インバウンドコラム
韓国では新型コロナウイルス感染拡大以降、「K防疫」と呼ばれる厳格な防疫措置で感染を抑え込んできたが、2022年3月には感染力の強いオミクロン株の影響で、新規感染者が過去最多を記録した。その後、4月に入って減少傾向が続いたことや、ワクチン接種が進んだことから、4月18日には「マスク着用義務」以外の新型コロナウイルス対策の規制を2年1カ月ぶりに解除し、ウィズコロナへと転換を図っている。今回は観光関連を中心に、韓国を取り巻く現在の状況をお伝えする。
6月1日より、外国人観光客の受け入れを再開
韓国政府は5月4日、6月1日から、済州(チェジュ)国際空港および東北部にある襄陽(ヤンヤン)国際空港で、外国人観光客の入国をビザなしで受け入れると発表した。ただし、韓国人に対する入国ビザ免除を再開していない日本、香港、台湾、マカオなどの10カ国・地域は対象外となる。対象となる国・地域からの入国者は、新型コロナウイルスワクチン接種を完了していれば入国後の隔離措置が免除となるほか、現在は入国後1日目と6〜7日目の2回実施されている検査が、6月1日より1回に減らされる。また、現在は入国前に受検したPCR検査の陰性証明書が必要だが、5月23日からは迅速抗原検査の陰性証明書でも入国を認めると発表している。
4月の国際線旅客数、前年比で約3.6倍。日韓航空便の再開に向け調整
韓国国道交通部の発表によると、韓国の2022年4月の国際線および国内線の旅客数は378万4000人で前月比31.2%増加した。国際線は64万4000人で同55.4%、国内線は314万人で同21.8%増加している。国際線だけを見ると、前年同月比で約3.6倍となった。3月下旬からワクチン接種完了者を対象に、入国時の隔離を免除したことで、大幅に需要が復活したとみられている。また、5月からは国際線の運航回数を週420往復から520往復に増便するため、今後さらなる増加が見込まれる。
韓国政府は5月11日、ソウルの金浦国際空港と東京の羽田を結ぶ航空便の運航を5月中に再開させるための措置をとる方針を明らかにした。両国間の相互交流の活性化に向け、日本政府と協議しているという。日本政府は現在、原則として観光目的での入国を認めていないが、6月からは1日あたりの入国者数の上限を現在の1万人から2万人に引き上げることを明らかにしている。また5月17日からは、ワクチンを3回接種した韓国からの入国者に対し、入国後の隔離を免除する措置がスタートした。この措置は観光目的での入国も対象となる。ただし、前述の通り、現時点では韓国からのビザなし入国は認められていない。
韓国 インバウンド誘致に本腰、「ラグジュアリーツーリズム」に焦点
韓国観光公社は、インバウンド市場の早期回復に向けて、海外のメディア関係者や観光業界関係者などを招待し、観光地をPRしている。4月には日本旅行業協会(JATA)の関係者が韓国国内の観光地を訪れ、6月までにはタイ、シンガポール、マレーシア、米国、カナダなど11カ国の関係者を招致する。同社はまた、ブラジルとマレーシアから、富裕層の「ラグジュアリーツーリズム」客が訪れることを明らかにした。ここでのラグジュアリーツーリズムとは、航空機でビジネスクラス以上の座席を利用し、五つ星以上の宿泊施設に滞在し、滞在中に1日当たり平均1000ドル(約13万1000円)以上を支出する観光旅行のこと。ブラジルからの観光客は1人当たり10万ドル(約1200万円)の参加費を払い、25日間の日程で欧州とアジア8カ国をめぐり、マレーシアからの観光客は1人当たり約750万ウォン(約75万円)で、1週間の日程で韓国のグルメツアーを楽しむという。
韓国、日本ともに旅行意向高く「安全な国」との認識
韓国の政府関係機関が、主要訪韓国21カ国・地域を対象に「コロナ後」の韓国旅行の需要を探るために行った調査によると、「3年以内に最初に海外旅行に行きたい場所」で、韓国は日本に続いて2番目に人気が高かったことがわかった。次いで人気だったのは、シンガポール、タイ、米国だった。同調査の報告書では、韓国に関しては「タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど主に東南アジア諸国で訪問希望順位が高く、安全な国と認識していることが分かった」と分析し、日本に関しては「アジア・中東だけでなく、欧米・大洋州居住者など全般的に訪問希望順位と安全国家としての肯定的な認識の程度が高く表れた」と分析している。
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