インバウンドコラム
民泊新法から一ヶ月が経ち、企業の新規参入や業務提携など、民泊をめぐる動きが活発です。日本では規制が緩和され、晴れて合法化されたところですが、海外では民泊を規制する動きも進んでいます。
コンデナスト・トラベラーに「民泊の取り締まりを始めた8つの都市」という記事が掲載されました。
そこには、市の人口160万人に対して、年間3000万人が訪れるバルセロナを筆頭に、ニューヨーク、アムステルダム、パリなど、観光都市の名が並びます。
民泊の規制に乗り出す都市が抱える共通の問題は、民泊がビジネスになることで、住人の生活の場が旅人に占拠されてしまうことです。日本でも取りざたされている、騒音問題もさることながら、家賃相場が上がり、そもそも地元の人が暮らせなくなるところまできています。
そうした問題を受け、パリでは年間120日以上の違法貸し出しの取り締まりが強化され、民泊に寛容だとされていたアムステルダムでも年間60日ルールが厳格化しています。
溢れる観光客と住民との共存を目指し、積極的に動き始めたのがバルセロナです。バルセロナは今年2月、民泊仲介サイトを運営するアメリカAirbnb社と協議の上、新たな指針「#AirbnbWithBCN」を発表しました。
そこで示された4つの試みは「シウタベリャ地区では、ひとりのホストにつきひとつのホームしか認めない”One Host, One Home”制度」「プロの事業者とホームステイ型を識別すること」「ホストがゲストから観光税を徴収するシステムの導入」「住民が問題を報告できるシステムを伴った”良き隣人であろう!”」です。
この新しい方針に基づいて、「責任あるホームシェアリングの推進」を目指すとのことなので、今後に注目です。バルセロナ市民のゲストをむかえる権利は尊重しつつ、市民の生活が侵害されないための模索が、今始まったと言えるでしょう。
我が家のご近所には、中国人の学生さんがホームステイをしています。初めは全く日本語ができなかったのですが、今は随分上手になって、ホストマザーと一緒に芝刈りをしている姿など、微笑ましく眺めています。
ホームステイのような体験を短期間でも可能にする民泊は、魅力的な宿泊形態であることは間違いありません。また、旅人の永遠の憧れ「暮らすように旅する」を現実のものにしてくれるのも民泊です。住民と旅行者が心地よく共存できる、持続可能なホームシェアリングのあり方を、真剣に考えて行きたいものです。
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