データインバウンド
2018年の国際観光輸出 実質4%増で1兆7000億米ドル。化学・燃料に次ぐ3位の産業に
2019.07.25
刈部 けい子UNWTO(国連世界観光機関)の発表から、2018年の国際観光による輸出は1兆7000億米ドルに上ったことがわかった。平均すると毎日47億米ドルが海外旅行で支出されている計算になる。2017年は1兆5860億米ドルで、この1年で実質4%(為替変動および物価上昇を調整)の増加となり、商品輸出の3%増よりも速いペースで成長していることになる。また、2017年同様、化学製造、燃料産業に次ぐ、世界第3位の輸出額となり、食品や自動車産業を上回った。
アジア・太平洋の国際観光収入は7%増
国際観光による輸出というのは、国際観光収入(訪問者のデスティネーションにおける消費)の1兆4480億米ドルと、国際旅客交通サービスの2560億ドルで構成されている。2018年の国際観光収入は実質4%の増加であり、2018年の国際観光客数(1泊以上)が5.6%増加の14億人になったことが反映されている。
地域別では、アジア・太平洋の国際観光収入が平均を大きく上回る7%の増加を示し、ついでヨーロッパ(5%)、中東(3%)となった。
最大の観光支出国は中国
観光収入の成長があるのは国際観光支出が増加するから、つまり海外旅行で世界の人がどれだけ消費しているかにかかっている。表にある観光支出上位10カ国で、2018年は特にロシア(11.2%)、フランス(10.5%)、オーストラリア(9.7%)が大きく伸びた。ちなみに2018年の訪日客の旅行消費額ではオーストリアは総額で7位、一人当たりの旅行支出では1位だった。
観光支出国の1位は世界最大の人口を持ち、訪日客の中でも大きな存在感を示す中国で、2018年の国際観光支出は2位のアメリカの倍近く、昨年比実質5.2%増の2773億米ドルとなっている。
なお、UNWTOの世界観光指標2019年5月号によると、2019年第1四半期(1-3月)の国際観光客数(1泊以上)は、昨年同期を下回り、過去2年間の同期平均伸び率6%を下回る4%となったことがわかった。ただし、中東(8%増)やアジア・太平洋(6%増)は好調に伸びており、2017年、2018年が例外的な伸びを示したのであって、全体では堅調に推移しているといえるとのこと。北半球の多くのデスティネーションで観光客の増える2019年5-8月はさらに楽観的な数字が出るとしている。
編集部おすすめ関連記事:
最新のデータインバウンド
-
中国で加速するAI観光 旅の全行程に広がる活用、企業・行政も本格参入 (2025.08.07)
-
「豪華さ」よりも「意味ある旅」へ、変化するアジア太平洋富裕層の旅行動向 (2025.08.05)
-
2025年5月の訪日宿泊者数、鳥取・宮崎で高い伸び率。クルーズ寄港や航空増便が後押し (2025.08.01)
-
ビザなし渡航国ランキング 日韓2位並ぶ。インド・サウジ急浮上、米英後退 (2025.07.29)
-
出張は「会う」ために、ミレニアル・Z世代の対面志向が鮮明に (2025.07.28)
-
Z世代は「アラカルト型贅沢」志向、旅で重視する5つの要素とは? (2025.07.23)
-
2025年の訪日消費、上半期4.8兆円で過去最高、単価横ばいに課題も (2025.07.22)
-
2025年6月の訪日客数337万人、1-6月の累計2151万人。前年同期を370万人超上回る (2025.07.17)
-
AIが旅の選び方を変える、旅行業界が注視すべき3つの消費行動の変化 (2025.07.15)