インバウンドコラム
WHOが「COVID-19はパンデミックである」という宣言を出してから6カ月が経ち、この間に世界は、感染症と共に暮らすための新しい生活様式の構築を余儀なくされています。アメリカの旅行雑誌「Travel+Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」が、「空港、ホテル、レストランは、ニューノーマルをどう積極的に受け入れてきたのか」という記事を掲載し、各施設がどんな具体策をとっているのかを紹介しました。
世界の空港やホテルで導入されるウイルス対策
「香港国際空港では、40秒で肌と衣服を殺菌する、ウォークインの全身消毒ポッドが試験採用された。アブダビ国際空港では、飛行機に乗る人の体温がわかるスキャナーが導入されている。サンフランシスコ国際空港を利用する人は、共有のタッチパネルを操作することなく、自分の携帯端末で搭乗手続きと荷物の預け入れができる。アムステルダムやアルバなどの空港では、生体認証のシステムが導入されている」など、技術力でウイルス排除と、手続きの非接触化が進んでいることがわかります。
「ホテルでは、ほとんどの施設が速やかに清掃方法をアップグレードし、今は次の段階に進んでいる。マリオット(Marriott)では、公共スペースの見直しをしているという。テーブルゲームやアメの入った小瓶、ディスプレイされている本など、頻繁に触られることとなる備品は排除する。今後オープン予定の、ドーハとカタールのドリームホテルでは、バスルームの機器をタッチセンサー式に変更した。ホテル内に、おなじみのジム施設を作る代わりに、各部屋に自宅フィットネスサービス「ミラー (Mirror)」を設置することを考えているホテルもある」と伝えています。「ミラー (Mirror)」とは、姿見型のモニターを通して、鏡に映るインストラクターと自分の姿を見ながら、ワークアウトができるオンラインフィットネスシステムです。ホテルでは、人が多く集まる場所のあり方について、再考されています。
人と会うことが目的のレストランの苦悩
「レストランでは『世界で最も影響力のある100名』にも選ばれた世界的な有名シェフ、ホセ・アンドレ(José Andrés) が展開する『Think Food Group』で、29全ての施設のドアノブが抗菌銅製に変更された」こと、「ホテルやレストランのデザインを手がけるティハニ デザイン(Tihany Design)が、レストランの雰囲気に合わせてオーダーできる、掃除のしやすいテーブル間仕切りのプロトタイプを作成」したこと、「『カジュアルな場所にはいち早く変化が訪れている一方、高級レストランは慎重な動きを見せている。いつまでも6フィートの距離を取り続けたいと思っている人は誰もいないから』というティハニ デザインの担当者のコメントが載っており、そもそも人と会うことが目的でもあるレストランならでは、の難しさも報じられています。
日本の施設が導入する工夫の数々
日本でも、各施設で対策がとられてきました。成田空港では、顔認証による搭乗手続きシステム「OneID」を、東京オリンピックでの訪日客増加への対応策として進めていましたが、現在ではコロナウイルス感染対策として、早期の導入を目指しています。宿泊施設では、卓球や囲碁将棋などのお楽しみコーナーを予約制にしたり、大浴場のスリッパを番号札で管理したり、現場に合わせた対策がなされています。レストランでは、エアカーテンを導入するなど、人と人との交流を邪魔しすぎない、飲食店に適した感染予防策も講じられています。
空港手続きの効率化など、そもそも必要だった変化が強制的に起こっているものもあれば、レストランのパーテーションなど、ウイルスがなければ不要なものもあります。いづれにしても、これまでと同じでは何もできない今です。世界中の人が試行錯誤の日々に直面していることを思い、価値ある情報は共有し、知恵は出し惜しみせず、目の前のことをコツコツとやっていきましょう。
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