンチェスター。ジョンソン首相は経済活動を続けながら感染を抑制する方法を模索しており、感染警戒レベルに応じた対策を進めている。

 

ウェールズでは、23日より全域で再びロックダウン

北アイルランドやウェールズでは制度を厳格化している。北アイルランドは19日から学校を閉鎖し、飲食店の営業もテイクアウトのみに制限している。一方、ウェールズは、イングランドで感染が急増している地域からの旅行制限を行なっている。

ウェールズ自治政府は19日、全域を対象に10月23日午後6時から11月9日まで「Firebreak(防火帯)」と名付けたロックダウンを導入することを発表した。小売店の閉鎖や運動以外での外出禁止など、第1波の下でのロックダウンと同程度の強力な措置を伴うロックダウンとなる。ウェールズでは、これまで感染レベルが高い地域限定で「ローカル・ロックダウン」を導入してきたが、感染拡大が収まらないことを受け、ウェールズ全域での規制強化に踏み切ることになった。

同政府は今回の措置で閉鎖対象となる小売業、飲食業などの中小企業に最大5000ポンド(約68万5000円)の一時金を支給するなど、総額3億ポンドの新たな企業支援策も併せて発表した。

 

アメリカ、中西部を中心に急増

アメリカでは、これまでに確認された新型コロナウイルスへの感染者数が16日累計で800万人を超え、1日当たりの新規感染者数も7月のピーク時に近づきつづある。アメリカのコロナ感染は、4月にニューヨークを中心に急拡大した第1波に続き、7月の第2波ではフロリダやテキサス州などの南部で感染が拡がった。今回はウィスコンシンなどの大統領選での激戦州の多い南西部を中心に感染が増加している。

新型コロナウイルス感染者の増加を受け、ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの3州の知事は、3州をまたぐ不要不急の移動を自粛することを求める共同声明を発表した。ニューヨーク州は現在、アメリカの38州と2領土からニューヨーク州を訪れる人々に、入州後2週間の隔離を義務付けている。

 

ハワイ州、日本の観光客などを対象に自主隔離免除で協議

アメリカのハワイ州は日本から訪れる観光客などに対し、渡航前に新型コロナウイルスの検査を受け、陰性だった場合には到着後の自主隔離を免除するとの方針を明らかにした。ハワイ州はこれまで全渡航者に対して到着14日間の自主隔離を義務付けてきたが、15日からは米本土からの来訪者を対象にこの措置の緩和を実施。出発前72時間以内に検査を受け陰性だったことを証明すれば自主隔離を免除している。

日本からの観光客も同様の条件でハワイを訪れることができるようになる見通し。当局はこの緩和措置実施のための検査機関の指定へ向けた協議を進めているとし、州知事は数週間以内に制度の詳細を決定して発表したいとの考えを示した。

 

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