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コロナ終息後の訪日意欲高く、日本の魅力は「清潔さ」 —アジア・欧米豪圏の訪日客 旅行意向調査

2020.08.28

刈部 けい子

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これまで定期的に行われている「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」だが、今回は6月2日〜12日に「新型コロナ影響度 特別調査」が行われ、最近その結果が発表された。それによると、新型コロナウイルス感染症終息後の海外旅行の意向は強く、旅行先としての日本の人気も依然として高いことがわかった。

調査はインターネットで行われ、対象はアジア・欧米豪12地域(韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)の海外旅行経験者6266人だった。

コロナで旅行中止は7割強

まず、2019年12月~2020年5月の間に海外旅行を予定していた人への質問で、実施した人は全体の26%、キャンセルした人は74%と、海外旅行をキャンセルした人が7割以上いたことがわかった。国籍・地域別の海外旅行実施率ではシンガポール(39%)が最も高く、中国(10%)が最も低い。

一方、6月以降に予定していた旅行をキャンセルした人がアジア居住者で34%、欧米豪居住者で36%いたのに対し、訪問予定はアジア居住者で15%、欧米豪居住者で18%だった。

この時期にキャンセルを検討せず、海外訪問を実施予定とした理由として、全体の4割が「新型コロナがある程度終息すると思っているから」を挙げたものの、海外訪問における新型コロナ感染リスクへの不安度については、アジア居住者の70%、欧米豪居住者の36%が不安を抱いていることがわかった。

 

コロナ終息後の海外旅行の意向は強い

しかし、終息後の海外観光旅行の意向は全体に強く、アジア居住者では86%、欧米豪居住者では74%が旅行の意向があると答えている。

その理由として、アジア居住者は「リラックスや癒し」「海外で体験したいことがあるから(観光、食事、買い物、アクティビティ、文化など)」が多かったが、欧米豪居住者ではそれ以上に「海外旅行が好きだから」「行きたい国・地域があるから」のほうが関心が高いのは興味深い点だ。

 

再開のタイミングは終息後

海外旅行の検討を再開するタイミングは、アジア居住者・欧米豪居住者ともに「抗ウイルス薬の開発など、新型コロナの脅威が消滅してから」「渡航希望先の安全宣言後」「WHOのパンデミック終息宣言後」という回答が多かった。第2波を迎えている日本はこれから秋冬に向かうこともあり、終息はおろか、収束の目処も立っていない。訪日外国人旅行者数がこれまでのように回復するには相応の時間を要すると思われる。

それでは新型コロナ終息後に観光旅行したい国・地域はどこなのだろう。これは日本がアジア居住者でトップの56%、欧米豪居住者でもアメリカ(28%)に次いで2位(24%)の人気となっている。

期待度が高いウイルス対策の継続

訪日旅行に期待することについては、アジア居住者・欧米豪居住者ともに「衛生面における配慮、清潔さ、消毒などのウイルス対策全般の継続」をトップに挙げた。また、「文化体験アクティビティの種類や質の充実、ブラッシュアップ」を挙げる人も多く、訪日客の再開へ向け体験型観光の質の向上を進めたいところだ。他にも「リーズナブルな日本食レストランの充実」「リーズナブルな宿泊施設の拡充」を挙げる人も多かったが、これはコロナ後に旅費が上がることなどを見越してではないかと想像できる。

なお、新型コロナの流行終息後に、その国・地域を観光のために訪問したい理由ごとのランキングでは、「清潔だから」「泊まりたい宿泊施設があるから」「治安がよいから」で日本が1位になっており、日本の清潔さは目的地を決める際に大きな利点になっていることがわかる。

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