インバウンドコラム
WHOは12月18日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」がこれまでに、89カ国で確認されたと発表した。WHOは、感染力の強いオミクロン株が広がっている国・地域では、医療機関への入院患者が増え続けていると指摘している。感染拡大が懸念される地域では、入国規制の強化やイベントの中止・延期などを余儀なくされ、中にはロックダウンを実施している国もある。こうした中、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに比較的成功してきた台湾では現在、どのような措置が講じられているのだろうか。入国規制緩和の情報も交えてお伝えする。
台湾では12月11日にオミクロン株初確認、警戒レベル「第2級」を維持
台湾の中央感染症指揮センターは12月20日、域内の新型コロナウイルス感染症の新規感染者と死者がゼロだったと発表した。また、海外からの輸入症例は11人だった。
12月16日には、入境者を一時待機させる桃園市の検疫用宿泊施設でクラスターが発生し、宿泊者8人の感染が確認された。指揮センターは同日、クラスターの発生を受け、検疫期間中に実施する検査の回数を増やし、検疫用宿泊施設の防疫管理措置の徹底や在宅検疫時の取り締まりを行うなど、感染拡大防止策を強化すると発表した。
台湾では12月11日に初めてオミクロン株への感染者が3人確認されて以来、16日に4例目となる感染者が確認された。いずれも海外からの輸入症例だった。台湾では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いており、日々数人確認されている感染者は、ほぼ輸入症例となっている。一方で、指揮センターは12月13日、14日から27日までの新型コロナウイルス感染症の警戒レベルを「第2級」(第1〜4級で分けられ4級が最も厳格)のまま維持すると発表した。
春節連休向け、3種類の検疫プランを適用
台湾では、2022年1月29日から2月6日まで、9連休の春節休暇を迎えるが、春節前の入境者増に対応するため、2021年12月14日から2022年2月14日までの期間で3つの検疫プランを適用している。いずれも入境日+14日間を原則とし、入境時と検疫期間満了の前日にそれぞれPCR検査をする必要がある。また、前述のクラスター発生を受け、検疫期間中に簡易検査を行う措置を追加した。台湾へ入境する際は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種完了後、14日間経過していることが義務づけられている。
入境者は、防疫ホテルで14日間を過ごす「Aプラン」、防疫ホテルで10日間+自宅で4日間を過ごす「Bプラン」、防疫ホテルで7日間+自宅で7日間を過ごす「Cプラン」の3種類から選ぶことができる。さらに、検疫期間満了後には、いずれも7日間の自主健康管理が義務付けられている。防疫ホテルの滞在費や簡易検査キットは自己負担で、在宅検疫を選ぶ際は1戸につき1人に限定される。
指揮センターの陳時中指揮官は、春節の入境のピークは2022年1月3~17日になると予測しているが、オミクロン株の影響で移動が困難になっているため、台湾へ帰省する人はそれほど多くならないとの見方を示している。
台湾人の最大78%が2022年に海外旅行を希望。春節明けに規制緩和か
指揮センターの陳時中指揮官は、現行の防疫措置について、2022年の春節期間終了以降に緩和する方向で検討しているとの考えを示している。そのため、春節期間終了後には、台湾が海外からの旅行者に国境を開放する可能性も浮上してきた。
台湾の大手旅行会社、ライオントラベルが12月16日に発表した世論調査によると、台湾人の最大78%が少なくとも2022年に1回は海外旅行を望んでいると回答した。また、台湾の国営通信社「中央通訊社(CNA)」の報道によると、同世論調査の回答者の85%はパンデミック前と比較して最大20%の値上げを受け入れ、28%は2022年に年収の15%を海外旅行に使ってもよいと回答したという。
2021年は、海外旅行ができなかったため、回答者の85%が台湾域内を旅行し、71%が5回もしくはそれ以下の域内旅行を実行した。域内旅行の滞在日数については、75%が10日以内、12%が20日間で、45%の旅行者が1回の旅行で5000台湾ドル(約2万円)以上費やしていることも明らかになった。
台湾は現在、パラオとのトラベルバブルを実施しているが、CANの報道によると、駐台フィリピン観光局が、来年にフィリピンと台湾の間でトラベルバブルが確立されることに期待を示したという。駐台フィリピン観光局のヘーゼル・ハビト・ハビエル局長は、台湾の旅行業者を交えた夕食会で、「少なくともボラカイ島やボホール島などでは、観光従事者がワクチン接種を完了しているので、台湾とフィリピンの間でトラベルバブルを実施できるのを楽しみにしています」と語っている。
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