インバウンドコラム
コロナ禍でドバイ万博が10月1日にスタート、想定入場者は約2500万人
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、1年延期された「2020年ドバイ国際博覧会(以下ドバイ万博)」が、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで10月1日よりスタートした。開幕式は9月30日の夜に行われ、ドバイ首長国の首長や、アブダビ首長国の皇太子をはじめ、192カ国から約3000人の代表者らが参加した。万国博覧会が中東で開催されるのはこれが初で、UAE政府は会場の建設に約70億ドル(7800億円)を投じている。想定入場者は約2500万人で、コロナ禍のイベントとしては世界最多となる見通しだ。
メインテーマは「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来を創る)」で、2022年3月末まで6カ月間にわたって開催される。
開幕初日には国内外から5万3000人以上が訪れ、最初の10日間で41万人以上が入場した。また、入場者の3人に1人が世界175カ国から訪れたインバウンド観光客だという。
開幕初日の日本館には2時間待ちの行列
万博内には、独創的な展示や最新技術が披露された各国のパビリオンが並ぶ。日本館は「アイデアの出会い」をテーマに、最新の空間演出や映像表現を駆使して、6つのゾーンで日本の歴史、文化、技術を紹介している。開催初日の10月1日には、気温40度の蒸し暑さが続く中、日本館には2時間待ちの行列ができ、平日の10月4日にも最大1時間程度の待ち時間が生じるほど好評を博しているという。また、中東初出店となる回転寿司「スシロー」の「スシロードバイ万博店」では、ハラル食材を使用したメニューを約120点提供する。日本政府は、ドバイ万博を成功させ、2025年に予定されている「大阪・関西万博」のPRにつなげたい考えだ。
中国館は「人類運命共同体の構築―イノベーションとチャンス」をテーマに展開し、情報技術や現代交通、人工知能などの発展成果を展示している。パンダロボットが中国館から飛び出して太極拳を披露したり、パンダに扮したスタッフがパンダのぬいぐるみを観光客に手渡したりするなど、人々との交流を深めている。韓国館は「スマートコリア、韓国が贈る無限の世界」をテーマに、モバイル拡張現実(AR)などを通じて最先端情報通信技術(ICT)を体験できる空間となっている。また、K-POPやB-Boyの公演が行われるほか、韓国の伝統や現代文化が体験できる展示会、韓国グッズ店や飲食店もあり、初日には長蛇の列ができ、約3200人が来館したという。
入場者には、ワクチン接種証明または72時間以内の陰性証明の提示を義務付け
ドバイ万博では、新型コロナウイルス感染防止策として、18歳以上の入場者にはワクチンの接種証明書か、72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられている。ワクチン未接種者でPCR検査を受けていない場合でも、万博の入場チケットを保有していれば会場に隣接された検査施設で無料の検査を受けることができる。このほかにも、全てのスタッフやボランティアのワクチン接種、屋内外でのマスク着用、2メートルの社会的距離の確保なども義務付けられている。
新規感染者は減少傾向、UAE国内のワクチン接種完了率は85%超え
UAE国内の感染状況は、今年1月には約1000万人の人口に対し、1日4000人近くの感染者が出ていたが、最近ではワクチン効果もあって減少傾向が続き、10月10日の感染者数は111人となっている。UAEでは昨年末からワクチン接種をスタートさせ、総人口の95.5%が1回目の接種を終了し、85.2%が必要回数の接種を完了している(10月10日時点)。
ドバイでは、PCR検査の陰性証明書の提示を条件に、昨年7月には海外からの渡航者の受け入れを開始するなど、観光業の回復に向けた取り組みを迅速に進めている。現在、日本からドバイに渡航する際は自主隔離が不要で、出発前72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の提出が義務付けられている。
航空会社、万博関連のキャンペーンを実施
万博の開催に伴い、航空会社はキャンペーンでインバウンドの誘致を進めている。ドバイ万博のプレミアパートナー兼公式航空会社であるエミレーツ航空は、早割予約で航空券が最大20%割引になるキャンペーンを9月に行ったほか、万博期間中にエミレーツ航空を利用した搭乗者に万博の無料ワンデイパスを提供している。また、ドバイ滞在1分ごとに1マイル、最大5000マイルを付与する特典も提供している。同じくUAEのエティハド航空も、搭乗者に万博の無料ワンデイパスを提供するキャンペーンを実施している。
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