データインバウンド
世界幸福度ランキング フィンランドが4年連続1位、日本は56位と出遅れ。コロナ禍での人との繋がり気薄化が幸福感に影響
2021.05.06
世界各国、地域の幸福度を示す国連の世界幸福度ランキングが発表された。結果は1位が4年連続でフィンランド、2位デンマーク、3位スイスと続き、8位まで欧州が占めた。こちらは米調査会社ギャラップが全世界に対して行う世論調査をもとにしたもので、単年の結果がそのまま反映されるのではなく、過去3年間の平均値によるもの。今回は2018年から2020年の結果をまとめて2021年版として発表した。
7つの指標をもとにした幸福度指数、日本は56位と出遅れ
カラフルなグラフにもあるように、世界幸福度は以下の7つの指標をもとにしている。左から青=国民一人あたりのGDP、緑=社会的サポート(「困った時に助けてくれるものや信頼できる人がいるか」という問いへの回答)、黄緑=健康寿命、黄=人生選択の自由(「人生で何をするか選択の自由があるか」への回答)、赤=寛容さ(「過去1カ月にいくら募金したか」への回答のGDPに対する度合い)、オレンジ=汚職や腐敗の認知(「あなたの国やビジネスに汚職・腐敗が蔓延しているか」への回答)、紫=世界最低の国の平均値(2.43)と3年間の調査で出た各国の残余値を合計したもので、点数が大きいほどランキングが高くなっている。
対象は149の国と地域で、日本は56位でアジアでは台湾(24位)、シンガポール(32位)、タイ(54位)につぐ4番目だった。ちなみに、日本は2020年版(2017-19年)のランキングでは62位だった。最下位はアフガニスタンだった。
日本は上記のうち、他者への寛容さの点数が極端に低いのが目立つが(赤い部分がほとんど見えない)、これは日常的に寄付をする習慣のない、あるいは寄付に積極的でないことの表れといえる。言い換えれば他人への興味のなさの表れともいえるかもしれない。
コロナ禍で人との繋がりが減り、幸福度も減少
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で2020年はこれまでにない年になったが、幸福度ランキングを掲載した2021版のレポートでは、人々の生活様式や質にコロナがどのような影響を与えたかにフォーカスし、政府がこのパンデミックにどのように対処してきたかに言及している。
感染拡大初期の状況がどうであれ、COVID-19を制御するもっとも効果的な戦略はコミュニティの感染をゼロにして、それを維持することだった。この戦略を採用している国々では死亡率がゼロに近く、致命的な第2波を回避することができ、収入の損失が少なかった。こうしたCOVID-19戦略成功の要因は、1つが公的機関への信頼、所得の平等、SARS等の感染症からの教訓があること、そして政府のリーダーが女性だったこと等が挙げられるとのことだ。
また、パンデミックの結果、多くの国がロックダウンを行ったが、それによりメンタルヘルスに影響が出た人が急増し、人との繋がりが減少したことを実感した人の幸福感が減少したとしている。それを示すように、1位のフィンランドは「パンデミックでも、人命と生活を守るために役立つ、他者との相互信頼関係に関する複数の指標で、非常に高い順位を示した」とされている。
なお、フィンランドについては、以下の記事に詳しく解説しているので参照されたい。
アフターコロナの観光・インバウンドを考えるVol.8 世界一幸福な国フィンランドの観光戦略〜ライフスタイルで世界を惹きつける秘訣とは?〜
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