インバウンドコラム

中国の国慶節連休の人出 前年割れの5億人台もテーマパークが大人気。近場や在宅での消費に活気

2021.10.19

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中国では、建国記念日である「国慶節」の10月1日から7日まで大型連休があった。連休中、北部では雪景色が見られる場所もあるほど気温が下がった一方で、南部は高温度警報が発令されるほど暑く、最高気温が37度を超える場所もあったという。新型コロナウイルス感染症の影響で昨年に続き今年も国境が閉ざされる中、中国の人々は2021年の国慶節連休をどのように過ごしたのだろうか。以下に観光や消費の動きを紹介する。

 

国慶節連休中の国内観光客数、前年割れの5億1500万人

中国文化観光省は10月7日、国慶節連休中の国内観光客数が、前年同期比1.5%減の延べ約5億1500万人だったと発表した。新型コロナウイルス流行前の2019年と比較すると3割減となり、業界の事前予測を1億人以上下回った。また、中国航空当局は10月8日、人気観光都市への航空便の予約状況を発表し、過半数の都市で予約が前年同期を下回り、国慶節連休中の航空旅客が前年同期比で19.6%減少したことを明らかにした。

今年は天候や新型コロナウイルスの感染者が局地的に確認された影響で、地域をまたぐ中距離や長距離の旅行需要が伸び悩み、近場や近郊への旅行が主流となった。「短時間」「近距離」「高頻度」がキーワードで、近郊のリゾートホテルやハイクオリティな農村の民泊施設、キャンプ、近場のドライブ旅行など、プチ旅行やプチバケーションが人気だったという。

国内の観光収入は、前年同期比4.7%減の3890億6100万元(約6兆7300億円)で、新型コロナウイルス流行前の2019年と比較すると4割減となっている。旅行商品の価格が比較的安かったことや、近場旅行への需要が高まったことが消費低迷の原因となったとの見方もある。

 

人気の旅行先はテーマパーク、ユニバーサルスタジオは北京市内の消費を牽引

携程旅行網が発表したデータによると、国慶節連休に最も人気があった旅行先は、北京だった。連休前の9月20日にユニバーサルスタジオ北京が正式に開園した影響が大きかったと見られている。連休中のユニバーサルスタジオ北京の入園者数は1日平均で延べ2万5000人を超え、北京市外からの観光客が約半数を占めた。営業時間を午後10時まで延長したほか、一部のショーの上演回数を増やした。また、大手旅行サイト「Qunar」のデータによると、ユニバーサルスタジオ北京周辺ホテルの粗利益率は2019年の同期比で75%上昇し、客室の平均単価も217元(約3600円)から2倍以上上昇し、507元(約8600円)になった。北京市文化観光局によると、国慶節連休中に北京を訪れた観光客数は前年同期比で横ばいだったが、観光収入は15%増加している。

電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」が発表したデータによると、国慶節連休中にはテーマパークが国内観光地の消費で最も活発なジャンルだった。中でもユニバーサルスタジオ北京、上海ディズニーランド、華強方特(ファンタワイルド:遊園地)がトップ3を占めている。

 

消費は好調、オンラインやフードデリバリーなどの在宅消費が増加

一方、2021年の国慶節連休中の消費は、小売、飲食、観光、映画などの分野で好調ぶりを見せた。卸売・小売業の1日当たりの販売額は、前年同時期比で9.9%増、2019年同時期比で25.4%増となった。また、オンライン消費やフードデリバリーサービスも好調で、それぞれ前年同期比、2019年同期比ともに30%程度増加している。

中国商務部の発表によると、例年の国慶節に比べて今年は、[1]地元や近場での消費、在宅消費が増加、[2] (環境負荷の少ない製品を購入する)グリーン消費、(無駄がなく、賢い消費で生活を豊かにする)スマート消費、健康消費が一層人気となった、[3]オリジナリティやハイクオリティを求めるニーズが拡大した、[4]オンライン・オフラインの融合が加速し、体験型、シーン化消費のニーズが高まった、という4つの特徴があったという。

飲食業では火鍋が人気だった。フードデリバリー大手、美団の統計によると、連休中に注文数が最も多かった食事のジャンルは「火鍋」だった。外食のみならず、自宅で火鍋を食べる消費者も増加しているという。連休中、映画に足を運ぶ人も多く、映画の興行収入は43億8700万元、動員数は延べ9300万人を超えた。10月1日の国慶節に合わせて公開された、朝鮮戦争を題材にした映画『長津湖』は、過去最高の興行収入を記録したという。

 

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