インバウンドコラム
台湾では今年10月31日に入境後の隔離が撤廃されたが、今月に入ってさらに入境規制が緩和された。段階的に水際対策の緩和を行うにつれ、訪台外国人の誘致や台湾人の出境も活発化しているようだ。今回は台湾に焦点を当て、新型コロナウイルス対策に伴う現在の動きを紹介する。
入境者数の上限を撤廃。屋外のマスク着用義務も廃止
台湾では12月1日より、マスクの着用規制が緩和され、屋外でのマスク着用義務が撤廃された。また、台湾の中央流行感染症指揮センター(CDC)は12月8日、クリスマスや年越しなどの大規模イベントに関しても、新型コロナウイルスの防疫規定を設けないと発表した。一方、公共の交通機関を含む屋内では引き続きマスクの常時着用が義務付けられる。
台湾政府は12月10日、入境者数の上限を撤廃した。同政府は入境者数の上限を10月13日から1週間当たり15万人、12月1日から1週間当たり20万人と徐々に緩和してきた。上限数の撤廃を発表したCDCは、台湾域内での新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることと、海外のクリスマス休暇や年末、春節休暇が近づくことで、出入境の需要増が見込まれることを考慮したと説明している。
入境規制緩和で海外に向けた観光PRを展開。2024年までにコロナ禍前の水準を目指す
台湾へ入境する際は、4回分の家庭用簡易抗原検査キットが無料で配布され、入境日を0日目とする7日間の自主健康管理が義務付けられる。また、無症状で2日以内の検査結果が陰性であれば、公共交通機関を利用して外出できる。ただし、その際はマスクの着用が必須となる。
台湾の交通部(交通省)観光局の発表によると、入境規制が大幅に緩和された今年10月の訪台旅行者数は延べ9万3206人で、前年同月の約5.6倍となった。国・地域別で見ると、最も多かったのはベトナムで1万6421人、次いで米国が1万361人、日本が9625人の順だった。日本からの訪台目的はビジネスが3960人で最も多く、次いで観光が2288人、親族訪問が540人だった。訪台旅行者全体で見ると、観光目的が1万8000人と最多で、次いでビジネスが1万5778人、親族訪問が1万263人の順となり、観光目的で訪台した外国人旅行者はタイ(3386人)が最も多かった。
同局は12月5日、2022年の訪台旅行者数が、目標の延べ70万人を達成できるとの見解を示した。今年1月〜10月の訪台旅行者数は延べ42万725人となっている。さらに、2024年までには新型コロナウイルス感染拡大前の1000万人規模の水準まで回復させる意向だ。また、入境規制を緩和したことで、海外に向けて観光PRを展開し、主に日本と韓国からの誘客に注力しつつ、東南アジアやインド、欧米諸国にもアプローチする。台湾は、海外企業の慰安旅行の誘致にも取り組んでおり、慰安旅行支援策を推進している。11月と12月には、この支援策を活用して助成を受けた日本企業の社員が台湾を訪れたという。
桃園国際空港の旅客数が大幅増。日台間を結ぶ航空便も再開や増便が進む
台湾の空の玄関口である「台湾桃園国際空港」は、2022年1月〜10月の旅客数が延べ271万人だったと発表した。前年同期の3.6倍となっている。入境規制が緩和された10月の旅客数は67万1000人で、前年同月の9.7倍だった。12月10日には、同空港の1日の旅客数が4万9692人に達し、入境後の隔離を撤廃した10月13日以降で最多となった。
日台間の水際対策が緩和される中、台湾と日本を結ぶ便の再開や増便が進められている。台湾のチャイナエアラインは、「台北−千歳」線を11月1日から順次増便しており、12月1日からは1日1往復を運航している。タイガーエア台湾は来年1月17日に「台北−新潟」線を週2便で就航する。エバー航空は、12月1日から「台北−羽田」線を毎日2便に増便し、「台北−新千歳」線で運行を再開した。また、1月16日より「高雄−関西」線、1月18日より「高雄−成田」線を毎日1便の運航に増便する。
JALは、10月31日より「羽田−台北」線を1日2往復へと増便し、コロナ禍前と同様の運航便数に回復させた。ANAも12月より、「羽田−台北」線を1日2往復に増便している。台湾では来年1月20日より、春節に伴う10連休に入るため、日台間の航空便の需要が増える可能性が高い。
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