インバウンドコラム

【海外メディアななめ読み】海外メディアが紹介する「ちょっと変わった」日本の宿。どのような時間を提供するかがポイントに

2018.12.17

清水 陽子

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以前コラムで紹介したように外国人の間で「Ryokan」がブームとなったり、Airbnbが観光庁の通知を受け、無登録のリスティングを一斉に削除し世界の旅行者が驚愕したり、日本の宿泊業界は今年も色々なことがありました。そんな中、海外メディアが注目する日本の宿泊施設をいくつかご紹介します。

まずは、海に浮かぶ宿「guntû(ガンツウ)」についてのCNNの記事です。「全19室のこのホテルはすべての部屋がオーシャンビューの確約付き」だと紹介されています。それもそのはず、このホテル自体が船なのです。設計した建築家、堀部安嗣氏は、「何もしない贅沢を味わってほしい」とCNNの取材に語っており、高級旅館のようなこの船は、瀬戸内海の風景にいつでも調和するよう、慎重にデザインされています。滞在中は、好きな時に最高級のSushiが振舞われるというもの、外国人の心をくすぐります。

イギリスのThe Timesでは、『日本のお寺に泊まろう』という記事で、今年サービスを開始した宿坊専門の予約サイト「テラハク」が紹介されました。「100ものお寺や神社が掲載されており、一泊二食付きの個室の料金は£62から£105」と、具体的な価格付きで、お寺という敷居の高さを感じさせず「ちょっと泊まってみようか」と思わせます。滝行や料理などの体験に参加できることも書かれています。

京都にオープンした「分散型」という、日本ではまだ新しいコンセプトのホテルも話題となりました。イタリア発祥のこのコンセプトは、主に過疎化が進む集落が、ホテルの機能を分散させ町の活性化を目指すもの。イギリスThe Guardianが『日本初の分散型ホテルが京都にオープン』という記事を掲載し、京都の祇園界隈を舞台に、独立した5棟から成るホテル「エンソウアンゴ」が、新しい宿泊の形を提案すると伝えました。それぞれの棟を行き来することで、旅行者が地元の文化と暮らしを身近に感じることを目指します。都市型「分散型ホテル」は、どう発展していくのか、今後に注目が集まります。

そして最後に、アメリカ経済誌Forbesによる、外国人が求める”TOKYOらしさ”が詰まった、ラグジュアリーなホテル4選をご紹介します。高級感と日本らしさを、同時に感じられるホテルとしてあげられたが、皇居を眼前に臨む「パレスホテル東京」、映画「ロスト・イン・トランスレーション」でお馴染み「パークハイアット東京」、旅館を体験できる「グランドプリンスホテル高輪 花香路」と「ザ・プリンス パークタワー東京」です。「パークハイアット東京」は特に、2000冊超の蔵書を誇るライブラリーとアートのコレクションが素晴らしいとされています。

注目される宿泊施設に共通するのは、「ここに滞在したらこんな時間を過ごせそうだな」と具体的に想像できることです。新たな客層と多様化するニーズに対応するため、様々なアイディアが生まれ、日本の宿泊業界全体が進化していくのを感じます。日本の宿泊施設は益々面白くなりそうです。

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