インバウンドコラム
イギリス、ロックダウンを一部緩和
イギリスではワクチン接種が進み、感染者、死者数共に減少傾向にあるため、1月5日から実施していた3度目のロックダウンを段階的に解除し始めた。ジョンソン首相は、29日からイングランドで一部のロックダウンが緩和されるにあたり、慎重に行動するよう国民に呼びかけた。同日からはゴルフなどの屋外での運動ができるようになり、4月には屋外に限って飲食店を再開する予定だ。さらに、5月には飲食店の屋内営業や映画館などの娯楽施設、ホテルを再開し、6月21日に通常の生活に戻す方向で調整を進めている。欧州最多の死者を出しているイギリスは、昨年12月にいち早くワクチン接種を開始し、これまでに人口の約半数にあたる3000万人が1回目の接種を受けた。死者数が急減し、過去6カ月間で最小を記録しているため、ワクチンが一定の効果を示している可能性がある。
ドイツ、第3波に見舞われイースター休暇の外出自粛を呼びかけ
ドイツでは感染力の強い変異株の感染拡大が深刻化しており、第3波に見舞われている。ロベルト・コッホ研究所のヴィーラー所長は26日、第3波がこれまでで最悪となる可能性があると警鐘を鳴らし、イースター休暇中の外出自粛を呼びかけた。シュパーン保健相も、医療システムが4月に限界に達する恐れがあると警告。メルケル首相は28日、第3波の封じ込めに向けて外出禁止令を導入する可能性があると表明し、各州に予防対策の強化を求めた。こうした中、国民には近隣諸国への不要不急の渡航自粛を呼びかけ、29日からは航空便でドイツに入国するすべての乗客に陰性証明書の提出を義務づけている。ドイツでは人口の約10%が新型コロナワクチンの1回目の接種を終えている。
フランス、ロックダウン対象地域を16から19に拡大
フランスでは、イギリスではじめに確認された新型コロナウイルスの変異種の感染が拡大しており、再び医療体制がひっ迫、3月27日より外出制限の対象地域を16から19に増やした。地域外への移動が禁じられるほか、食品店や薬局など以外の商店には休業が求められる。学校は閉鎖しないが、在宅勤務を呼びかけている。
フランス南部に位置するマルセイユでは、無許可のカーニバルに約6500人が参加し、警察が介入する事態となった。参加者のほとんどが若者で、マスクを着用していなかったという。
オーストラリア、ブリスベンで3日間のロックダウン
オーストラリアのクイーンズランド州は29日、州都のブリスベンで3月29日から3日間にわたってロックダウンを導入すると発表した。同州では英国株に関連したクラスターで7人の感染者が出ている(3月29日時点)。ロックダウンの導入により、必須の仕事、医療、食料品の買い出し、運動以外の理由で外出することが禁止される。同州では1月上旬に英国株の感染者が1人見つかった際にもロックダウンを3日間導入し、感染拡大を押さえ込んでいる。オーストラリアではこうした素早いロックダウンや接触者の追跡によって、感染抑制に成功している。
台湾、パラオとの「トラベルバブル」で団体ツアーが満員に
台湾は4月1日より、パラオとの相互往来を隔離措置なしで認める「トラベルバブル」を開始する。団体ツアーに限定されているが、初回は旅行会社6社が参加し、100人の定員はすでに満員となっている。参加者は空港で新型コロナ検査を受け、3時間半後に出る結果で陰性であれば搭乗できる。台湾は、日本や韓国、シンガポール、ベトナムとのトラベルバブルについても、相手国とオンラインで意見交換をしているという。このうち、ベトナムとシンガポールは感染状況が落ち着いてきたとして、24日に低リスク国に指定した。
香港、 4つの原則に従い、日本などとワクチンパスポート設置を検討
香港政府は、日本、韓国、中国本土、台湾との間でワクチンパスポートの設置を検討すると述べている。これに対し、香港大学感染症センター所長は、ワクチンパスポートを検討する際、「ゼロリスク」を確保することは困難であると述べた。また、設置を検討する際には科学的根拠とワクチンを受けるための十分なインセンティブ、安全性、経済効果など、4つの原則に従うべきだと指摘している。
香港政府観光局は、香港が徐々に国境を再開した場合、最も楽観的な見積もりとして、今年の香港への訪問者が約960万人に上ると予測している。
タイ、4月から入国時の隔離期間を7〜10日に短縮
タイ政府は、帰国・入国時に義務付けている14日間の隔離措置を、4月1日から短縮すると決定した。短縮期間は以下の通りで、隔離期間中はフィットネスプールやプールの利用が認められる。
[1] 出発前72時間以内に行った検査の陰性証明書があり、14日以上前に行ったワクチン接種証明書がない場合:隔離期間を10日間に短縮し、隔離期間中に2度PCR検査を行う
[2] 出発前72時間以内に行った検査の陰性証明書があり、14日以上前に行ったワクチン接種証明書がある場合:隔離期間を7日間に短縮し、隔離期間中に1度PCR検査を行う
[3] 出発前72時間以内に行った検査の陰性証明書がなく、14日以上前に行ったワクチン接種証明書がある場合:隔離期間を7日間に短縮し、隔離期間中に2度PCR検査を行う
ただし、タイ保険省が指定する、変異株が流行している国・地域からの入国者には短縮が認められない。
リゾート地として有名なタイ南部のプーケット県は、7月からワクチン接種済みの外国人観光客を隔離なしで受け入れる計画を新型コロナウイルス感染症対策センターに提出する。このプランを実現するためには、プーケット県民のワクチン接種率が70%に達する必要があるという。
1年間のコロナ禍で変化した、世界各地の人々の生活
香港では当初、SARSの時の経験を活かして新型コロナの新規感染者を抑制したかのように見えたが、その後も感染拡大と抑制を繰り返し、1年経った現在も規制は続いている。欧米諸国のように、本格的なロックダウンは行われていないものの、昨年12月頃から第4波に見舞われたことで、クリスマスや年末年始、春節といった一大イベントが例年とは様相を異にした。レストランの閉店時間は18時で、1つのテーブルに2名しか認められないため、外食する機会も激減。レストランの規制は2月半ばに緩和されたものの、バー、スポーツジム、カラオケ、マッサージ店、テーマパークなどは依然として休業を余儀なくされている。一方で、PCR検査においてはインターネットで予約ができ、検査も迅速にできるようシステムが確立されているようだ。
ホテルの稼働率20%程度で、厳しい状況が続くハワイ
ハワイでは2度にわたってロックダウンが実施され、海外からの入境者に対する規制を強化したことで、主要産業である観光業が大打撃を受けた。一時は失業率が20%にも及んだという。ロックダウン中はビーチや公園を利用することもできず、市民の不満は蓄積。しかし昨年10月には事前検査プログラムで観光産業を一部再開すると発表し、少しずつ米本土からの観光客が戻り始めた。さらに、失業者に飲食店で使える500ドル分のデビットカードを配布したことで、飲食店にも少しだけ回復の兆しが見えているようだ。観光再開後もクラスターは起きておらず、ワクチンの接種も進んでいる。しかし依然としてホテルの稼働率は20%程度であり、観光産業は厳しい状況が続いている。11月には日本からの観光客に対しても事前検査プログラムが適用されたが、日本に帰国する際に14日間の自主隔離があることから、日本人観光客は戻っていないようだ。
郊外への移住者が増えているニューヨーク
感染者数、死者数共に深刻な状況にある米ニューヨークでは、リモートワークが定着したこともあり、マンハッタンから移住する人が増えているようだ。昨年末から第2波に見舞われ、閉店してしまった飲食店や小売業も多く、失業者も増加。これに伴い、政府と州からの失業保険は外国人にも支給されているという。ワクチン接種は着実に進んでおり、感染率も緩やかに下がりつつある。また、コロナ禍のアメリカでは、「ブラック・ライブズ・マター」をはじめとする人種差別やジェンダーの問題に、より一層人々の関心が高まった。しかしながら、トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」と呼び続けていたこともあり、最近ではアジア系への暴力が急増している。
自治州ごろに規制強化と緩和を繰り返しているスペイン
スペインでは1度目のロックダウンが昨年6月に解除され、レストランの営業も制限を設けた上で再開され、少しだけ回復の兆しを見せた。しかし、その後も深刻な状況は続き、自治州ごとに規制強化と緩和を繰り返している。失業率は16%に達し、若者においては40%という数字も出ている。リモートワークは昨年10月に40%に到達し、学校もリモート授業と対面授業を組み合わせて行っているという。スペインではワクチン接種が進み、現時点(3月末)で住民100人あたり約15人が接種を終わらせている。
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