インバウンドコラム
【コロナ:世界の動き】東京五輪、海外客 待機免除で検討。中国「独身の日」過去最高12兆円突破。香港ーシンガポール間トラベルバブル
海外らの五輪観戦客 14日間の待機免除を来春決定
東京オリンピック・パラリンピックに向けた、政府と東京都、組織委員会による会議が開かれ、2021年の東京五輪・パラリンピックの観戦目的で海外から訪れる観客について、14日間の待機措置を免除する方向で検討を進めることを発表した。五輪の観客については、入国前の検査や入国後の行動制限などを条件に14日間の待機制限を免除する方向で検討するという。冬場の新型コロナウイルスの世界各国の感染状況などを見極め、21年春までに決める方針。
現在、日本政府は海外からの入国を原則認めておらず、ビジネス目的に限り例外的に認めている。 11月1日より入国制限を緩和した中国、韓国、台湾など9カ国・地域からの受入企業・団体による誓約書がある場合のみを除き、入国後ホテルなどでの14日間の待機を課しているが、観光目的の短期入国はいずれの国からも現在認めていない。
各国選手団を受け入れるホストタウンとなる地方自治体に対しては、選手との交流はリモート形式などとすることを提案していくという。
IOCバッハ会長、15日から日本へ
国際オリンピック委員会(IOC)は、バッハ会長が15日から18日までの4日間日本に滞在と発表した。新型コロナウイルスの影響で来夏に延期となった東京五輪の選手村や国立競技場を視察し、菅義偉首相や大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事との会談が見込まれている。
中国、2020年「独身の日」過去最高を記録
中国では、新型コロナウイルスにより、ネットを利用して買い物をする「巣ごもり消費」がさらに定着。商品の紹介を動画でライブ配信する販売手法がより浸透した。また、海外旅行に出かけられない人の「爆買いマネー」もネット販売好調の大きな要因となっている。そんな中、行われた今年の11月11日「独身の日」のネット通販業者による一斉セールは過去最高の売り上げを記録した。
中国では、独身を意味する「1」が並ぶことから、11月11日はパートナーのいない独身の人たちが集まってお祝いをする「光棍節(こうこんせつ)」として認識されている。近年はネット通販業者による一斉セール「独身の日」として盛り上がりを見せる。独身の日の大規模セールを2009年から自社のECサイト「Tmall(天猫)」でスタートさせた中国EC最大手のアリババは、今年の取引額が前倒しで行ったセールと合わせて日本円で4982億元(日本円で約7兆7200億円)になったと発表した。2019年の独身の日の売り上げ2684億元(約4兆1000億円)を大幅に上回り、過去最高額の取引となった。アリババでは、これまで11月11日のみセールを実施してきたが、今年は11月1日〜3日の3日間と11日に行われた。
世界89カ国・地域から25万以上の企業ブランドが参加。そのうち3万1000の海外ブランドが中国向け越境ECを通じて参加した。8億人以上の消費者がサービスを利用、配送件数は19年の13億件から、22億件へと大きく伸びた。今年は海外に行けないことから、日本や欧州の消費製品をまとめ買いする傾向が強く、中国向け越境ECにおける国・地域別のGMV(流通総額)ランキングでは日本が2016年から5年連続で1位を獲得した。日本商品では化粧品や食料品に加え、医薬品などの健康志向が強い商品の人気が高かった。
2009年にアリババがスタートさせた独身の日は、「双11(ダブルイレブン)」とも呼ばれ、自分へのご褒美をネットで買う日として始まった。近年はネット通販だけでなく、小売りや飲食店などもイベントを実施。中国では一年でもっとも消費が動く一大イベントになっている。
業界2位の京東も、1日〜11日までの独身の日に向けたキャンペーンでの取引額が2715億元(約4兆3000億円)になったことを発表した。大手2社でセール期間中に12兆円を売り上げたことになる。
中国国際輸入博覧会、日本の「食」が人気。ユニクロと任天堂は初出展
中国の上海市では、11月5日から10日にかけて、輸入拡大を目的とした見本市「第3回 中国国際輸入博覧会」が開催された。同博覧会には自動車や医療機器、ヘルスケア製品、農業製品などあらゆる業種の企業が出展しているが、中でも日本の食品・農産品のブースに多くの人が集まった。中国では健康志向や安全志向の高まりから人々の意識が変化しており、とりわけ安心で安全な日本の食品は人気が高い。生活レベルが向上した中国市場では今後、日本の食への需要がさらに増していくものとみられている。
この他にも日本からはユニクロや任天堂が初出展し、来場者を引きつけた。ユニクロは1500平方メートルの展示スペースを確保して「エアリズム」や「ヒートテック」などの製品を紹介し、任天堂は家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のソフト「リングフィットアドベンチャー」を紹介。コロナ禍にもかかわらず、商機を逃すまいと出展した日本企業がそれぞれの商品を中国市場にアピールした。
世界の企業も負けていない。アルゼンチンの牛肉促進協会は、入国時の隔離や検査という度重なる制限を乗り越え、中国国際輸入博覧会を絶好のチャンスと捉えて出展した。この他にも、世界初公開や、アジア初披露、中国初出展の新商品や技術、サービスが紹介されるなど、世界の企業がコロナ禍においても中国市場に期待を寄せていることが示された。
香港ーシンガポール、トラベルバブル11月22日に開始
香港とシンガポールは11日、相互を往来する住民を対象に、新型コロナウイルス対策の隔離措置なしで相互jに渡航者を受け入れる「トラベルバブル」を11月22日から開始することを明らかにした
香港のキャセイパシフィック航空とシンガポール航空が1便あたり200人に制限した乗客を乗せ、1日各1便を運航。12月7日からは1日2便に増便する予定。状況を見て、1カ月後に詳細を調整、どちらかの都市で新型コロナの感染状況が悪化した場合は停止するという。
外国からの香港への入境者は一律ホテル隔離に
特区政府食物及衛生局は、新型コロナウイルス肺炎流行に対応した入境検疫政策の引き締めを発表。新たな措置として香港に入境する前の14日間に中国以外の国・地域を訪れた者は、フライト搭乗前に香港のホテルで14日間検疫するための宿泊予約の確認書を提示することが求められる。香港市民か海外からの旅行者かを問わずすべての入境者はホテルで隔離されることとなり、これまでのような在宅隔離は認められなくなる。トランジットや検疫免除対象者は対象とならない。
感染リスク通知アプリをリリース
香港では、新型コロナウイルスの感染リスク通知アプリ「安心出行」が11月中旬にリリースされる。香港市民は無料でインストールでき、各施設のQRコードをスキャンするだけで自分の行動を記録できる。また、アプリの行動記録と政府がウェブサイトで発表する感染者情報と照らし合わせることができ、感染者が訪れた場所や時間などの情報もアプリを通じて送られてくるため、検査の必要の有無を判断する材料にもなる。
中国本土の衛生当局では、香港との間で新型コロナウイルスのPCR検査の結果を相互承認し、入国・境時の強制隔離を免除する「健康コード」の導入について協議が進められている。当局は緩和条件について、香港域内の感染者を「14日連続10人未満」とする方向で検討。これは、「健康コード」の早期実施を求める香港当局の要請に応える形で中国サイドが出した折衷案だが、中国国内では「ゼロ」を求める声も根強く、香港サイドにはより踏み込んだ感染拡大防止策が求められると予想されている。
韓国から中国への渡航者に2回のPCR検査を義務付け
在韓中国大使館などによると、11日以降に韓国から中国に定期便で渡航するすべての渡航者に対し、搭乗の48時間以内に2回のPCR検査を受け、陰性証明書を2枚提出することを義務付けることがわかった。1回目と2回目の検査には、3時間以上の間隔を空ける必要がある。不定期便の場合は搭乗の72時間以内と36時間以内の検査を義務付ける。検査は自己負担で、2回の検査と証明書の発行にかかる費用はおよそ40万ウォン(約3万7700円)かかるという。中国は日本に対し、PCR検査と抗体検査の2種類を義務付ける予定となっているが、韓国では抗体検査が導入されていないため、当面はPCR検査を2回実施するとのことだ。
韓国では、全国の空港における国内線利用者数がコロナ前の水準に肉薄するまでに回復した。韓国では9月末から10月にかけてお盆に当たる「秋夕(チュソク)」の6連休があり、その影響で10月には554万1934人が国内線に搭乗。前年同期の国内線利用者数は614万1080人だったため、9.8%の差まで回復したことがわかる。一方、国際線はわずか19万人7922人にとどまり、前年比97.3%減となるなど、新型コロナによる打撃から回復の兆しが見えないままだ。欧米諸国では現在感染が急増しており、来年上半期まで国際線の需要が回復するのは難しいとみられている。
台湾、駅弁フェスティバルを開催
台湾では13日から16日まで、交通部台湾鉄路管理局が主催する「2020年 鉄道弁当フェスティバル」が開催される。今年で6回目を迎える同イベントには、JR東日本を含む日本の鉄道会社5社が出展し、8種類の駅弁を販売する。台鉄とコラボした台湾ファミリーマートや、機内食を手掛けるチャイナエアラインのグループ企業も参加するという。
チャイナエアラインは2021年1月から2月の日本路線の運航計画を発表。同社は現在、台北と成田・関西・中部・福岡をつなぐ4路線を運航しているが、これを継続する。現在成田線は週3往復、その他の路線は週1往復となっている。
タイ、低リスク国からの渡航者に対し隔離期間を短縮で検討
タイのキアティプーム保健事務次官は11月5日、新型コロナ感染リスクの低い国・地域からタイを訪れる渡航者に対し、強制隔離期間を現行の14日から10日間に短縮する案が浮上していることを明らかにした。同次官によると、入国者の感染はほとんどが入国後10日以内に確認されており、11日以降の感染確認は100万人あたり1.5人だったと説明。一方で感染リスクの高い国・地域からの渡航者に対しては、引き続き14日間の隔離が義務づられる。
やまとごころでは、重点20市場における入国規制の状況を一覧にまとめています。
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