データインバウンド
世界で人気の旅行先は? 都市への訪問者数はアジア優勢、日本は5都市がトップ100入り
2020.01.17
刈部 けい子2019年の訪日外国人客数は前年と比べて微増の3188万人だったと国土交通省が10日に発表した。オリンピックイヤーの今年、2020年の政府目標は4000万人だが、よほどの伸びが無い限りこれを達成するのは難しいだろう。ただし、そうはいっても世界の旅行人口は年々増加の一途をたどっており、特に都市への訪問者数は増えている。2020東京大会をきっかけに、東京をはじめとする日本の都市がさらに知名度を上げることで、今後の訪日増を期待できるかもしれない。
2019年、世界の旅行者数は15億人
ユーロモニター社が昨年末に世界のトップ100都市(訪問者数ランキング)を発表した。2019年の世界の旅行者数は前年より4.2%増の15億人となる見込みだ。そのなかで、トップ100都市への旅行者がおよそ47%を占めており、前年より6.2%増加することになるという。
表を見ていただくとわかるが、このランキングは2018年の訪問者数をもとにしたもので、2019年は年間の部分的データをもとにした推計となる。ランク変動は2013-2018年が2013年の順位と2018年との順位の変動を示し、2018-2019年はこの1年間の順位の変動を示している。文中では2018年の順位のあとに( )で2019年の順位を入れた。
香港はトップを維持
さて、トップ100都市のなかでも、世界を牽引するのは43都市がランクインするアジア。1位の香港は2013年から変わらずトップを占める。2019年は中国に対する抗議活動が続いたため、訪問者数は大きく減少する見込みだが、予測ではトップを維持している。
2位もタイのバンコクが入り、こちらも13年から不動の地位を誇る。タイからは他にもプーケット15位(15位)、パタヤ18位(20位)、チェンマイ70位(72位)、クラビ99位(100位)の計5都市がランクインした。香港、バンコクに加え、トップ10内には、マカオ、シンガポール、クアラルンプールが入り、アジア勢の優勢は一目瞭然だ。
日本は5都市がトップ100にランクイン
そのなかで、日本はトップ100に5都市がランクインした。日本のトップは東京で17位(16位)、以下大阪28位(25位)、京都67位(69位)、千葉86位(88位)、福岡93位(96位)となっている。2013-2018年のランク変動を見ると、日本は千葉、福岡の100位以上のランクアップはじめ、いずれの都市も大きく伸びてきたことがわかる。
ユーロモニターでは世界全体の注目すべき都市として、シンガポール、デリー(インド)、ハルガダ(エジプト)、福岡をピックアップ。2018年に初めてトップ100入りした福岡について、「多くの異なる見どころや郷土料理があり、近隣の韓国、台湾、中国からの観光客が多い。豊かな歴史をもち、史跡も多い一方、スタートアップ企業の設立を目指す起業家を誘致し、ビジネス旅行にも力をいれている。毎年200近い国際会議が開かれ、2019年にはG20財務相・中央銀行総裁会議を開催した」と紹介している。
アジアについで訪問者数の増加率が高い地域はヨーロッパで、トップ100には32都市(32都市)がランクイン。UNWTOの2018年の国別入国者ランキングで1位フランス、2位スペインとなっているのでもわかるように、インバウンド訪問者数では世界最大の地域となっている。これはEU諸国とシェンゲン圏内での自由な移動が保証されていることが大きい。ただし、ヨーロッパの都市1位で全体3位のロンドンはブレグジットの混乱によって訪問者数が減っており、2019年はマカオ、シンガポールに抜かれると予想される。
その他、南北アメリカは13都市(13都市)、中東とアフリカは12都市(13都市)がトップ100にランクインした。
訪問者の多い都市には恩恵も課題も
なんといっても都市は、その国や地域の窓口として機能しているケースが多い。多くの人口を抱えており訪問者も多い。そのため、最近では、訪問者の増加で恩恵を得ると同時に、オーバーツーリズムや公害、輸送管理の問題に直面しているとユーロモニターでは分析している。これは日本にも当てはまることであるが、こうした世界共通の課題への取り組み方次第では、その都市に新たな魅力が加わる可能性もあるのではないだろうか。
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