インバウンドコラム

渡航規制緩和に動き出した台湾、夏には訪日の予測も。観光業界も回復の兆し

2022.03.09

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ヨーロッパ諸国を中心に水際対策の緩和を進める動きが広がっているが、これまで国境を閉鎖してきた台湾も、徐々に「ウィズコロナ」への転換を進めつつある。新型コロナウイルス対策の「優等生」とみなされてきた台湾は、今後どのようにして国際的な人の往来を再開していくのだろうか。今回は、現在の台湾における出境、入境などの情報を紹介する。
 

2022年1月の台湾出国者数 行先トップは米国。下半期は海外旅行解禁も

台湾の交通部観光局によると、2022年1月の台湾からの出境者数は前年同月比23.6%増の延べ2万5925人で、2カ月連続のプラス成長となった。台湾から最も多くの人が渡航したのは米国で、前年同月比13.2%増の8089人。台湾から日本への渡航者は前年同月比31.6%増の1047人だった。

台湾の中央感染症指揮センターは、早ければ下半期から海外旅行を開放すると発表している。台湾の一部専門家によると、新型コロナウイルスの日本における流行は6、7月まで続くため、日本を訪れるのは8月が理想との見方もある。

なお、日本政府は海外からの観光客受け入れは行っていないが、3月1日の入国制限緩和により、台湾から日本へ帰国・入国する人はワクチンを3回接種した証明書を提示すれば、隔離なしで入国できる(1日あたりの入国者数の上限は5000人)。3回の接種を完了していない場合は原則7日間の隔離が求められるが、入国後3日以降に自主的にPCR検査または簡易検査を受け、陰性結果を厚生労働省に届けて確認が完了すれば、隔離が解除される。

 

台湾では入境規制を緩和、ビジネス客の受け入れ再開

台湾当局は、域内で新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることなどを理由に、3月7日より、海外から入境した渡航者に義務づける隔離期間を、現行の14日間から10日間に短縮(入境日を0日目として起算)した。隔離終了後の11日目からは、7日間の自主健康管理を行うことが求められる。10日間の隔離期間中は、1人1室であれば自宅などでも実施でき、家族や同居者と同日に入境した場合は、同じ部屋に滞在することも可能だという。入境後は、当日(0日目)と検疫終了前(10日目)の2回に分けてPCR検査を受ける必要があり、家庭用の抗原検査キットによる検査を隔離の3日目、5日目、7日目と、自主健康管理期間の3日目、6〜7日目に各1回、計5回実施する必要がある。これまで通り、居留書を持たない渡航者の入境は原則として認められていないが、今回の緩和措置により、ビジネス客の受け入れが再開された。 

水際対策の緩和に伴い、台湾航空大手のチャイナエアラインとエバー航空は、一部路線を増便する。チャイナエアラインは3月末から中国、東南アジア、北東アジア、欧州、北米、オセアニア線の旅客便を順次増やすと発表し、エバー航空も4月から増便する計画となっている。 

台湾の中央感染症指揮センターは、多くの欧米諸国が7月以降に新型コロナウイルスに関する規制を解除すると予想される中、台湾は段階的に緩和するため、若干遅れると説明している。市民がマスクの着用やワクチン接種に協力すれば、7月に規制の半分は解除できるとの見通しを示している。 

 

感染者減でマスク着用義務などの規制緩和、域内観光に回復の兆し 

台湾の中央感染症指揮センターは3月7日、新型コロナウイルスの新規感染者が2人だったと発表した。海外からの輸入症例は27人で、この日の死者は報告されていない。感染状況が落ち着いている台湾では、3月1日から31日までの期間、運動時や写真撮影時のマスク着用を不要としたほか、高速鉄道などで禁止されていた車内での飲食を解禁している。 

和平記念日連休の2月26日〜28日にかけては、多くの人が観光地へと足を運んだ。南部の高雄市で2月1日〜28日まで開催されていた台湾ランタンフェスティバルには、延べ1000万人超の人々が訪れるなど、観光業界にも回復の兆しが見られている。

 

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