インバウンドコラム
観光庁2022年度の予算要求を解説、サステナブルやDX推進、新たな旅のスタイルに向けたコンテンツ支援など425億円
2021.09.02
観光庁は、令和4年(2022年)度の予算概算要求で前年度予算比3.3%増の425億3500万円の要求を行った。
一般会計は前年度予算額の148億900万円より約20%増の177億3500万円、東日本大震災からの復興(復興枠)は2020年の3億円から8億円へ増やした。国際観光旅行税を活用したより高次元な旅行施策の展開については昨年から8%減の240億円。また、金額を明示せず項目だけを記載する事項要求として、新型コロナウイルス感染症への対応を要求した。
新規の予算要求は、長期滞在や第二の故郷などより多様化するニーズを踏まえたポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業(4.5億円)、持続可能な観光推進モデル事業(4.5億円)、東北復興枠でのブルーツーリズム事業(3億円)の3項目だ。
ここでは、予算概算要求概要の中身について詳しく見ていく。
(図出典:令和4年度観光庁関係予算概算要求概要)
一般会計の3柱で175億円、戦略的訪日プロモーションなどで2030年15兆円を目指す
1)観光産業の再生と「新たな旅のスタイル」の普及・定着(22億2600万円)
新たなビジネス手法の導入による宿泊業を核とした観光産業の付加価値向上支援に7億円を要求。地域全体での食の魅力の向上やバックオフィスのDX化などを支援するため、前年度の1億円から大きく増加となった。働き方の多様化を踏まえワーケーション等を「新たな旅のスタイル」として普及させ、旅行の機会の創出と需要の平準化を計る「新たな旅のスタイル」促進事業に5億2500万円。その他、観光産業に関わる人材確保・育成事業に1億2700万円、通訳ガイド制度の充実・強化に6600万円、健全な民泊サービスの普及に1億1700万円、ユニバーサルツーリズム促進事業に1800万円、観光統計の整備に6億7300万円を見込んでいる。
2)国内外の旅行者を惹きつける滞在コンテンツの造成(22億1500万円)
中長期滞在者や反復継続した来訪者が第二の故郷として地域と継続する関係性を築く試みの支援と、将来にわたり世界の観光客を惹きつける日本のレガシーを育成し、持続可能な観光地経営の実現を図る、ポストコロナを見据えた新たなコンテンツ形成支援事業が新規項目として4億5000万円計上された。DXの推進による観光サービスの変革と観光需要の創出は2020年予算8億円から2億円増額の10億円を要求した。広域周遊観光促進のための観光地域支援事業には昨年と同じく7億6500万円を充てる見込み。
◆DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による観光サービスの変革と観光需要の創出取り組みイメージ
3)受入環境整備やインバウンドの段階的復活(126億3000万円)
訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業に34億8000万円、世界的に高まるサステナブルツーリズム(持続可能な観光)の推進モデル形成と、その取組の全国展開などに向けた持続可能な観光推進モデル事業には4億5000万円が新規計上された。また、戦略的な訪日プロモーションの実施として84億3000万円が計上され、「インバウンドの早期回復」と「旅行消費額増加と地方部への誘客」を軸に、2030年に訪日外国人旅行者数6000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円等の目標達成を目指すことが明記された。
「雇用の維持」「事業の継続」「感染拡大防止対策の徹底」感染症の状況踏まえた支援要求
2022年度においては、危機に瀕する観光地・観光産業の存続に万全を期しつつ、ポストコロナを見据え、地域経済を支える観光の本格的な復興の実現を図ることが必要と言及。新型コロナウイルス感染症への対応に必要な施策については、今後の感染状況や観光需要の動向等も踏まえつつ、予算編成過程で検討するとした。
東日本大震災からの復興枠8億円に増額、誘客を図る新規事業
福島県への国内外からの誘客を図る復興枠の新規項目として、ブルーツーリズム推進支援事業3億円を要求した。ALPS処理水の海洋放出から起きた風評被害対策として、海水浴場の受入環境整備、ブルーフラッグ認証の取得への支援など、海の魅力を発信していく。他には震災遺構の見学、ホープツーリズムなどの観光コンテンツの支援に昨年より2億円多い5億円の支援を求める。
令和4年度(2022年度)観光庁関係予算概算要求概要詳細はこちら
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