インバウンドコラム
タイ プーケット、隔離なしで外国人観光客を受け入れ「サンドボックス」開始
タイ政府は6月22日、新型コロナウイルスワクチン接種済みの外国人観光客を隔離検疫なしで受け入れる「サンドボックス」を、7月1日からプーケットで開始することを承認した。タイに入国する旅行者は、到着時と滞在中に検査を行い、陰性であればプーケット内を自由に移動できる。隔離免除の条件は以下の通り。
隔離免除の条件
[1] 搭乗日の14日前までにタイ保健省に登録されたワクチンまたはWHOによって承認されたワクチンを完全に接種し、英文のワクチン証明書を提出すること。
[2] 到着前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書(英文)を提出すること。
[3] 政府認定宿泊施設の予約確認書(英文)を提出すること。
[4] 空港到着時に、居場所を追跡するアプリ「ThailandPlus」をインストールし、登録すること。
入国後は、プーケットでタイのSHA(健康安全基準)に認定されたホテルに14泊以上滞在する必要があるが、その後は国内を自由に旅行できる。ただし、タイ政府が感染のリスクを低い、もしくは中程度と判断している国・地域からの観光客のみが受け入れ対象となる。日本は当局による6月16日の発表で、高リスク国に指定されている。
玄関口となるプーケット空港に到着する国際線は、7月だけで18社、計200便に上る。パンデミック前の2019年同期には500便程度の国際線が到着していたため、4割程度が運航されることになる予定だ。また、7月の欧米からの旅行予約は6789人に上ったという。
タイ政府はプーケットを皮切りに、今年の10月中旬までに全土で隔離なしの入国が可能になるよう大幅に入国制限を緩和していく見通しで、国内経済を支える観光業の立て直しを図りたい考えだ。一方、タイの地方医師協会は、ワクチン接種の遅延や、新たな変異株の出現などを念頭に、この方針には危険が伴うとの見解を示している。
コロナウイルス変異株拡大で、バンコクと9つの州で再び厳しい規制を導入
国境再開に向けて前進するタイだが、感染状況にも懸念が広がっている。タイ国内では5月以降、新型コロナウイルス感染症の変異株「デルタ株」が急速に拡大し、6月28日には、新規感染者が過去3番目に多い5406人となり、22人の死亡が確認された。感染再拡大を受け、6月28日から首都バンコクと近隣の5つの州、および南部の4つの州でより厳しい規制を導入。レストランでの店内飲食が禁止されたほか、バンコクと一部の州のショッピングモールでは午後9時までの閉店が求められ、ホテルやコンベンションセンターでは20人以上の集会が禁止されている。
6月24日には、学生グループらによる反政府デモが行われ、参加者は感染対策の遅れによって経済に悪影響が出たなどとして、プラユット首相の辞任を求めた。国内ではコロナ禍による経済の悪化で社会に閉塞感が生まれ、若者の間で不安が高まっている。
タイ国内でワクチン接種を完了した人は人口の約3.7%に留まる
タイのワクチン接種状況は、少なくとも1回以上接種した人は人口の9.2%、必要回数のワクチン接種を完了した人は人口の3.7%にとどまっている(6月25日時点)。現在、タイ国内の新規感染者はアルファ株が中心となっているが、タイ保健省医療科学局は、今後2〜3カ月でデルタ株が主流になるとの見方を示している。
そのため、タイ保健省疾病管理局は21日、デルタ株の国内での流行に備え、1人あたり計3回のワクチン接種を検討していることを明らかにした。また、異なる複数のメーカーのワクチンを組み合わせることに問題がないかも検証中だという。
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