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2020年の国際旅客需要、75.6%減で史上最悪を記録。2021年も厳しい予測

2021.02.16

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IATA(国際航空運送協会)が2020年の世界の航空旅客利用結果を発表した。有償旅客が搭乗して飛行した総距離を示すRPK(revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離)は2019年と比べて65.9%減少、航空史上、ここまで数字が悪化したのは初めてのことだという。さらに、2020年12月後半以降、先行予約は極端に減っている。

2020年の国際旅客需要は前年比75.6%減、旅客輸送容量の単位であるASK(available seat kilometers:総座席数x輸送距離)は68.1%減で、座席利用率は19.2ポイント減って62.8%だった。

以下のグラフは2019年1月からのRPK(有償旅客による飛行総距離)の推移だが、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年初旬から減少の一途を辿り4月には国際線98%、国内線86%の減少となった。その後、夏のシーズンに向け国内線で改善が見られたものの、新型コロナウイルス感染症の変異株が発見され、欧州・アジアなどで再度のロックダウン措置が行われた11月以降は再び下降線を辿っているのがわかる。12月の国際線のRPKは前年比85.3%減だった。

 

▶︎2019年〜2020年の国際線・国内線RPKの推移

 

また、国内線需要は前年比48.8%減、旅客輸送容量を示すASK(総座席数x輸送距離)は35.7%減、座席利用率は17ポイント減の66.6%だった。なお、下のグラフにあるように国土の広い中国(青線)ロシア(赤線)、アメリカ(黄線)、オーストラリア(黒線)を見ると、中国、ロシアの国内線需要は夏にはほぼ前年並みに回復したが、感染者数の多いアメリカ、厳格な移動規制措置が取られているオーストラリアでは回復もままならないことがわかる。

 

▶︎2019年〜2020年の国内線のRPKの推移

 

IATAの基本予想によると、2021年の需要は2020年よりも50.5%改善する見込みで、それが実現すると2019年のレベルの50.6%程度に回復するとのこと。ただし、これからまだ多くの新型コロナウイルス感染症の変異株が出現し旅行規制が行われた場合は、さらに悪化するとみており、その場合、2021年の旅客需要の改善は13%程度、従って2019年レベルの38%程度の水準にしかなならないとの予測を立てている。

「2020年の旅客需要は壊滅的だった。他に表現しようがない。夏のあいだに北半球では改善がみられたが秋には失速し、年末年始の休暇時期に向け劇的に悪化した」とIATAの事務局長兼CEOアレクサンドル・デ・ジュニアクは話した。

日本でも、成田空港の2020年の運用状況によると、2020年の総旅客数は前年比79%減で、国際線旅客数は通年で過去最低だった。

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