インバウンドコラム
先日のコラムにて、この夏にスイスを訪れたことをお伝えしましたが、スイス滞在中に、何度もスイス人との会話で話題になった日本の場所があります。
それは壱岐島です。なぜかというと、スイスの主要ドイツ語新聞であるNeue Zürcher Zeitung(NZZ)の特集記事で紹介されていたからです。
NZZによると、九州の玄界灘に浮かぶこの島は、昔は漁業で栄えていたが、現在は毎年一千人が島から出て行く。子供の頃は漁師になりたいと言っていた子供も、成長するとIT技術などを学べる環境を求めて、島を出て行く。だが、都会からこの島に移住してくる人々もいる。都会での子育てを嫌い、東京から移り住んだ家族や、横浜からやってきて海女を志す女性などが登場する、充実のレポート記事でした。
メディアの影響力は甚大です。
先日トリップアドバイザーのユーザー投票によるランキングで、イギリスの北部の小さなレストランが世界一のレストランの座を射止めました。トリップアドバイザーによると、イギリスのレストランがこの賞を獲るのは、ランキング始まって以来とのことで、本国でも話題になっています。
日本からはというと、今年はランクインならずで、世界一多くのミシュランレストラン数を誇る東京や、観光客数の伸び率が世界一の勢いを見せる食い倒れの街大阪を持つ国としては、残念な結果でした。
世界一を獲得したこのレストラン、イギリスの人気料理番組で注目を集めた若手シェフが経営するお店だとか。トリップアドバイザーは、アメリカ人が海外旅行をする際に最も参考にするメディアだというデータが示すように、英語メディアでの発信力が追い風になった結果と言えるでしょう。
スイスの話に戻りますが、テレビをあまり見ないスイス人は、活字からの情報が多く、壱岐島の例のように、たとえ地味でも、「物語」を味わい、興味を抱く傾向があります。
観光業界でも「インスタ映え」は重要なキーワードですが、華やかでなくとも豊かな物語があれば、魅力を感じて足を運んでくれる人もいます。ターゲットに合ったメディアを通して、「物語」を発信できるといいですね。
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