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【訪日外国人の傾向を知る】中国編:急速に変化する訪日中国人市場、個人・リピーターが急増
2018.09.28
刈部 けい子中国のゴールデンウィークと呼ばれる国慶節の大型連休がまもなく始まる。中国の旅行予約サイト大手、Ctripが調査したトレンド予測ランキングによると、この時期の旅行先として今年一番人気があったのが日本。昨年1位のタイを抜いて初のトップとなった。また、中国最大級の旅行口コミサイト蚂蜂窝の調べでも、1位の香港につぐ2位に入っており、純粋な外国としてはこちらも1位だ。
今や多くの中国人が連休に旅行に出かけるようになった。国内はもとより、海外旅行熱も高く、国民の3割ぐらいが長期休暇に海外への旅行を希望しているという。中国人の海外旅行者数は2005年は約3000万人程度だった。それが、所得の向上や受け入れ国側のビザ発給要件の緩和などに伴い、2017年には約1億3000万人(うち約6900万人は香港、マカオ、台湾への渡航とされる)と大きく増加し、世界1位だ。これでも総人口に占める割合では約1割に過ぎないため、今後さらなる増加が見込まれる。
個人ビザ発給開始から9年の変化
日本で中国人へ個人観光ビザの発給が始まったのは2009年7月。当初はいわゆる富裕層と呼ばれる人たちに限定していたが、その後、段階的な発給要件の緩和や数次ビザの発給開始もあって、訪日客の数も右肩上がりに増えていった。2017年のビザ発給数は一次が391万8437枚、数次が58万6281枚の合計450万4718枚で、訪日中国人数は735万5818人だった。
ビザ発給要件の緩和は旅行スタイルにも変化を及ぼす。中国人観光客といえば団体旅行というイメージがあったが、2015年の数次ビザ発給要件の緩和により、同年には、在上海日本総領事館が発給した個人ビザ枚数が団体のそれを上回り、2017年には訪日中国人の個人旅行の割合が団体旅行を上回った。さらに、ここ2〜3年で、リピーター率も急増し、現在は訪日者の約4割がリピーターとなっている。数次ビザ発給数が伸びているため、この数字は今後もさらに増えるはずだ。
若い世代の訪日が増える
中国人訪日客を性別・世代別に見ると、女性が約6割で、20代〜30代が割合が年々増加し、2017年には全体の半分以上を占めるようになった。個人旅行者やリピーターが増え、若い世代の訪日客が多くなったからだろう。また、Ctripの報告によると、中国人旅行者が海外旅行へ出かける際、若い世代の親子旅行が3割、両親を連れた親子旅行が1割と、家族旅行が4割を占めるのも特徴的だ。
日本での旅行先としては、訪日初心者の例にもれず中国でも初めての訪日はゴールデンルートというのが定番だ。しかし、リピーターとなれば個人旅行で地方へ足を延ばすようになる。北海道、北陸信越、四国、九州、沖縄では初回旅行者よりリピーターの訪問率の方が高く、東北、中国は初回では訪れていない。また、その土地ならではの飲食、自然景勝地観光、旅館での宿泊などの体験率は都市よりも地方の方が高くなっている。
買い物は自分のために
もっとも都市、地方にかかわらずショッピング熱は相変わらず旺盛だ。それも爆買と騒がれた時のような、知人に頼まれての日本製品を買い込むというのではなく、自分のために買い物をすることが中心となっている。
また、上記のように目的地が地方へ分散したこともあって、今回の大雨や地震で関西や北海道の旅行者は減少することはあっても、ほかの地方へ向かう客が増えていることから、災害に伴う影響は少ないと見られている。
なお、昨年の国慶節には7億500万人が旅行をし、そのうち600万人以上が海外旅行に出かけた。昨年10月の訪日中国人は前年同月比31.1%増の66万3815人。さて、人気旅行先1位になった今年はどのくらいの人が訪れるだろうか。
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