インバウンドコラム
タイでは2021年11月より、アジアの国地域に先駆けて外国人観光客による隔離なしの入国を認めるなど、新型コロナウイルスの水際対策の緩和を進めてきた。現在ではほぼ全ての入国規制が撤廃されており、10月からの観光ハイシーズンに向けて、さらに外国人観光客の誘致を加速させる計画だ。今回は、常に明確な数字目標を掲げ、そこに向かって前進する観光大国タイの現在の状況を紹介する。
10月1日よりビザなしで最大45日滞在可能に、長期滞在促進を狙う
タイ政府は10月1日より、タイに入国する外国人の滞在可能期間を延長すると発表した。日本を含む52カ国からの入国者は、ビザなしで45日間、到着ビザで30日間の滞在が可能になる(通常の滞在期間はビザなしで30日間、到着ビザで15日間)。ただし、この措置は2023年3月31日までの期間限定で、観光のハイシーズンに合わせて実施される。
タイ政府は同じく10月1日より、新型コロナウイルスの感染者を入国禁止リストから除外する。また、同日より新型コロナウイルスの疾病分類を「危険な感染症」から「監視すべき感染症」に格下げすることを発表した。タイ国内で新規感染者が減少しているなどの理由から、経済の活性化を優先し、外国人観光客のさらなる誘客を目指す。タイではすでに、ワクチンの接種証明や、陰性証明の提示といった入国規制が撤廃されている。タイ国内で2年半にわたって継続してきた非常事態宣言も、ワクチンの接種率の向上や重症化するケースが少なくなっていることを背景に、9月30日で解除になる。
タイ政府、2022年のインバウンド目標1000万人達成は「十分に可能」
タイ政府の発表によると、2022年に入ってからタイを訪れた外国人は、これまでに約500万人にのぼり、9月だけでも約100万人が入国しているという。タイ政府は、2022年中に少なくとも1,000万人の外国人観光客がタイを訪れると見込んでおり、10月から観光シーズンに入ることを考えるとその目標は十分に達成できるとの見解を示した。なお、コロナ禍前の2019年には約4000万人の外国人観光客が訪れていた。
タイ国政府観光庁(TAT)は、今年の観光収入が1兆5000億バーツ(約5兆7,232億円)となり、2019年比で50%ほどの水準まで回復するとの見通しを発表している。また、現在に至るまでの今年の外国人観光客の平均消費額は1人当たり約5万バーツ(約19万円)で、観光収入は6258億バーツ(約2兆3877億円)と推定している。国別の外国人観光客数トップ5は、1位マレーシア、2位インド、3位ラオス、4位シンガポール、5位カンボジアの順となっている。タイ政府がこのほど発表した予測では、2023年のタイの観光収入は最大で2兆3800億バーツ(約9兆808億円)に達し、タイ観光産業はコロナ禍前の2019年比で80%まで回復する可能性があるという。
2023年の訪タイ日本人客125万人を目標、日本人観光客を誘致
タイ国政府官公庁(TAT)は、今年10〜12月に日本人観光客のタイ誘致に尽力し、2023年にタイを訪れる日本人を少なくとも125万人に増やし、750億バーツ(約2856億円)を生み出すことを目標にしていると発表した。コロナ禍前の2019年には180万人の日本人がタイを訪れたが、今年(1月1日〜9月20日)の訪タイ日本人客は16万6709人にとどまっている。
なお、日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2022年8月の訪日客数(推計値)は16万9800人にのぼり、5か月連続で10万人を上回った。しかし、2019年比では93.3%減にとどまっている。このうち、タイからの訪日客は5100人で、2019年比で89.7%減だった。日本からの出国者数(推計値)は38万6400人にのぼり、コロナ禍の2020年4月以降、初めて30万人を突破した。
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