データインバウンド
旅でもソロ活浸透、8割がひとり旅を経験 拡充のカギは1人用プランや人との交流 —Travel Zoo調査
2021.03.17
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、働き方や生活スタイルが大きく変化するなか、一人焼肉や一人キャンプなど「ソロ活」が注目されている。世界11カ国で約3000万人、日本で約100万人の登録メンバー向けに独自の旅行情報を配信するオンライン旅行メディア「トラベルズー」では、旅でも「ソロ活」が浸透してきているか実態を把握するため「ひとり旅」に関する意識調査を実施した。調査は2021年2月19日~23日に、日本国内に住むトラベルズー登録メンバー100万人のうち17万7022人を対象にインターネットアンケートを実施し、有効回答数1639を得た。
若い世代ほど「ひとり旅」の経験あり
まず、「ひとり旅」の経験有無を聞いたところ、79.3%が「ある」と回答。年代別にみると、最多が一番若い世代である「~29歳」の87.0%で、次いで30代の84.5%、最少は50代の74.3%だった。
「ひとり旅」のきっかけについて最も多かったのが「1人の旅行が好きだから」で45.0%、次いで「1人のほうが気楽だから」が36.0%だった。一方、「同行者とスケジュールが合わなかったから」は30.7%、「同行者の候補がいなかったから」も29.1%に留まり、仕方なく一人旅となった人よりも、自ら好んで一人旅を選択している様子がうかがえる。
旅先では寺社仏閣・世界遺産巡りに温泉、グルメを満喫
「ひとり旅」の目的では1位が「寺社仏閣・世界遺産巡り」で37.8%、2位は「温泉」で35.7%、3位は「グルメ」の34.3%、4位は「1人の時間を確保するため」が31.3%、5位が「博物館・美術館巡り」で28.6%だった。年代別では、40代、60代、70歳以上の1位が「寺社仏閣・世界遺産巡り」であったのに対し、29歳までと50代は「温泉」、30代では「グルメ」が1位だった。同行者がいない分、自由気ままに自分が興味ある分野に時間を費やせるのが魅力のようだ。
8割はシティホテル・ビジネスホテルを選択、おひとり様が敬遠される旅館は3位
「ひとり旅」で泊まった場所を聞いたところ、シティホテル・ビジネスホテルが80.5%と大多数を占めた。大きく差が開いて、リゾートホテルが2位で42.0%、次いで旅館が31.6%、ゲストハウス13.3%、友人・知人宅12.7%の順だった。
「ひとり旅」の目的の2位に「温泉」がランクインした一方、宿泊先としての「旅館」は31.6%で3位に留まっており、1名1室利用ができるホテルを滞在先として選び、温泉は立ち寄り湯で楽しむ旅行者の姿が垣間見える結果となった。実際にアンケートの回答者からは「リゾートホテルや温泉旅館でのんびりしたいが、1人だと泊まれない部屋が多く、諦めることがある」といった声も寄せられた。今後、ソロ活の層を取り込むためには1名利用の宿泊プランの設定が有効といえるだろう。また、ゲストハウスや友人宅を利用することで宿泊費を抑えながら、名所巡りや温泉、グルメなど旅の体験にお金をかける様子もうかがえる。
7割は今後も「ひとり旅」に意欲的だが、年代が高いほど消極的に
今後も「ひとり旅」をしたいかについては、年代ごとに差が出る結果となった。全体では「そう思う」が57.2%、「ややそう思う」が17.6%で合計74.8%が「ひとり旅」に今後も積極的であることがわかったが、70歳以上では「そう思う」が42.4%に留まり、年代が上がるごとに「そう思う」の割合は減少する傾向にあった。
「そう思わない」と回答した割合も、29歳までの層では0%だったのに対し、70歳以上では5.4%となった。実際に、アンケートの回答者からは「お手洗いに行ったりする時に、同行者がいないとスーツケースや荷物など全てを自分で持ち歩かなくては行けなくて不便だった」という声も寄せられ、体力や健康面で不安を感じている一人旅の旅行者の姿が見えてくる。
ひとり旅の懸念点は「話し相手」 旅の楽しさ共有が鍵に
今後も「ひとり旅」をしたいかどうかの意向に対し「あまりそう思わない」「そう思わない」を選んだ回答者に対して、なぜ「ひとり旅」を選ばないのか聞いたところ、最も多かった回答が「話し相手がいないのはつまらない」で72.3%だった。2位には「ひとり旅の愉しみが分からない」が33.5%、3位は「料金が高い」25.1%、4位は「安全・防犯面に不安がある」16.2%、5位は「魅力的なひとり旅プランがない」13.6%だった。
1位の話し相手がいないが、2位以下を2倍以上引き離す結果となり、誰かと旅の楽しさを共有したいというニーズがうかがえる。同行者がいなくても、ゲストハウスなどでの旅行者との出会い、宿の主人や旅先の食事処で地元の人々と交流する場面があれば、ひとり旅の寂しさも解消されるかもしれない。
最後に、今後の「ひとり旅」では何を目的にしたいか尋ねると、1位は「温泉」で55.2%。2位は「寺社仏閣・世界遺産巡り」47.8%、3位は「グルメ」44.5%だった。行きたいエリア1位は「海外」が45.0%、北海道が35.4%、沖縄県が33.5%と、コロナ禍で遠方への旅行が制限されている分、海外旅行を待ち望む旅行者の思いが表れる結果となった。
長引くコロナ禍で大人数の団体旅行は敬遠され、少人数での旅への需要が高まるなか、一人旅は今後もニーズが高くなっていくことが予測される。今回の調査では、若い人ほど一人旅に抵抗が少なく積極的な姿勢が明らかとなったが、年齢が高い世代であっても、話し相手不足や割高な宿泊料金など一人旅ならではの不満をカバーできれば取り込める余地があると言える。一人旅を好む旅行者から選ばれる場所にするために、宿泊施設や飲食店でもおひとり様プランを設定したり、地域全体で地元の人との交流ができるような取り組みが期待される。
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