インバウンドコラム
日本、変異種の新型コロナの流入防止策として外国人の入国を原則拒否
日本政府は、全世界からの外国人の入国を26日から1月末まで停止することを発表した。新型コロナウイルスの拡大を受けた入国制限緩和措置として、政府は10月から、全世界を対象に留学生や駐在員など中長期の在留資格を持つ外国人の日本への新規入国を認めていた。しかし、イギリスなどで確認された感染力の強い新型コロナウイルスが、相次いで各国で確認されていることを受け、停止措置に踏み切った。
日本人や在留資格がある外国人は入国が許可されるが、11月1日から認めていた短期出張から帰国・再入国した際に一定条件のもと免除していた、入国後2週間の待機措置免除は停止。28日から来年1月31日までの間、日本へ入国した際には、ホテルや自宅などでの2週間の待機が必要となる。
すでにビザ取得の外国人や合意したビジネス往来の枠組みは認める
すでにビザを取得した外国人も原則入国できるが、上陸申請から14日以内にイギリスや南アフリカに滞在した人の入国は認めない。中国や韓国など11カ国・地域と合意したビジネス往来などの枠組みによる入国は引き続き認める。
コロナ変異種に世界各国が警戒、イギリスからの渡航制限が相次ぐ
イギリスで感染力の強い新型コロナウイルスの変異種による感染が拡大していることを受け、世界各国が警戒を強め、イギリスからの渡航を制限する動きが相次いでいる。
スペイン、ポルトガル、ポーランド、スイス、ロシア、ベルギー、フィンランド、ノルウェーなどの欧州諸国はイギリスからの渡航を禁止。ドイツは21日から31日まで、オランダは来年1月1日までイギリスからの旅客便の乗り入れを禁止するなど、期限付きで制限している国もある。
アジアでは中国が24日にイギリス発着の直行便の運航を無期限停止すると表明したほか、韓国もイギリスを往来する航空便の運航を中断すると発表。
日本は24日から当分の間、日本人以外はイギリスからの入国を認めないと発表。また、27日以降にイギリスから帰国する日本人についても、イギリス出国前72時間以内の陰性証明書の提出が求められる。
米国は渡航禁止などの措置を取っていないが、ニューヨーク州のクオモ知事は、イギリスからニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港へ向かう路線について、新型コロナの検査で陰性が判明した乗客のみの搭乗を許可するよう、航空各社に要請。英ブリティッシュ・エアウェイズ、米デルタ航空、ヴァージン・アトランティック航空の各社は21日にこの措置を発表した。
台湾政府、タイ、ブータン、オーストラリアを「中低リスク国」へ
台湾の中央流行疫情指揮中心は23日、「低リスク国」に指定されていたタイ、ブータン、オーストラリアで新型コロナウイルスの感染が拡大しているとして、「中低リスク国」へと指定を変更した。同3カ国から台湾に入境する短期滞在ビジネス客はこれまで、14日間の隔離期間が5日間に短縮されていたが、7日間に延長されることも決定した。
台湾では22日、4月12日以来初となる市中感染が確認された。これを受け、台湾の観光当局は24日、北東部で予定されていた初日の出を見る毎年恒例の新年行事を中止する方針を示した。一方で、台北市で大晦日に予定されている花火などのイベントは予定通りに実施するという。ただし、参加者はマスクの着用が義務付けられる。
韓国、年末年始は観光地やスキー場を閉鎖
韓国政府は22日、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため、年末年始の期間中(12月24日〜1月3日まで)、人が集まりやすい観光地や全てのスキー場を閉鎖することを決定した。このほかにも、5人以上の集会の禁止や、飲食店への規制も強化している。丁首相は会見で「年末年始は自得で過ごしてほしい」と国民に訴えた。
タイ、バンコクの隣県で感染拡大。年始にかけて規制強化
タイ保健当局は、首都バンコクに隣接するサムットサコン県の海鮮市場を中心に新型コロナウイルスの集団感染が発生したことを受け、20日から23日にかけて7県1万人以上を対象に新型コロナウイルスの検査を実施した。海鮮市場での感染者は大半がミャンマーからの出稼ぎ労働者だったという。バンコク都知事は、感染再拡大を回避するため、歓楽・娯楽施設での入店人数制限や市場でのマスク着用の義務、公園内での団体行動の禁止など、1月3日まで規制を強化している。
香港、入境後は政府指定のホテルで強制隔離へ。事前の予約が必要に
香港では22日以降に中国本土、マカオ、台湾以外の地域から香港に入域する場合、政府指定のホテルで14日間分の予約を事前にしなければならず、PCR検査を受けた上で強制隔離を行う措置を取り始めた。強制隔離後もさらに2回のPCR検査が行われるが、検査の間で陽性反応が出れば即入院となる。指定のホテルは現在36軒で、宿泊料は1泊400〜5万香港ドル(約5000円〜66万7000円)と幅広い。この発表を受け一部の指定ホテルは満室となり、1月中旬まで空室がないという。
シンガポール、香港からの入国者に対し検疫を強化
シンガポール当局は12月14日以降に香港からシンガポールに到着した旅客に対し、14日間の隔離措置を取っている。香港からの旅客に対しては10月に隔離期間を7日間に短縮したばかりだったが、香港での新型コロナ感染再拡大をうけてこの措置を講じた。また、18日以降は、過去2週間以内に香港を訪れた人がシンガポールに入国する場合、搭乗の72時間以内にPCR検査を受け、結果が陰性だった場合のみ入国が可能になるという。
すべての国から、経済的価値の高い渡航者の受け入れの方針
一方で、シンガポール政府は、旅行・ホスピタリティー産業の回復に向けた取り組みの一環として、一定の条件下で出張者や政府関係者など、経済的価値の高い渡航者をあらゆる国から受け入れる方針を明らかにした。人数を制限した上で、1月後半から該当する渡航者の受け入れを開始。渡航者は最長で14日間の滞在が可能になる。
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